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33 その他国際条約

2016年8月18日 (木)

コンゴ民主共和国におけるゾウの危機への緊急支援

和訳協力:松尾 亜由美、校正協力:石原 洋子

2015年11月16日 FFI News

Rapid Response Facility(RRF:(仮)緊急対応基金)の新たな助成金が、UNESCO(国際連合教育科学文化機関、通称「ユネスコ」)の世界遺産であるGaramba National Park(ガランバ国立公園)における密猟問題に取り組む関係当局の助けとなるだろう。

RRFは、横行するゾウの密猟問題へ取り組むために、コンゴ民主共和国のガランバ国立公園への緊急資金援助を行う。

この18か月で215頭以上のゾウが殺され、公園内のゾウの生息数は今では1,500頭を下回るほどに減少していると見られている。
現在のところ、公園の管理団体であるAfrican Parks Network((仮)アフリカ国立公園ネットワーク)による危機対応がないままにこの規模での密猟が行われれば、ガランバ国立公園は8~10年以内に、この公園の特徴といえるゾウたちを失うことになるだろう。
つまり、世界遺産の認定要件であるOutstanding Universal Value(顕著な普遍的価値)の大きな損失となるのだ。

ガランバ国立公園はコンゴ民主共和国の北東部と南スーダンの境界部に位置しており、密猟はこの極めて不安定な地域での政治的不安定さと戦闘に関係していると考えられている。
密猟者たちは最新の武器や大量の銃弾で重装備し、時にヘリコプターを使うことさえもある。
ゾウの死体からは、象牙だけではなくほかの部位が取られる場合もあり、子ゾウも含めて全てのゾウがターゲットになり得るということである。

ガランバ国立公園は、キタシロサイ(現在は絶滅したとみられる)の最後の生息区域であり、またゾウの生息地であるとして、顕著な普遍的価値があることが認められ、1980年に世界遺産に登録された。
しかし、あまりに多くの哺乳類に対する密猟圧により、1996年からWorld Heritage in Danger list(危機遺産リスト)に登録されている。

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2016年5月12日 (木)

蝕まれゆく未来に直面する海洋生物

和訳協力:大塚 有美、校正協力:松尾 亜由美

2015年7月2日 IUCN News story

海洋は、人間が引き起こした地球温暖化をやわらげる。
しかし、そのために海洋の物理的・化学的性質や海洋生態系とそれがもたらす恩恵の著しい変化という代償を払っている。
このことは、Oceans 2015 Initiativeのメンバーと、IUCN(国際自然保護連合)のWorld Commission on Protected Areas Marine Vice Chair(世界保護地域委員会の海洋部会副議長)であるDan Laffoley氏との共著で、本日(2015年7月2日)科学雑誌サイエンスに発表された報告で明らかになった。

この報告では、今世紀中に起こりうる2種類の二酸化炭素排出量の推移に基づき、2つのシナリオを評価、比較している。
2つのシナリオではどちらも、温帯域に生息するサンゴや中緯度域に生息する二枚貝類(軟体動物)などといった、脆弱な生態系への高いリスクを伴う。
しかし、何も対策をとらないシナリオでは、広範囲にわたる種が死に至る高い危険性を伴い、非常に壊滅的な状況となることが予測された。

筆頭著者であるCNRS(Centre National de la Recherche Scientifique, France:フランス国立科学研究センター)主任研究員のJean-Pierre Gattuso氏は、この報告の研究結果が、実効性のある二酸化炭素排出量を削減する政治的意思を喚起することを期待している。
そして、「これまでの気候変動関連の交渉の場では、海洋の取り扱いは最低限のものでした。我々の調査により、2015年12月にパリで開催される、国連の気候変動枠組条約のCOP21(第21回締約国会議)では、その状況を抜本的に変えるための説得力のある議論が行われるでしょう」、と述べている。

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2015年5月28日 (木)

湿地を大切にしよう、私たちの未来のために:湿地の喪失を防ぎ、阻止し、そして残すために今すぐ行動しよう

和訳協力:ジョンソン 雅子、校正協力:鈴木 洋子

2015年2月2日  UNEP Press Releases

World Wetland Day (世界湿地の日)は、 湿地の重要性や価値の普及啓発を促進させるために、毎年2月2日に実施されている。

最新の調査によると、1900年以降、世界中の湿地の64%が失われており、この40年間だけで淡水性の植物や動物の個体群の76%が姿を消した(WWFのLiving Planet report (生きている地球レポート)から)とされている。
これは、他のどの生態系よりも悪い状況である。
湿地の喪失と劣化という、この世界的な下降傾向に立ち向かうために、ラムサール条約は各国政府や保護団体と連携して、民間セクターを迎え入れ、科学的な専門知識を採り入れている。

「Wetlands for our future (湿地を大切にしよう、私たちの未来のために)」-これが今年の世界湿地の日のテーマで、私たちすべてに湿地が様々な形でもたらすものや、私たちが湿地の保護と回復に寄与できる多くの方法に脚光を当てることを目的としている。

湿地がもたらす多くのサービスや恩恵、そして人類や地球にとっての湿地の重要性を認識している人はほんの一握りしかいない。
最も重要なことは、 私たちが毎日使う水が湿地から来ているということである。

加えて、湿地は人類に食糧を与えてくれる。
湿地である水田で育つ米は、およそ30億人の主食となっている。
人は平均して毎年19kgの魚を消費する。
売られている魚のほとんどは、沿岸水域や河口で産卵し稚魚を育てる。
さらに、世界中で採取される全淡水の70%が農作物の灌漑に使用される。

湿地は水から有害廃棄物を浄化して濾過し、工場から出る重金属や毒素を吸収するのを助け、また有害な肥料や農薬を吸収も助ける。
例えば、ウガンダ共和国のカンパラにあるナキブボ湿地は、下水や工場排水を無料で濾過している。
同じ作業を行うための処理プラントでは年に200万ドル(約2兆4千億円、2015年2月22日付換算レート:1USドル=119円、以降同レートとする)の費用がかかる。

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2015年5月 6日 (水)

渡りルート保全協定成立20周年

和訳協力:岩下 奈緒、校正協力:星子 啓子

2015年1月16日 CMS News

今年は、1995年6月にオランダ・ハーグにてAfrican-Eurasian Migratory Waterbird Agreement(AEWA:アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定)の交渉成立から20周年記念の年である。

AEWAは、過去20年間アフリカ・ユーラシア間の渡りルートに生息する渡り性水鳥の個体群の保全と管理において、国際的な協力を得るための枠組みを提供してきた。
AEWAは世界中の渡りルート保全のための協調の手本となり、また渡り性水鳥の保全協力と取り組みの効果的な原動力となることを自分自身で証明する役割を果たしている。

AEWAは、ユーラシアおよびアフリカの7カ国が批准したことにより、必要とされる締約国の数に達し、1999年11月1日に効力を発した。
その1週間後に、1回目の締約国の会合がアフリカのケープタウン近郊の街、サマーセット・ウエストで開催された。
IUCN(国際自然保護連合)が協定の原案を初めて公表したのは1983年と早かった。
Convention on Migratory Species(CMS:移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)の第1回締約国会議では、White stork(学名:Ciconia c. ciconia、シュバシコウ)と旧北区注)西部のカモ科(-カモ類、ガン類、ハクチョウ類)を、最優先で独立した国際文書にするべきとした。
後にこれら2種類の渡り鳥たちは、アフリカ・ユーラシア地域に生息する広範囲な水鳥たちに適用される一つの協定の提案書に盛り込まれた。
これがAEWAが発展し、ボン条約とその傘下の国際協定等を成長へと導いた経緯である。

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2015年4月26日 (日)

南極を巡る失われた時間

和訳協力:河本 惠司、校正協力:東川 かよ

2014年10月21日  PEW Charitable Trust Opinion

世界の七大陸のうち南極大陸は、文字通り最も寒い。
最南端の大陸を覆うその広大な氷床には、地球上の90%の氷と61%の淡水が閉じ込められており、その広さはおよそ450万平方マイル(約1200万㎢)になる。
また、そこは地球上で最も寒いだけではなく、最も乾燥し、最も風が強い場所でもある。
この氷に覆われた大陸とそれを取り囲む南極海は、この地球上で最後のほとんど手付かずの地域である。
以下はたった一つの統計データだが、このことがどれほど重要かを示している。
南極の深海から湧き上がる栄養分は海流によって遠くへ運ばれ、最終的には、生命にとって不可欠で栄養分に富む海水の70%を供給している。
この海水は南極以外の世界中を循環し、赤道のはるか北に位置する沿岸の漁場に命を吹き込む。

しかし、そんな辺境の地でさえも、捕鯨や漁業などの人類の活動の影響が感じられ、気候変動は南極海で様々な生命に影響を与えるものそのものだ。
何百万年もの間そこで栄えてきた種を含む、クジラからオキアミに至る数多くの種が、冷たい南の海に暮らしている。
しかし、商業的な漁業の拡大は、気温上昇と海洋の酸性化とも相まって、すでに南極半島周辺のオキアミに影響を与えている。
南極半島の周辺海域は、動物の飼料やオメガ3サプリメント注)を得るための漁船団に重宝がられている。
オキアミは南極海の食物網の基盤であり、オキアミの減少は、クジラ、アザラシ、ペンギンの多くの種など、オキアミを食べている南極の野生生物の食料の減少を意味する。

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2015年1月31日 (土)

アホウドリ類とウミツバメ類の保全に関する協定の諮問委員会、海鳥保全の課題に取り組む

和訳協力:野城 尚子、校正協力:久保 直子

2014年9月10日 CMS News

Agreement on the Conservation of Albatrosses and Petrels (ACAP:アホウドリ類とウミツバメ類の保全に関する協定)のEighth Meeting of the Advisory Committee(AC8:第8回諮問委員会)が、2014年の9月15日(月)から19日(金)にかけて、ウルグアイのプンタ・デル・エステにて開催される。
また、代表団首脳の会議が9月14日(日)夕方に開かれる。
ウルグアイでのACAPの会合は初めてである。
これまでに、南米のそのほかの協定加盟国、アルゼンチン、ブラジル、チリ、エクアドル、そしてペルーのすべてで、会議が開催されている。

諮問委員会のPopulation and Conservation Status Working Group((仮)個体群と保全状況ワーキンググループ)およびSeabird Bycatch Working Group((仮)海鳥混獲ワーキンググループ)の会合が、AC8に先行して開催される。
これらの会合もプンタ・デル・エステで行われ、それぞれ9月8日(月)から9日(火)までと10日(水)から12日(金)まで開かれる。

AC8およびそのワーキンググループに関する会議資料は、プンタ・デル・エステでの会合より前にwww.acap.aq.で掲載される予定だ。
その資料の諮問委員会の協議予定を見れば、各ワーキンググループ(Taxonomy Working Group((仮)分類ワーキンググループ)を含む)の報告を検討するだけでなく、協定に新たな種を加えるために加盟国によって提出されたすべての提案も検討することがわかる。
現在の作業プログラムの報告並びに、諮問委員会と事務局両方に提案される向こう3年間の作業プログラムもまた取り上げられるだろう。

ACAPは、アホウドリ類およびウミツバメ類の個体群に対する既知の脅威を軽減するために、国際的な活動を調整することでそれらの保全に努める多国間の協定である。
この協定は2004年2月に発効され、現在13カ国が参加し、アホウドリ類、ウミツバメ類およびミズナギドリ類のうち30種が保全対象となっている。

ニュースソース
http://www.cms.int/en/news/acap-advisory-committee-address-seabirds-conservation-challenges

 

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2014年11月 9日 (日)

違法取引により、さらに多くの世界遺産が危機に

2014年6月18日 IUCN International news release

翻訳協力:井村 春菜、校正協力:藤木 香

野生動物の違法取引が先例のないレベルにまで達していることを受け、タンザニアのセルース猟獣保護区が危機遺産に登録されたことが、カタール首長国のドーハで開催されている第38回世界遺産委員会にて、本日発表された。

この決定は、世界自然遺産に関する正式な諮問機関であるIUCNの勧告に従い、セルース猟獣保護区の保護に対する国際的な行動のきっかけとなることを目的としたものである。

「野生生物の違法取引、特にゾウの密猟は、依然として著しく深刻なレベルにあり、タンザニアはこの違法取引に最も大きな影響を受けている国の一つです」と、IUCNの世界遺産プログラム代表のTim Badman氏は語る。
「セルース猟獣保護区の危機遺産リストへの登録、またこの決定へのタンザニアの積極的な対応によって、この問題に対処するために緊急に必要とされている国際協力体制が強化され、セルース猟獣保護区がその類稀なる価値を取り戻すことを期待しています」。

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2014年10月18日 (土)

オカバンゴ・デルタ、1,000番目の世界遺産となる

和訳協力:下島 深雪、校正協力:遠藤 智子

2014年6月22日 IUCN International news release

地球上でもっとも象徴的な自然地域の1つであるボツワナのオカバンゴ・デルタが22日、1,000番目の世界遺産に登録された。
この決定は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の自然遺産に関する諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)の勧告後に下された。

「オカバンゴ・デルタは、長い間、世界遺産リストにおける最大の欠落の1つとみなされてきました。IUCNは、今回の登録を後押しできたことを誇りに思います」と、IUCNのJulia Marton-Lefevre事務局長は語った。
「並外れた尽力によってこの歴史的な登録を実現したボツワナの関係当局にお祝いを申し上げます」。

ボツワナ北西部に位置するオカバンゴ・デルタは、年間を通じて湿地の場所と季節的に氾濫原となる場所をもつ、扇形の広大な平原で、広さは今年の世界遺産委員会の開催国であるカタールの国土のおよそ2倍である。
毎年乾季に発生する大規模な洪水が、アフリカにおける野生生物が最も集まる地域の1つを支えている。

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2014年7月26日 (土)

クジラフェスタ2014-海洋生物と海洋廃棄物

2014年3月18日 CMS News

和訳協力:坂本 義教、校正協力:日原 直子

WhaleFest2014(2014年度(仮)クジラフェスタ)は、クジラとイルカを祝う世界最大の集いであれとの抱負を抱いて、3月15、16日、英国ブライトンで開催され、確かに傑出したものであった。
世界中から出展者が集まり、有名人、世界トップクラスの専門家、推定8,000人とされる参加者は、慈善団体が行っている仕事について知ったり、仮想のホエールウオッチングにを行ったり、仮想の海底への旅に出かけたり、胸おどるような話に耳を傾けたり、海洋生物とそれらが臨んでいる難題について、ほかの参加者と話し合ったりする機会を利用できた。

CMS(「移動性野生動物の種の保全に関する条約」、通称「ボン条約」)とASCOBANS(バルト海および北海の小型鯨類の保全に関する協定)はこのイベントを開催した共同スポンサーとして、英国のDefra(環境・食糧・地域省)の親切な対応のおかげで、「Ocean Wanderers((仮)海洋をさまようもの)」ゾーンに広々とした展示エリアを設けた。
今年の展示のメインテーマは海洋廃棄物であり、中でもプラスチックは移動性の種にとって最大の問題となっている。
プラスチック製の廃棄物に絡まったり、それを飲み込んだりすることは、海洋廃棄物に関連する最も明白な危険である。
それらには、捨てられた釣具同様に、故意であろうとなかろうと、最後には廃棄物となり果てるそのほかのあらゆる物が含まれる。
きわめて小さな破片(マイクロプラスチック)に分解されたしても、依然として有害であることに変わりはない。
海洋生物に飲み込まれ、食物連鎖に悪影響を及ぼすからである。

ブライトンの海岸で見つかった、ごみと貝殻などの自然素材とで装飾を施された展示ブースでは、プラスチックによる海洋汚染の話題について盛んに議論が行われていた。
ASCOBANSとCMSが制作した新しいリーフレット“Oceans Full of Plastic((仮)プラスチックであふれた海洋)”が一般の人々に配られた。
このリーフレットには、どのようにすればだれもが解決に役立ち得るかについて、役に立つ助言が記載されている。
まず第一に、ごみが海へ流れ込まないようにすることが最善の策である。
したがってプラスチックの使用を減らしたり、実行可能なところでは再利用や、再生利用を行うことがもまたとても重要である。
もう一つの野生生物にとって重要なことは、輪になっているものはどのようなものであれ切り開いておく、ということである。
このような措置を講じておくと、たとえ何らかの方法で自然環境内へ流出したとしても、絡まる可能性ははるかに少なくなる。
また、だれもが海岸や水路で行われる地域の清掃活動に参加できるのである。

そのほかのいくつかの団体も、同じテーマを取り上げていたため、強いメッセージが参加者に伝えられた。

WhaleFestはまた、広く一般に開示される、子供向けのワクワクする新しいオンライン教材を提供する機会ともなった。
それがMinistry of the Environment of Germany(ドイツ環境省)からの親切な支援を受けて開発されたウェブサイト"ASCOBANS Kids"である。
この新しいウェブサイトには、14歳以下の子供向けにあつらえ向きの、クジラやイルカ、ネズミイルカ類に関する膨大な量の情報が含まれている。
このウェブサイトは現在のところ、依然として制作中なので、新しい素材と特集記事がほぼ毎日つけ加えられている。
しかしWhaleFestを訪れている子供達たちにとっては、すでにきわめて人気の高いウェブサイトとなっていた。
子供たちの多くは、Zoological Society of London(ZSL、ロンドン動物学協会)の好意でASCOBANに貸与された2台のコンピュータのうちのどちらか1台を使い、多くの時間を費やし、このウェブサイトを探検していたのである。

http://www.cms.int/en/news/marine-life-and-marine-debris

 

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2014年7月22日 (火)

世界渡り鳥の日2014-先駆的で持続可能な観光の取り組みに焦点をあてる

和訳協力:菊地 清香、校正協力:星子 啓子

2014年5月9日 CMS Press releases

5月10、11日に70か国以上で開催される「世界渡り鳥の日2014」では、世界で真に素晴らしい自然の一つ、フライウェイ(渡りルート)に沿って旅をする渡り鳥たちの壮大な渡りを保護するために、持続可能な観光が果たせる役割に焦点を当てる。

World Tourism Organization(UNWTO、世界観光機関)主導の、今年の世界渡り鳥の日を通じて推進される革新的な新プロジェクトのおかげで、世界で約500億羽と推定される渡り鳥の一部は、持続可能な観光開発の恩恵をほどなく受けられるようになるだろう。

今年の世界渡り鳥の日のキャンペーンは「Destination Flyways(行こうよ、フライウェイ)―渡り鳥とツーリズム」のテーマのもと開催される。
Destination FlywaysはUNWTO主導で現在準備を進めているプロジェクト名でもあり、世界の主要な渡り鳥の渡りルート沿いに位置する観光地で、持続可能な観光開発を進めることを目的としている。

渡り鳥にとって重要な場所として選ばれたアフリカ、アジア、ヨーロッパの8拠点に焦点を当て、環境と社会経済の双方の持続可能性を実現する原動力となり、野生生物、地域社会、旅行者に等しく利益をもたらすことを目的としている。

持続可能な観光の運営のための適切な枠組みの提供、観光の多様化やプロジェクト実施地域と周辺の地域社会の保全への、観光による収益の還元を通じて、Destination Flywaysプロジェクトは、鳥の生息地を保護すると同時に、渡りルート沿いの地域社会に雇用機会を創出するだろう。

海外に出かける旅行者は毎年10億人を超え、世界の貿易収入1兆4000億米ドル(約143兆5000億円、1ドル=約102.5円、2014年6月7日現在)、全世界のGDP(国内総生産)の9%を生み出しており、観光には持続可能な開発に寄与する巨大な可能性があることは明らかである。

「観光が国の豊かさ、企業の収入、地域の雇用をもたらすことは疑いのない事実です。持続可能な形で運営することにより、人と地球の双方に利益をもたらすことができるのです」と、United Nations(国連)のBan Ki-moon事務総長は第20回UNWTO総会に寄せたメッセージの中で述べている。

毎年開催される世界渡り鳥の日のキャンペーンは、Convention on the Conservation of Migratory Species of Wild Animals(CMS、「移動性野生動物の種の保全に関する条約」、通称「ボン条約」)およびAgreement on the Conservation of African-Eurasian Migratory Waterbirds(AEWA、アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥の保全に関する協定)の2つの政府間条約により運営されている。
この2つの、政府間の野生生物に関する条約は、United Nations Environment Programme(UNEP、国連環境計画)が管轄している。
今年のキャンペーンでは、CMSとAEWAがUNWTOほかをパートナーに迎え、観光と環境保全が相互利益をもたらす関係にあることを訴える。

「観光が成長を続けると、環境や野生生物に対する圧力も増加します。適切な運営と保護はもちろん、関連部門の環境意識を向上させるための投資をしなければ、多くの素晴らしい生き物たちが窮地に追いやられることになります」と、国連の副事務総長でUNEP事務局長のAchim Steiner氏は述べた。

「観光はUNEPによって、持続可能で包括的なグリーン経済への移行にもっとも寄与できる10の経済部門の一つに選定されています。今回の重要な取り組みによってグリーン経済への移行が加速すると同時に、多くの地域社会の主要な収入源である観光が確保され、観光で脚光をあびる幾多の種が保護されるでしょう」とSteiner氏はつけ加えた。

UNWTOのTaleb Rifai事務総長は次のように述べた。
「観光は生物多様性の保護を前進させるうえで重要な責務を担っています。毎年、何百万人もの旅行者が旅を通じて世界中の野生動植物と出会い、感銘を受けています。このように人生を豊かにする体験がなかったら、観光が今日のように持続可能な成長の手段にはなり得なかったでしょうし、雇用を創出したり貧困を緩和したりする手段にもなり得なかったでしょう」。

「旅行を通じて自然体験を望む人は多く、特に野鳥本来の生息地でのバードウォッチングに興味を持っている人は世界中に何百万人もいます」と、CMSのBradnee Chambers事務局長は話した。

そして次のように続けた。
「バードウォッチングは、世界で数百万ドル規模をなす野生生物観察産業の重要な要素であり、特に開発途上国のような人口が増加している地域社会では、重要な収入源であり雇用の受け皿となっています」。

Destination Flyways
プロジェクトで選ばれた8か所のうちの1か所は、ケニアとの国境付近、タンザニア連合共和国の北の奥地にあるナトロン湖である。
ナトロン湖は、世界の75%のLesser Flamingo(コフラミンゴ)の生息地であり、東アフリカ唯一のこの種の繁殖地である。

観光がナトロン湖にとっての自然保護問題の解決策となる可能性はあるが、それは地域社会が観光の開発と実行に関わり、観光が実質的な利益を生み出す場合に限られる。
したがって、持続可能な観光が長期にわたる経済活動の代替案となるかどうかが非常に重要である。
例えば、ナトロン湖ではほかの選択肢として、ソーダ灰のくみ上げが提案されているが、フラミンゴ個体群に対する潜在的な危険があるために、深刻な懸念を招いている。

「UNWTO主導のDestination Flywaysプロジェクト、つまり世界渡り鳥の日2014のインスピレーションは、観光と生物多様性がいかにして相互に利益をもたらすことができるかを示す完璧な事例なのです。この世界渡り鳥の日に、10億人の旅行者を、世界の元祖長距離旅行者である渡り鳥を保護するための10億の可能性に変えるために協力してくださるみなさんを歓迎します」と、Rifai事務総長は話した。

世界渡り鳥の日2014を記念するイベントとしては、バードフェスティバルの開催、教育プログラムやバードウォッチングツアー、プレゼンテーションの実施、映画の上映、国際写真コンテストへの着手、また、国際的な自然保護活動のための資金を募るチャリティコンサートの開催などが挙げられる。

世界渡り鳥の日2014およびDestination Flywaysプロジェクトの企画準備は、German Federal Ministry of the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety(BMU、ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省)の多大な支援により実現したものである。

http://www.cms.int/en/news/world-migratory-bird-day-2014-spotlights-pioneering-sustainable-tourism-initiative

 

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