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09 サル

2021年11月16日 (火)

キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト

和訳協力:坂本 義教、校正協力:花嶋 みのり

2020年7月9日 IUCN News

本日公開された「絶滅危惧種に関するIUCN(国際自然保護連合)レッドリスト」の更新版によれば、マダガスカルのすべてのキツネザル類のほぼ1/3(31%)が、今や絶滅の一歩手前の絶滅危惧IA類であり、またキツネザル類のうち98%が絶滅の危機に瀕しているという。
今回の更新版ではアフリカの全霊長類の評価の改訂が完了しており、アフリカのマダガスカル以外の地域の全霊長類種の半分以上の種が危機に瀕しているとの結論が出されている。
また、North Atlantic Right Whale(タイセイヨウセミクジラ)とEuropean Hamster(クロハラハムスター)がともに絶滅危惧IA類に指定されたことも明らかになった。

IUCNレッドリストの掲載種は現在120,000種を超えており、120,372種が評価されている。
このうち32,441種が絶滅の危機に瀕している。

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2021年10月 5日 (火)

霊長類の保護対策の効果、いまだ不十分

和訳協力:矢内 一恵、校正協力:清水 桃子

2020年8月26日 PHYS ORG news

霊長類は、他の分類群に比べて、その人類学的な意義とカリスマ性により、多くの研究者の注目を集め、保護のための資金が提供されている。
にもかかわらず、霊長類の保全はいまだ効果的になされているとはいえない。
現在までに、霊長類の約60%の種が絶滅の危機に瀕しており、75%は個体数が減少している。

今回の新しい研究の著者らは、この矛盾の原因は、世界中の霊長類を効果的に保護するための根拠が圧倒的に不足しているためだとしている。
研究は、ケンブリッジ大学のConservation Evidenceイニシアティブの科学者だけでなく、59人の霊長類研究者と専門家からなるチームによってまとめられ、約13,000件の霊長類研究を調査した。
これらの研究のうち、霊長類の保全対策の有効性を調査したのはわずか80件で、他の分類群に比べて非常に少ない。
さらに、これらの保全対策の実施に関する研究の対象となったのは、絶滅の危機に瀕している霊長類のわずか12%と、現在認識されている全霊長類種のわずか14%だけであった。

保全対策の実施に関する研究では、体格の大きな霊長類や旧世界ザル、特に大型類人猿に焦点を当てていたが、メガネザルやヨザルのような、サル目全体には及んでいなかった。
「研究対象を選ぶ際、種が危機に瀕しているかどうかは、科学者にとっては何の役割も果たしません」と、ケンブリッジ大学動物学部のSilviu Petrovan博士とともにこの研究を主導した、iDiv(ドイツ統合生物多様性研究センター)、MLU(マルティン・ルター大学)およびMPI-EVA(マックス・プランク進化人類学研究所)に所属するJessica Junker博士はいう。
「それゆえ、多くの脆弱種を効果的に保護し、管理するために必要となる科学的根拠に基づいた情報が不足しているのです」。

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2019年2月16日 (土)

コンゴ共和国がゴリラやゾウの住処となる新しい国立公園を指定

和訳協力:加藤 有起枝

2018年11月14日 MONGABAY記事より一部抜粋

コンゴ共和国は5番目の国立公園を正式に指定し、大型類人猿やマルミミゾウのほか、絶滅の危機に瀕している野生生物の保護に乗り出すこととした。

新しいOgooue-Leketi国立公園は3,500km2に及び、隣接するガボンのバテケ高原国立公園に境界を接している。
2つの国立公園は合わせて5,500km2以上になる国境を越えた保護地域を形成している。

Ogooue-Leketiは、バテケ高原景観の一部でもあり、砂丘の上に広がる緩やかな起伏の広大なサバンナが、長い帯状の密林とターコイズブルーの色をした川が流れる谷に遮られたユニークなパッチワーク状の景観をなしている。
このサバンナ-森林複合地域は、2004年以降国の森林経済省とともに調査を行っている、野生生物保護協会コンゴプログラムのプレスリリースによると、コンゴ共和国以外では見られない数種の絶滅危惧種の生息地となっている。

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2018年12月18日 (火)

人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か?

和訳協力:深井 悠

2018年10月15日 Mongabay記事より一部抜粋

どんな景観であれ、それを定義する特徴を人間はしばしば「境界」ととらえているのに、他の種にとってはほとんどの場合そうではない。
その一方で、道路や一続きになっている物、または電柱などについては、人間は強固な境界とはみなさないかもしれないが、他の種にとっては地の果てに等しいのだ。

人間の活動は世界中で、森であれ湿地帯であれマングローブであれ、本来の景観を断片化したものがモザイク状に分布する景観へと変えてきた。
今日、ほとんどの地域では、どの方向であれ100km車を走らせれば、森や耕作地、大規模農場、人間の居住地、工業地帯などがモザイク状に分布するのを目することだろう。
そしてこの改変はすべて、ただ一つの種、人類を念頭に行われてきたのだ。

景観が変えられた後、そのほとんどは野生生物種の存在を脅かすものだが、保全のための研究や活動は保護地域の状況と現実に即した形で行われ、そういう保護地域周辺のモザイク状景観の重要性や、その内部における複雑な相互作用についてはほとんど対処してこなかった。
研究では徐々に、ヒョウやゾウなどの数種の生物を挙げて、人間優位の景観の利用の度合いや多様さを明らかにしつつある。

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2018年12月11日 (火)

カメルーンの内乱で数千人が保護地域に逃れ、野生生物が危機に

和訳協力:河村 美和、校正協力:佐々木 美穂子

紛争により追放された多くの人々が生物多様性ホットスポットに逃れ、そこで家を建てるために森林を伐採し、生きるために絶滅が危惧される動物を狩猟している。

2018年7月12日 African Arguments News

正午ごろ、カメルーン西部の低木林が繁茂する場所で、Nsong Gabriel氏は現地で作ったティーカップをとるために、簡単な作りの小さな小屋に入った。
彼は片手に古いライフル銃を、もう片方の手には彼が前日に仕掛けた罠にかかったヤマアラシ1匹と猿2匹を引き連れていた。

彼は今回の狩りでは得るものが少なかったと不満を漏らした。
「大体はワニやヤマアラシ、サル、レイヨウ、ヘビ、カワイノシシなんかが捕れるのに」と、彼は言う。
とはいえ、少なくとも何某か捕れたし、それを生活必需品と交換することができるだろう。

「ここにブッシュミートを買いに来る人が持ってくる、少しの現金とマギー(インスタントスープの1種)や塩、米と、捕まえた動物を交換するんです」と、彼は説明する。

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2018年9月29日 (土)

ゴリラの聖域である熱帯雨林、コンゴの石油開発に許可が下りるか

和訳協力:木田 直子

2018年6月27日  Bloombergニュースより一部抜粋

コンゴ民主共和国は、世界的に有名な2つの国立公園での石油開発を許可すべきか検討している。

原油探査の許可が決定されれば、現在生き残っているとされる約1,000頭のマウンテンゴリラのうちの多くが生息するヴィルンガ国立公園と、世界で2番目に大きな熱帯雨林保護区であるサロンガ国立公園が脅かされる可能性がある。
コンゴ民主共和国には、大西洋岸沿いの古い鉱区からの原油の産出を、1日あたり25,000バレルから増産する計画があり、この計画の提案を議論するための委員会の設立が現在進行中だ。

「私たちは今ちょうど、この組織を超えた委員会を立ち上げている最中です」と、コンゴ民主共和国石油省のEmmanuel Kayumbaチーフは、首都キンシャサにおけるインタビューで語った。

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2018年9月 1日 (土)

コンゴのヴィルンガ国立公園を旅行者に対し2019年まで閉鎖

和訳協力:加藤 有起枝

2018年6月4日 The Gardianニュースより一部抜粋

アフリカで最も古い国立公園が、レンジャーの死亡と、今年の地元武装勢力によるイギリス人旅行者2名の拉致のために、2019年まで旅行者に対してその門を閉じることとなった。

コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園は、世界的に有名なマウンテンゴリラの群れの生息域だが、国内はますます不安定になり、暴力事件が増加している。

この10か月の間、ヴィルンガ国立公園では少なくとも12名のレンジャーが武装勢力や密輸業者との衝突で殺害され、公園の歴史において最も血塗られた期間の一つとなった。

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2018年7月17日 (火)

新種の類人猿、中国のダム建設が脅威に

和訳協力:蛯名 郁矢

2018年4月23日 The Guardianニュースより一部抜粋

2018年11月、科学者から驚愕の発表があった。何気ない風景の中に新種の類人猿が潜んでいたことに気づいたというのだ。地球上に生息することが分かったようやく8種目となる類人猿である。

タパヌリオラウータンは、スマトラ北部で生存しており、既に世界で最も絶滅の危機に瀕している類人猿となっている。研究者によれば、生存している個体数は800頭以下だと見積もられている。こうした発見にも関わらず、タパヌリオラウータン個体群の生息地のちょうど真ん中で進められている、中国国営企業のSinohydro社(中国水利水電建設集団)による、巨大ダム建設計画に伴う森林伐採は中止されていない。複数のオラウータンの専門家は、Sinohydro社が建設するダムは、タパヌリオラウータンにとって喫緊の死活問題であるとしている。

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2018年4月10日 (火)

地球の半分は野生生物に渡すべき?

和訳協力:西田 実幸

2018年2月18日 The Guardianニュースより一部抜粋

オランウータンが暮らす森と引き換えに作られるパーム油プランテーションの拡大によって、2050年までに少なくともあと45,000頭のオランウータンがいなくなるだろう、と環境保護論者は言う。
地球上で最も目立つ生き物のひとつであるオランウータンは、コガシラネズミイルカやジャワサイ、ニシローランドゴリラ、アムールヒョウなど、現在劇的に減少が続いている多くの種とともに、忘れ去られようとしている。
これらの生き物は、人類の狩りたい・利用したい・開拓したいという衝動によって犠牲となった、タスマニアタイガーやドードー、ハシジロキツツキ、ヨウスコウカワイルカにすでに降りかかった運命によって脅かされている。

その結果、人類はまもなく野生生物がいなくなった世界に取り残されてますます孤立化し、飼い馴らされた生き物とその寄生生物だけとともに生活するようになる、と科学者たちは警告する。
この恐ろしいシナリオは、ロンドンで2月27~28日にかけて開かれる重要な会議―Safeguarding Space for Nature and Securing Our Future―の背景要因となっている。

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2017年11月16日 (木)

人間の活動によって世界の霊長類が絶滅の危機に-流れを逆転させるには世界規模の注目が必要

和訳協力:三尾 美里、校正協力:花嶋 みのり

2017年1月19日 African Conservation Foundation News

生物学上、私たちに一番近い親族である非ヒト霊長類は、多くの社会において、暮らし、文化、信仰に重要な役割を果たし、人類の進化や生物学、行動、新興感染症の脅威について独自の識見を提供している。
非ヒト霊長類は熱帯の生物多様性に不可欠な要素であり、森林再生と生態系の健全性に貢献している。

最新の情報によると、新熱帯区、アフリカ本土、マダガスカル、アジアに分布している79属504種の存在が明らかになっている。
驚くべきことに、霊長類の種の約60%が現在、絶滅の危機に瀕しており、約75%が個体数を減少させている。

このような状況は、霊長類自体とその生息環境に対して、主には世界的、地域的な市場の需要などといった、人間活動に起因する圧力が高まった結果である。
また、霊長類の生息する地域での産業型農業の拡大、大規模な牛の放牧、樹木の伐採、石油やガスの掘削、採鉱、ダムや新しい道路網の建設を通じて、広範囲におよぶ生息環境の喪失を招いている。

その他の重大な要因となっているのは、気候変動やヒト媒介性の疾患といった新たな脅威と併せて、ブッシュミートの狩猟の増加、霊長類のペットとしての違法取引や身体部分の違法取引である。
ほとんどの場合、こうした圧力が相乗効果的に働き、霊長類の個体数の減少に拍車をかけている。

極度の貧困によって特徴づけられ、急速に人口が増えている人間の集団と、霊長類生息地域が広範囲に重なることを考えれば、迫りくる霊長類絶滅の危機を覆すために、また持続可能な方法で地域の人々のニーズに応えるためには、直ちに世界中が注視することが必要である。

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