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2017年8月18日 (金)

アンデス高地に生息するカエルはカエルツボカビに対し従来考えられていた以上の回復力を有していた

和訳協力:坂本 義教、校正協力:鈴木 洋子

2017年2月17日  WCS News Releases

ペルーのビルカノータ山脈に生息するカエル類を10年間調査した結果、致死性のカビと気候変動に耐えて生き延びた両生類の存在が判明した。
研究者はchytrid fungus(カエルツボカビ)を即時に同定できるポータブル分子検査機を利用した。

この10年間、ペルーアンデス山脈で研究を行っている野生生物の保健衛生の専門家と環境科学者から成るチームが驚くべき発見を成し遂げた。
Wildlife Conservation Society(WCS:野生生物保護協会)やその他のグループによれば、大抵の両生類にとって致命的となる気候変動やカビの脅威が存在するにもかかわらず、高地に生息するカエル類やヒキガエル類が生き延びている、というのである。

研究者たちはかつて、ペルーの氷河で覆われたビルカノータ山脈に生息する3種のカエルとヒキガエルが、世界の両生類の個体群にすさまじい影響をもたらす病原体のカエルツボカビ(学名:Batrachochytrium dendrobatidis)、および気温上昇という二重の脅威の結果として、絶滅するのではないかと恐れていた。
しかし驚くべきことだが、これらの動物は繁殖を続け、生き延びていることが確認された。
この新しい研究結果はEcology and Evolution誌に掲載されている(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.2779/full)。

「2007年に行った前回の研究で報告したように、こうした山地の生息環境では気候条件が変化し、さらにツボカビ類も存在するため、我々は時間とともにカエルの種が絶滅する光景を目にするだろうと予測していました」と、Tracie Seimon博士は語った。
博士はブロンクス動物園に拠点を置くWCSのZoological Health Program((仮)動物保健衛星プログラム)の分子科学者であり、本研究の筆頭著者の一人でもある。
「私たちが今、これらの両生類の個体群で目にしているものは、私たちの最初の仮説に反するものです。またカエルの減少は回復に転じる可能性さえあるのです」。

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2017年6月20日 (火)

チリがパタゴニア海洋保護区ネットワークを総設

和訳協力:松岡 真由美、校正協力:久保 直子

2015年10月6日 WCS News Releases

新設される保護地域のネットワークは、クジラ、イルカ、アザラシ、海鳥、そして、世界最大のフィヨルド地帯を保護することになる

Waitt Foundation(ウェイト財団)は、WCS(野生生物保護協会)およびチリの環境省と提携し、新設する海洋保護区を効果的に運用するための立案また計画の支援を約束

計画では、チリの海洋保護区を2020年までに10%拡大する予定

チリ政府は、本日、バルパライソにて開催するOur Oceans Summit((仮)私たちの海洋サミット)において、パタゴニアのクジラ、イルカ、アシカ、海鳥、またその他の沿岸の生物多様性の保護を目的とした海洋保護区のネットワークを設定する計画および、国内の保護水域を10万km2(38,000mile2以上)まで拡大する計画を発表した。

ウェイト財団が3年間の資金提供を確約したことで、新設される海洋保護区ネットワークによって、Aichi Targets(愛知ターゲット)に合わせた、2020年までに関連する生態系の10%を保護するという目標を、チリは達成できるだろう。

「環境省の未解決課題は沿岸の生態系の保護で、沿岸は利用に関して有効競争注1)の状態にあるのです」と、Pablo Badenier環境大臣は語る。
「ウェイト財団の支援を得つつ、WCSと協力して我々が進むべき道を進むことは、だからこそとても大事なのです。パタゴニアのフィヨルドの保全は、より深い理解とより良い評価を得るに値します」。

この初の海洋保護区ネットワークは、シロナガスクジラやザトウクジラ、ミナミセミクジラなど多くの海洋生物種の生息地であるチリ南部のエコリージョンを保護することになるだろう。
この地域には、その他ハラジロイルカ、ミナミカマイルカ、イロワケイルカ、オタリア、ミナミアメリカオットセイ、ミナミゾウアザラシ、ヒョウアザラシなどの海獣類、そして鳥類では、マユグロアホウドリ、ハイガシラアホウドリ、マゼランペンギンなどが生息する。
この地域はまた、漁業や養殖業、観光業などの重要な産業も支えている。

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2017年4月21日 (金)

違法取引によりサボテンが世界で最も絶滅の危機が迫る種に-IUCNレッドリスト

和訳協力:山崎 有起枝、校正協力:山本 麻知子

2015年10月5日 IUCN International news release

サボテンの種の31%が絶滅の危機にあるとする、IUCN(国際自然保護連合)とパートナーによる初のサボテン種群に関する総合的な世界評価書が本日発行の科学雑誌Nature Plantsで公開された。
これはサボテン類が、IUCN Red List of Threatened SpeciesTM(絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト)で哺乳類や鳥類よりもさらに危険性の高い、最も絶滅のおそれがあるグループに分類されたということだ。

報告書によると、世界中のサボテン1,480種の半数以上が人によって利用されており、人間の活動からくる圧力は増している。
持続不可能な収奪と同様に、園芸用や私的な収集を目的とした、生きた植物体や種子の違法取引はサボテン類にとって大きな脅威であり、サボテンの絶滅危惧種の47%に影響を与えている。

「これらの調査結果は憂慮すべきものです」とIUCN事務局長のInger Andersen氏は語る。
「今回の評価結果は、植物の取引を含めた違法な野生生物取引の規模が、我々が当初想定していたよりもはるかに多いこと、また世界的に注目され人々の関心を集めやすいサイやゾウなどよりも、もっと多くの種に違法な野生生物取引が関与していることを示してます。これらの種のさらなる減少を食い止めるためには、速やかに違法な野生生物取引に対抗する国際的な活動に取り組み、CITES(Convention on International Trade in Endangered Species:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の履行を強化しなければなりません」。

サボテンに対するその他の脅威としては、絶滅危惧種の31%に影響を与えている小規模な畜産農家の放牧や、24%に影響を与えている小規模な農家の毎年の耕作などが挙げられる。
宅地開発や商業施設の開発、採石、水産養殖、特にエビの養殖はサボテンの生息地へと広がっており、これらもまたサボテン類への大きな脅威となっている。

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2015年4月24日 (金)

チリで絶滅危惧種のフンボルトペンギンが守られる

和訳協力:橋村 吾土子、校正協力:木田 直子

2015年1月27日  Island Conservation News

チリのIsland Restoration Project((仮)島嶼再生プロジェクト)が絶滅危惧II類のフンボルトペンギンと地元経済を救う
(仮)島嶼再生プロジェクトで外来種のアナウサギの駆除に成功

Chilean Forestry Corporation(CONAF:チリ森林公社)は国際NGOのIsland Conservation (アイランド・コンサベーション)と初めて手を組み、チリの島々の劣化した生態系を回復させる事業を行なう。
近ごろ実施した監視調査に引き続いて、両団体は今日、フンボルトペンギン国立保護区にあり、この種のペンギンの最大の個体群の生息地であるチョロス島で、外来種のEuropean Rabbit(アナウサギ)の駆除がうまくいっているという朗報を発表した。

外来種のアナウサギは、International Union for the Conservation of Nature(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧II類とされるフンボルトペンギン(学名:Spheniscus humboldti)や絶滅危惧IB類とされるPeruvian Diving-petrel(学名:Pelecanoides garnotii、ペルーモグリウミツバメ)をはじめとした、島の環境にとって深刻な脅威だとみなされていた。
そしてこのことがまた、自然資源によって成り立つ観光事業(ネイチャーベースドツーリズム)のビジネスチャンスを狭め、地元住民の暮らしにも影響を与えていた。

現在、チョロス島にはこの有害な外来種がいなくなり、島の在来動植物が回復する機会が生まれている。
このプロジェクトは、この地域の島の生態系を回復させ、地元の海洋経済や観光経済、食の安全、住民の福祉、そして生物多様性や地域の自然遺産の保護を支援する、大々的な取り組みの根幹部分となっている。

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2014年10月12日 (日)

不正取引罰則強化のためにパラグアイで先駆的セミナーが開かれる

2014年6月27日  CITES other news items

翻訳協力:高橋 哲子、校正協力:真井 悠美子

先日、CITES(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、通称「ワシントン条約」)事務局は、INTERPOL(国際刑事警察機構)事務総局の法務部(仏リヨンにある)およびパラグアイの検察庁が、パラグアイの首都アスンシオンで、2014年6月2日から4日に開催した、不正取引および偽造に関するセミナーに参加した。

このセミナーにはパラグアイの検察官、法執行担当者および政策立案者も参加し、不正取引と偽造の取り締まり強化を目指した。
CITESの効果的な実施、UN Convention on Transnational Organized Crime(「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」、通称「国際組織犯罪防止条約」)、UN Convention Against Corruption(「腐敗の防止に関する国際連合条約」、通称「国連腐敗防止条約」)、WTOのAgreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)、国際連合の軍備規制に関する条約および、Protocol to Eliminate Illicit Trade in Tobacco Products(たばこ製品の不法取引を廃絶するための議定書)などの、広範囲に及ぶ問題がセミナー開催中に検討された。
また参加者は、通信の監視などのような、様々な特殊技術に関する情報やその経験を交わし合った。

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2014年9月30日 (火)

エクアドルで危機せまる野生生物の生息地を恒久的に保護

和訳協力:滝野沢 ゆり、校正協力:長井 美有紀(Myuty-Chic)

2014年5月2日 IUCN News story

IUCN SSC(国際自然保護連合種の保存委員会)のAmphibian Specialist Group(両生類専門家グループ)/Amphibian Survival Alliance((仮)両生類保存同盟)やRainforest Trust(RT、(仮)レインフォレスト・トラスト)、Global Wildlife Conservation(GWC)、American Bird Conservancy(ABC、アメリカ鳥類保護協会)などの協力団体が集まって、地元の協力団体であるFundacion Jocotoco(ホコトコ財団)が6,100エーカーにおよぶエクアドルの重要な野生生物の生息地を購入できるよう取り計らった。
ホコトコ財団は、6000エーカーほどの土地と隣り合ったSunfohuaycoの土地をそれに先立って購入していた。
広大な土地を取得したことにより、ほかの場所では発見されていない絶滅危惧種の3種のカエルや、Andean Condor(Vultur gryphus、アンデスコンドル)の北アンデスでもっとも大きな個体群を、恒久的に保護できるようになる見通しだ。

最後にHacienda Antisanillaと呼ばれる6,100エーカーの土地を取得し、Ministry of Natural Resources of Ecuador(エクアドル非再生天然資源省)、ホコトコ財団、キト市当局、そして絶滅危惧種を保護するとともに首都エクアドルの重要な飲用水源を確保するQuito Water Authority(EMAAP-Q、キト市上下水道公社)による、プロジェクトがついに完了した。
このグループによる保護地域は、全体でおよそ27万エーカーにおよぶ。

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2014年6月16日 (月)

中南米諸国がサメ類の持続的な世界取引の促進に一丸となり取り組む

翻訳協力:湊 紗矢可、校正協力:赤木 理恵

2013年12月5日 CITES Press Releases

ラテンアメリカとカリブ海の28カ国より70名以上の代表が、2013年12月2日から4日にブラジルのレシフェに集まり、Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、通称「ワシントン条約」)で採択された、サメ類5種の国際取引に関する新しい基準の履行に焦点を当てたワークショップに参加した。

2013年の初めにバンコクで開かれた会合で、CITES加盟国は商業的に利用されているサメ類5種の取引を規制することに同意した。
oceanic whitetip shark(ヨゴレザメ)、hammerhead sharks(シュモクザメ属)の3種(scalloped(アカシュモクザメ)、smooth(シロシュモクザメ)、great(ヒラシュモクザメ))およびporbeagle shark(ニシネズミザメ)が、ワシントン条約の附属書Ⅱに掲載された。
これは、これらの種のいかなる国際取引においても、それらの種が持続可能かつ合法的に捕獲されたことを証明するワシントン条約の文書を伴わなければならないことを意味する。
新しい附属書のリストは2014年9月に施行される。

これらのサメ類に対する新たな国際取引の必要事項の履行について、ラテンアメリカ・カリブ海諸国を支援するため、アメリカ合衆国や条約事務局および、いくつかのCITESのパートナー組織のサポートのもと、ブラジル政府が「(仮)ワシントン条約付属書Ⅱに記載されたサメ類に関する地域ワークショップ―施行に向けて」を主催した。
この地域ワークショップには、新たなサメ類の国際取引の必要事項を履行する諸国を支援するのに有効なツールや方策について議論するため、CITESの管理当局および科学当局、そして漁業の専門家が世界中から集結した。

「このワークショップは、サメ製品の持続的利用と取引の促進に関するものです」とUniversidade Federal Rural de Pernambuco(ペルナンブコ連邦農科大学)の漁業・水産養殖学科の教授であるFabio Hazin博士は言う。
「今日集った多くの国々にとってサメ漁はとても重要です。これほど多くのラテンアメリカ・カリブ海諸国が参加したことは、この地域の持続可能なサメ取引に対する強い意欲の表れです。我々はサメ漁がしっかりと管理されることにより、サメの種が保全され、誰もが、そして将来の世代も利用できるようにしたいのです」。

「条約事務局は2014年9月14日まで、関係当局がサメ類の新しいリストの履行に十分備えられるよう、各国や利害関係者と密接に連携して活動しています」とCITESのJohn E. Scanlon事務局長は言う。
「我々は、この成功を収めた地域的イニシアティブに関して、ブラジル政府とアメリカ合衆国のリーダーシップに大変感謝しています。これにより、新しい規制に係わるすべての人々-規制当局や漁業者、取引業者そして消費者のための実用的手段を、水産業界とCITES当局が、ともに築き上げることができました。我々はCITESの加盟国や協力機関とともに、ほかの発展途上地域でもこのようなワークショップを開催していきたいと思います」。

専門家は、このワークショップで、事前に各国から具体的に必要だとみなされたことを元にして、法的な課題、管理上の課題および科学的論題を幅広く取り上げた。
特にサメ類の識別能力の向上や、その地域で捕獲されたサメについてのデータ収集およびデータ報告の改善、そして取引されているサメ個体の追跡強化に役立つ情報を提供し、ツールや技術の使い方についての実演を行った。
参加者には、現在リストに記載されている種に対してのCITES履行状況についての実例が紹介され、またサメ製品を、捕獲から輸出するモニタリングするために、一連の管理をどのように組み立てているかが発表された。

ワークショップは、サメ類の保全および管理に関する国際的な措置についての認識を高めることにも役立った。
参加者は、地域のニーズやラテンアメリカ・カリブ海諸国でのCITESのサメ類リストを履行するための次のステップを確認した。
サメ類の現状についての科学的調査、国内法、サメの取引における関税コードの統一化、そしてDNA検査の技術移転が優先事項として挙げられた。
これらの優先分野は、2014年9月の施行日に向け、今後の活動を決める際に役立つはずである。

持続的なサメ類の取引は、強力な国際協力を介してのみ取り組める地球規模の課題である。

ワークショップで行われた議論のおかげで、終了時には参加者は情報交換の機会を得ることができ、また新しいサメ類リストの施行へ向けての次のステップを確認し、前へ進むためのツールやアイディアについて話し合った。
「コロンビアにとって、ほかの国々がどのようにサメ漁や取引規制について管理しているかの実例を聞くことができたのは、とても有意義なことでした」とコロンビア環境省のJuan Pablo Caldas氏は言う。
「ここで議論されたサメ類の識別方法は非常に役立ちました。本国でも活用しようと思っています」。

http://www.cites.org/eng/news/pr/2013/20131205_shark_workshop.php

 

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2014年3月18日 (火)

ブラジルでクチジロペッカリーの通り道から考古学的発見

WCSの研究者が4千~1万年前の洞窟画を発見

翻訳協力:桂 康子、校正協力:佐々木 美穂子

2013年11月7日 WCS Press Releases

ブ ラジルのパンタナール湿原とセラード高原の生物群系をつなぐ森林で、Wildlife Conservation Society(WCS、野生生物保護協会)と現地協力NGOのInstituto Quinta do Solの研究者チームが、white-lipped peccaries(クチジロペッカリー)の追跡および環境データの収集をしていた際に、数千年前の狩猟採集社会の人々が描いた古代の洞窟画を発見した。

その洞窟画は、考古学者Rodrigo Luis Simas de Aguiar氏とKeny Marques Lima氏が、雑誌Revista Clio Arqueologicaで最近発表した調査研究の主題となっている(*下記のリンク参照)。
著者らによると、洞窟画の表現の多様性は、パンタナールとの境界部分のセラード高原地帯から出た岩の芸術に関する我々の知識を、大幅に増やすものである。

「我々は、WCSの仕事としては、重要な野生生物種とそれらの生息地を保護するのに役立つ、持続可能な土地利用の促進に専念しています」と、WCSのブラジルプログラムの研究者のAlexine Keuroghlian博士はいう。
「よく僻地で活動するので、時々驚くような発見をすることがあります。今回の発見は、この地域での文化史を理解する上で重要なものだと思います」。

その発見は、2009年のブラジルのセラード高原でのことであり、この時、Keuroghlian氏とそのチームは、クチジロペッカリーの調査をしていた。
クチジロペッカリーとは、ブタに似た群れをなす動物で、長距離の移動をし、健全な森林の環境的指標である。
ペッカリーは森林伐採や狩猟といった人間の活動に脆弱で、メキシコ南部からアルゼンチン北部の従来の広い生息地域から姿を消しつつある。
同チームは無線樹つき首輪をつけたクチジロペッカリーからの信号とペッカリーの群れのエサ探しの道を辿っていくうちに、突出した砂岩層の連なりに行き当たり、そこにある洞窟で動物や幾何学的な形の壁画を複数発見した。

Keuroghlian博士は洞窟画のこの地域での専門家であるAguiar氏に連絡を取った。
Aguiar氏は、それらの洞窟画は4千~1万年前に洞窟に住んでいた、あるいは、特に芸術活動のために使用した、狩猟採集社会の人々によって描かれたものであると断定した。
Aguiar 氏の述べるところでは、壁画のいくつかの様式は、考古学者がプラナルト(ブラジル中央高原)伝統と呼ぶものと同様であり、驚くべきことに、とりわけノルデ ステ(ブラジル北東部)あるいはアグレステ(ブラジル北東部の森林から乾燥地への変わり目)様式の壁画にはもっとよく似ているというのだ。
洞窟画には、アルマジロ、シカ、大きなネコ、鳥、爬虫類などの動物の集まり、また、人間のような姿や幾何学的な記号が描かれている。
意外なことに、この地域でのWCSの調査の対象であったペッカリーは描かれてはいない。
Aguiar氏は洞窟画を完全に解釈するために、洞窟の床の発掘と地質学的年代決定を行うことを望んでいる。

「洞窟画の発見は、セラードとパンタナールの生態系の保全が、文化遺産と自然遺産両方のために重要であることを、強く主張するものです」と、WCSのラテンアメリカ・カリブ海プログラムの責任者であり、マヤ考古学の専門家であるJulie Kunen博士は述べる。
「我々の願いは、地域の土地所有者達と協力して、これらの洞窟画の遺跡とその周辺の森林を保護することです。そして文化遺産と洞窟画に描かれている野生生物を、未来の世代に渡って守ることです」。

*研究報告はこちら(スペイン語のページが別ウィンドウで開きます)

http://www.wcs.org/press/press-releases/cave-drawings-discovery.aspx

 

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2013年12月20日 (金)

人間による影響がアルゼンチンの森林に変化をもたらす――寄生虫には恩恵、野鳥には試練

Wildlife Conservation Society(野生生物保護協会、WCS)の研究がヒツジバエ科のハエによる感染病の主要要因を明示する。
降水量の増加および森林破壊が成長過程にあるひな鳥の寄生虫感染増加を導く

翻訳協力:菊地 清香、校正協力:久保 直子

2013年7月15日 WCS Press Releases

WCSおよびアルゼンチンのUNL-CONICET(リトラル国立大学-科学技術研究委員会)が管轄するInstituto de Ciencias Veterinarias del Litoral(ICIVET LITORAL、(仮)リトラル獣医学機構)のDisease Ecology Laboratory((仮)疾患生態学研究所)による新たな報告は、アルゼンチンの森林における降水量増加および植生構造の変化―この地域での気候変動と森林破壊に起因する―が、ヒツジバエ科の一種であるPhilornis torquansの幼虫による巣の中にいる若鳥の寄生虫感染の増加を導いていることを示した。

アメリカ大陸全体の温帯そして熱帯の地域では、野生のひな鳥が寄生バエの標的である。寄生バエの幼虫は餌をもらうひな鳥たちの皮膚の下に潜り込み、皮下ハエウジ症として知られる疾患を引き起こす。
この研究では、科学者たちがこれら寄生虫の個体数状況を調査し、降水量や植生構造のわずかな変化、巣の密集が重なると、ひな鳥一羽あたりの寄生虫の数が大幅に増加することを発見した。

『森林の鳥類スズメ目における寄生バエ感染症の多層的決定要素』の記事が、オンライン学術雑誌PLoS ONE(http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0067104)の最新版に掲載された。
執筆者は、WCSのGlobal Health Program((仮)全世界保健プログラム)および(仮)疾患生態学研究所所長のPablo Beldomenico、そしてDario Ezequiel Manzoli、Leandro Raul Antoniazzi、Maria Jose Saravia、Leonardo Silvestri、David Rorhmannは、ICIVET LITORAL, UNL-CONICET所属である。

野鳥のハエウジ症について疫学調査が行われた6年の間、繰り返し観察した4,000羽以上のひな鳥が記録された。
Philornis torquansの幼虫は調査した鳥57種のうち22種に寄生し、最も高い罹患率がgreat kiskadee(キバラオオタンチョウ、41.2%)、greater thornbird(オオアレチカマドドリ、12.6%)、そしてLittle Thornbird(10.6%)で確認された。

寄生虫の個体数の変動要因について、多様な観点(まだ巣立たないひな鳥たちの各個体、同じ母鳥から生まれ同時期にかえったひな鳥たち、特定の週齢の群れ、および特定の年齢の群れ)から考察したうえで、研究者たちは下記の結論を出した。

・まだ巣立たないひな鳥の各個体の分析結果は、感染が宿主の種および日齢で決まることを示した。研究者たちは、寄生バエの成虫は宿主としてキバラオオタイランチョウを好んで狙ったが、キバラオオタイランチョウに会えなかった時は、他種にも順応したことを発見した。平均幼虫個体数はひな鳥一羽あたりの幼虫の数で明示され、最高数になるひな鳥の日齢は宿主の種によって異なっている。
・微小生息域の観点で考えられる寄生虫個体数の変化の主な要因は、周囲の森林の高さの平均である。巣の高さでは違いはなかったが、森林の高さがわずかでも高いと平均幼虫個体数が大幅に減少する結果になった。なぜこのようになるかは不明だが、同じ樹種で高さの異なる森林の湿度と気温を測定する研究が予定されている。
・群れの観点において、気候変動すなわち降水量や気温は、明らかに幼虫数に関係していた。激しい雨の1か月後には、平均幼虫個体数がかなり増加した。総じて、雨の多い年は鳥たちにヒツジバエ科のハエの寄生数が多くなった。
・加えて、宿主の密集度も主要な要因であった。1haあたりのひな鳥の数が増えると、ひな鳥一羽あたりの幼虫の体内総数も増加した。

WCSおよび(仮)疾患生態学研究所が共同で行った先の研究では、寄生している幼虫が多いひな鳥ほど、成長率および死亡率に対する影響が大きくなることを指摘している。
例えば、幼虫10匹に寄生感染したひな鳥は、3日以内に死ぬ可能性が2倍となる。

調査はまた、森林の崩壊の結果、同じ母鳥から生まれ同時期にかえったひな鳥たちが過密状態になっている証拠を示した。
著者たちは、気候変動や森林破壊が続いたことから来る降水量や気温の上昇が、もっと深く関係している原因であると信じている。

「先行研究の内容とこれらの結果をあわせて分析すると、寄生虫にとっては理想的な、鳥たちにとってはひどく悪い状況になる見通しです」と、Pablo Beldomenico博士は語る。
「この地域の気候変動予測では、降雨量の増加および気温の上昇が懸念されます。鳥たちが巣を作る森林の生息地は不足し、そしてその結果、同じ母鳥から生まれ同時期にかえったひな鳥たちは過密状態になります。この起こり得る筋書は、寄生虫の増殖を促進し、そしてひな鳥たちがその犠牲に苦しむのです」。

「気候を変え、原生林の伐採や破壊を続るならば、それらの行動による影響が野生生物の健康に影響を及ぼすのを見続けることになります。いつかは、それらが私たち人類にも影響を及ぼすことになるでしょう」と、ICIVET LITORALの獣医師Dario Manzoli氏は語った。

研究者たちは、この寄生虫による病気の拡大の傾向を調査し、そして観察した結果に隠された構造を明らかにする新しい研究を計画している。
この研究によって得た知識は、寄生虫の適切な時期の予防処置や活動軽減の決定的な情報になるだろう。

この調査は、Morris Animal Foundation(モリス動物財団)とアルゼンチン科学技術研究委員会の多大なる支援により実現した。

http://www.wcs.org/press/press-releases/impacts-of-human-driven-change-on-argentine-forests.aspx

 

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2013年12月 6日 (金)

絶滅の縁からよみがえったガラパゴス諸島の生物たち

翻訳協力:加藤 美和、校正協力:鈴木 洋子
 
Pinzon Giant Tortoise(ピンソンゾウガメ)と希少種であるRabida land snails(ラビダ島の陸生巻貝類)は、ガラパゴス諸島のネズミがいなくなった島での繁栄が期待されている
 
2013年7月24日 Island Conservation News
 
エクアドル領の有名なガラパゴス諸島の島であるピンソン島は、これまでで最もうまく種の回復が進んだ舞台の1つである。
100年以上前、侵略的外来種であるクマネズミ(Rattus rattus)がピンソン島に侵入し[1]、ピンソンゾウガメ(Chelonoidis ephippium)の無防備な卵やふ化したての幼体を食い荒らし始めた。
20世紀末までに、島固有の種である[2]このゾウガメは子孫を残せない状態になっていた。
故に、1965年、自然保護活動家たちはネズミからゾウガメを救う決意をした。
しかし、資源や技術に限りがあったため、野生で絶滅したとされている[3]ゾウガメを飼育する計画を打ち立てた。
 
ほぼ半世紀経った2012年12月、協力して進められた保全活動によって、ピンソン島からネズミを駆除するという一大プロジェクトが成し遂げられた。
この結果、ゾウガメやその他島に生息する絶滅危惧種を脅かしていた最後の侵入外来種である脊椎動物が駆除された。
現在は、ゾウガメとピンソン島の生態系の回復の到来を告げる、ゾウガメのふ化したての幼体がピンソン島の固有種のゾウガメの巣から生まれてきており、また、ガラパゴス国立公園では、118匹のふ化したての幼体を生まれた島に返すことに成功した。
 
「世界中の自然保護活動家たちの夢が叶いました」。
Island Conservation(アイランド・コンサベーション)の代表であるBill Waldman氏はこう話した。
「我々の成功は、このような保護手段の革新を見込んで、この固有種を飼育して保護する先見の明を持った先任者のおかげです」。
ネズミ駆除計画は、アイランド・コンサベーション、 Charles Darwin Foundation(チャールズ・ダーウィン財団)、 Bell Laboratories, Inc.(ベル研究所)、Raptor Center of the University of Minnesota(ミネソタ大学猛禽センター)の協力を得て、ガラパゴス国立公園が実行した。
 
ピンソン島プロジェクトは、在来の動植物を保護するためにピンソン島およびその他の主要なガラパゴス諸島の生態系を回復させる非常に大きな活動の一環である。
絶滅の縁からよみがえりつつある他の絶滅危惧種の類似の物語が、ガラパゴス諸島の島々で次々と明るみに出てきているのだ。
 
すぐ近くのラビダ島は、島に固有な2種のラビダ島の陸生巻貝類(Naesiotus rabidensisNaesiotus jervisensis)の生息地である。
しかし、島にネズミが侵入したため、これらの陸生巻貝類が最後に目撃されたのは、California Academy of Sciences(カリフォルニア科学アカデミー)調査隊の記録によると、1905年から1906年にかけてであった。
 
100年以上の間、生きている例は発見されることがなく記録もなかったのだ。―昨年までは。
2012年に、保全団体がネズミ駆除が成功したことを確認すると、University of California Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)のChristine Parent博士が驚くべき発見をした。
Parent博士は、絶滅したとされていた固有種のラビタ島の陸生巻貝類の生きている例を発見したのである。
「ラビダ島や他の島で外来種のネズミが駆除されたことで、今後は固有種の陸貝の個体数は増え、これまでの捕食圧から脱することでしょう」と、Parent博士は述べた。
 
「これは本当に驚くべきことです。我々はラビダ島で新たな保全の協働事業を進め、新しい保護手段を試みようとしていました。ダーウィンフィンチや他の島固有種を救うプロジェクトを考えていたのです。しかし、絶滅したと思われていた種がまさか再び出現するとは思いもしませんでした。―そして、現在はネズミがいなくなり安全な状態にあります。このことで、島々から侵略的外来種を駆除することが重要かつ緊急を要すると強く認識されたでしょう」と、Waldman氏は述べた。
 
絶滅したと思われていた種が奇跡的によみがえったことにより、協働事業に次なる大きな目標ができた。
―フロレアナ島から複数の侵略的外来種を駆除することである。
 
フロレアナ島には、これまでで最も大規模かつ複雑な外来種駆除プロジェクトの一つがある。
協働事業は、島の地域社会を含めるまでに広がるようになるだろう。
侵略的な野生化したヤギをこの島から駆除することに成功している一方、クマネズミ、ハツカネズミ(Mus musculus)や他の6種の侵略的外来種は未だ残存していて、島の豊かな生物多様性を脅かしているのだ。
 
この島には豊かな植物、海鳥、陸鳥類や野生生物が存在しており、その中には56種類のIUCN(国際自然保護連合)レッドリスト[4]に登録された種が含まれる。
絶滅危惧種には、絶滅危惧IA類に指定された3種類の[5]鳥、ガラパゴスシロハラミズナギドリ(Pterodroma phaeopygia)、ダーウィンフィンチ(Camarhynchus pauper)、そしてチャールズマネシツグミ(Mimus trifasciatus)が含まれている。
これらの生息地域は、外来の捕食動物がいない2~3の小島に限られている。
 
「絶滅の縁から種をよみがえらせることは自然保護活動家全員の夢です。しかし今の状態に満足してはいません。我々保全団体は、この問題に懸命に取り組み、チャールズマネシツグミにとって再び安全な島になるようにしていくつもりです。数年後、どのような他の驚くべき種の復活成功物語を話せる日が来るのでしょうか」と、Waldman氏は述べた。
プロジェクトは現在計画段階で、2015年の実現が予定されている。
 
ピンソン島およびラビダ島の生態系回復の取り組みは以下の団体によって資金援助された。ガラパゴス国立公園、Leona M. and Harry B. Helmsley Charitable Trust、David and Lucile Packard Foundation(デイヴィッド&ルシール・パッカード財団)、ベル研究所、Galapagos Conservancy(ガラパゴス・コンサーバンシー)、ミネソタ大学、そしてその他多大な貢献をしてくれた慈善事業団体である。
 
[1] 最初に記録されたのは1891年だが、1700年代のヒューマンシップ活動の成果として紹介されていたという説もある。
[2] 世界で唯一この地で発見された。
[3] 国際自然保護連合が作成した絶滅の恐れのある野生生物のレッドリストからhttp://www.iucnredlist.org/
[4] 国際自然保護連合が作成した絶滅の恐れのある野生生物のレッドリストhttp://www.iucnredlist.org/
[5] 同上
 

 

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