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07 スローロリス

2013年9月17日 (火)

フォト・プロップ-知られざるロリスの危機

翻訳協力:古澤 陽子、校正協力:野中 祐子

2013年5月3日 Prof Anna Nekaris' Little Fireface Project news

Mark Mason氏に会ったのは数ヶ月前だ。彼はプーケット島でのタイ・フォト・プロップ(記念写真撮影)商売から保護したスローロリスをすまわせる、新しい収容場所を作るために休みなく働いていた。
かつての私の理学修士過程の教え子であり、現在はthe Gibbon Rehabilitation Project((仮)テナガザルリハビリテーションプロジェクト)で活動しているPetra Osterberg氏も同様の活動をしている。
さらに、LFP adoption funds (Little Fireface Project内スローロリス保護基金)の大部分は、保護されたロリスのためにPetra氏が作った檻の資金となった。

いったい、これらのロリスはどうしてここに来ることになるのだろうか。
それに、タイのビーチを連れ回されることがなぜそれほどいけないことなのか。
写真を撮られるくらいでサルが傷つくのだろうか。
可愛らしい動物を抱くことは観光客の良い思い出になるのではないだろうか。

過去の経験から既に学んでいるはずだと思うかもしれない――例えばスペインのビーチでは、チンパンジーが同様の商売に利用されていた。
野生動物がどんなに可愛いらしいとしても、それは……野生であるべきなのだ。
哀れなロリスは夜行性動物として生きる棲家の森から無理やり連れ去られ、賑やかな街の騒々しさに圧倒される。
それどころか、人間でさえ多くは、まぶしい光、氾濫する音楽、さらに騒がしい観光客があふれる夜のパタンの町に出たいとは思わない。
まして、暗い森で静かな生活を送るスローロリスにとっては恐怖であるに違いなく、その恐怖はロリスの表情に表れ、カメラのフラッシュが次々とたかれるたび、おびえた者がよくそうするようにしり込みする姿が見られる。
木の枝にしがみつくという行為はロリスにとって安全を意味する――ビール瓶の細い首を差し出されたらそれをつかんでしまうのも無理はないし、道化師の服を着せられながら人間にしがみつくのは彼らにとって安全でもなんでもない。

ロリスは生来無抵抗な外見で、おびえているときには「かわいいらしい」。
そんな必要はないのに、中には薬物を使用されるものもいる。
そして、ほとんどのロリスが歯をもぎ取られてしまう。
彼らにとって歯は、グルーミングや、最も大切な食資源である樹液をなめるために樹木を噛む際に必要不可欠であるため、歯を失ったロリスは野生に帰ることができない。
またなによりも、果物の餌とストレスのかかる環境下で連れまわされるため、捕らわれの身では2,3ヶ月しか生きられず、そして他のロリスと入れ替えることになる。
つまり、Mark氏とPetra氏が救い出しているロリスは、棲家の森への復帰訓練施設にいるといったところか……
私たちにもロリスがどこに行くべきか分からない。
ただ分かっていることは、笑いながら友達と一緒にロリスを抱いて写真を撮る観光客は、この残忍な商売に加担しているということだ。
だからどうか、フォト・プロップの商売に加担しないでもらいたい。

これらのロリスがもっとましな生活を送ることができたことを少し考えて欲しい。
このうち何匹かに第二の生活を与えてくれたMark氏とPetra氏の活動に感謝しよう。

http://www.nocturama.org/photo-props-the-unknown-loris-threat/

 

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2013年2月13日 (水)

スローロリス新種確認

ボルネオでスローロリス新たに3種確認

翻訳協力:木南誠 校正協力:石野精吾

WILDLIFEEXTRA News

ボルネオスローロリス、4種に分類
 2012年12月。ミズーリ大学(University of Missouri)の博士課程の研究員と同僚たちは最新の研究でスローロリスの亜種3種を確認した。それらの霊長類(スローロリス)は従来、ボルネオスローロリス(N.menagensis)という違う種に分類されていた。生理学的な面と生態学的な面の観察から新たに3種(N.bancanusN.borneanusN.kayan) が確認された。4種に分類されたことで、これまで考えられていたよりも絶滅の危険性は高まったが、この特異な霊長類を保護しようとする動きを促進することになるだろう。

二枚の舌を持つ毒のある霊長類
 二枚の舌を持つ毒のある霊長類はペットとして取引されることはなさそうに思われるが、大きな瞳とテディベアの様な顔のスローロリス(Nycticebus sp.)は東南アジアと周辺の島々で密猟者たちの標的にされている。

ペット市場で人気
 「4種を保護することは1種を保護することよりも困難です。なぜならそれぞれの個体数を把握し、充分な森の生息地を確保しなければならないからです」とミズーリ大学(MU)の博士課程の研究者で論文の主たる執筆者であるRachel Munds氏は語った。「さらに悪いことに、生息地を失ったこと、森が破壊されていることに加えて活発化する闇取引がスローロリスを獲物にしているのです。スローロリスはペットとして売られたり、観光客の記念写真の小道具として使われたり、アジアの伝統医療に使用するために解体されたりします。
 Munds氏によると、スローロリスは家畜化されておらず、また絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約でも保護されている。Munds氏はスローロリスをペットとすることは痛ましいことであり、飼いならすことは無理だと強く主張している。

飼育、ほぼ不可能
 Munds氏は以下のように述べている。「動物園でさえスローロリスに必要な栄養を充たす特定の昆虫や樹脂、蜜を与えるのは難しいのです」「動物園でも飼育はまれにしかうまくいきません。ペットとして取引されるスローロリスは野生から捕獲され、スローロリスの複雑であまり解明されていない社会構造の絆から引き離されるのです。その際に毒を出す歯も引き抜かれます。多くのスローロリスがペットマーケットでみじめな状態で死ぬのです。個人の住居に持ち込んでも飼い主はこの霊長類(スローロリス)が必要とする社会も栄養も生育環境も与えることが出来ないのです。飼い主はまた夜行性のスローロリスと昼間に接しようとしますが、それがスローロリスの睡眠パターンを狂わせてしまうのです」。

ボルネオ
 新たに確認された種はインドネシアのボルネオのものである。Munds氏と同僚たちは元となる1種が著しく体の大きさ、体毛の濃さ、生息域や顔の模様が違うことを観察していた。博物館の標本、写真や生態が、霊長類学者たちが一つの種から四つの種を細分するのに役立った。今現在、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature)に絶滅危惧II類として1種の登録から、4種が絶滅危惧IB類もしくは絶滅危惧種に登録、されるかもしれない。この保護状態が変わる可能性はスローロリスの危機的状況に注目を集めさせ法的保護を促進するのに役立つかもしれない。

CNNの失敗
 「You Tubeでスローロリスがくすぐられたり、傘をもっていたりフォークを持って食べていたりする動画が人気を得ています」Oxford Brookes Universityの霊長類学の教授、MUの卒業生で研究論文の共同執筆者のAnna Nekaris氏は話す。「CNNは最近、スローロリスの動画を面白いエンターテイメントとして紹介しています。しかし本当のところは、スローロリスは単にフォークや傘を何かにしがみつきたい一心で握っているだけなのです。樹上生活に適したこの動物は森の中で常に枝にしがみつく生活をしている。飼い主が、スローロリスが登れるようなものを与えてやれることは滅多にありません」。

伝統薬の取引
 ペット取引だけがスローロリスの生存にとっての危険ではない。スローロリスはアジアでは伝統的な薬としても使われている。スローロリスの保護団体 Little Fireface Project の指導者でもあるNekaris氏によれば薬を抽出するための方法は非常に残酷だという。たとえば、スローロリスの大きな瞳から涙を得るために、串を肛門から挿し込み口から出るまで貫く方法がある。それでもまだ生きているスローロリスをくすぶらせた火であぶり、目から流れる涙を採取するのだ。その涙は人間の眼病の治療に使われるのだという。

http://www.wildlifeextra.com/go/news/borneo-loris.html#cr

 

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