フォト・プロップ-知られざるロリスの危機
翻訳協力:古澤 陽子、校正協力:野中 祐子
2013年5月3日 Prof Anna Nekaris' Little Fireface Project news
Mark Mason氏に会ったのは数ヶ月前だ。彼はプーケット島でのタイ・フォト・プロップ(記念写真撮影)商売から保護したスローロリスをすまわせる、新しい収容場所を作るために休みなく働いていた。
かつての私の理学修士過程の教え子であり、現在はthe Gibbon Rehabilitation Project((仮)テナガザルリハビリテーションプロジェクト)で活動しているPetra Osterberg氏も同様の活動をしている。
さらに、LFP adoption funds (Little Fireface Project内スローロリス保護基金)の大部分は、保護されたロリスのためにPetra氏が作った檻の資金となった。
いったい、これらのロリスはどうしてここに来ることになるのだろうか。
それに、タイのビーチを連れ回されることがなぜそれほどいけないことなのか。
写真を撮られるくらいでサルが傷つくのだろうか。
可愛らしい動物を抱くことは観光客の良い思い出になるのではないだろうか。
過去の経験から既に学んでいるはずだと思うかもしれない――例えばスペインのビーチでは、チンパンジーが同様の商売に利用されていた。
野生動物がどんなに可愛いらしいとしても、それは……野生であるべきなのだ。
哀れなロリスは夜行性動物として生きる棲家の森から無理やり連れ去られ、賑やかな街の騒々しさに圧倒される。
それどころか、人間でさえ多くは、まぶしい光、氾濫する音楽、さらに騒がしい観光客があふれる夜のパタンの町に出たいとは思わない。
まして、暗い森で静かな生活を送るスローロリスにとっては恐怖であるに違いなく、その恐怖はロリスの表情に表れ、カメラのフラッシュが次々とたかれるたび、おびえた者がよくそうするようにしり込みする姿が見られる。
木の枝にしがみつくという行為はロリスにとって安全を意味する――ビール瓶の細い首を差し出されたらそれをつかんでしまうのも無理はないし、道化師の服を着せられながら人間にしがみつくのは彼らにとって安全でもなんでもない。
ロリスは生来無抵抗な外見で、おびえているときには「かわいいらしい」。
そんな必要はないのに、中には薬物を使用されるものもいる。
そして、ほとんどのロリスが歯をもぎ取られてしまう。
彼らにとって歯は、グルーミングや、最も大切な食資源である樹液をなめるために樹木を噛む際に必要不可欠であるため、歯を失ったロリスは野生に帰ることができない。
またなによりも、果物の餌とストレスのかかる環境下で連れまわされるため、捕らわれの身では2,3ヶ月しか生きられず、そして他のロリスと入れ替えることになる。
つまり、Mark氏とPetra氏が救い出しているロリスは、棲家の森への復帰訓練施設にいるといったところか……
私たちにもロリスがどこに行くべきか分からない。
ただ分かっていることは、笑いながら友達と一緒にロリスを抱いて写真を撮る観光客は、この残忍な商売に加担しているということだ。
だからどうか、フォト・プロップの商売に加担しないでもらいたい。
これらのロリスがもっとましな生活を送ることができたことを少し考えて欲しい。
このうち何匹かに第二の生活を与えてくれたMark氏とPetra氏の活動に感謝しよう。
http://www.nocturama.org/photo-props-the-unknown-loris-threat/
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