香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明
和訳協力:渡部 範子、校正:JWCS
2020年4月23日 FLORIDA INTERNATIONAL UNIVERSITY News
最初、研究者達は香港の小売店で売られていたフカヒレの元であるサメが、最初に漁獲された場所を調べた。
これにより、違法取引による「危険性の高い」サプライチェーンを特定し、また国際取引の法執行をよりきちんと行うことも可能となる。
フロリダ国際大学の環境研究所の海洋学者であるDemian Chapman氏が、アメリカと、中国の特別行政地区の香港に拠点があるチームを率い、scalloped hammerhead sharks(学名:Sphyrna lewini、アカシュモクザメ)のフカヒレのDNAの分析を行った。
アカシュモクザメは最も普通に取引され、価格の高い種の1つで、乱獲による危機の高まりに直面しており、絶滅の可能性も危惧されている。
多くの雌のサメは、出産のために特定の地域、「故郷」に帰る。
これにより、研究者達はサメが母親から受け継いだDNAから、サメがどこで生まれたかを特定することができる。
このDNAは乾燥され加工されたフカヒレに存在している。
チームは香港の海産物の干物店から集めたフカヒレのDNAを、世界中から科学者によって集められた、遺伝子サンプルのグローバルデータベースと比較し、そしてそれらのサメがどこから来たかを特定することができた。
調査ではほとんどのヒレは東太平洋のバジャカルフォルニアからペルーの北部に広がる沿岸域から来たことを示しており、その地域では米国絶滅危惧種保護法で「絶滅危惧種」に指定されているのアカシュモクザメの個体数が減少している。
東太平洋にはまたカラパゴス諸島やココス諸島などの有名な島嶼群を含まれており、観光客がアカシュモクザメの群れとダイビングをするために行くところである。
アカシュモクザメのような種は、世界的に見て別の場所ではそうでもなくても、ある特定の地域では個体数が非常に減っているため、捕獲された位置の情報が、取引規制の実効性を高め、より良い漁業管理を行うための鍵となる。
「フカヒレの取引は国際市場であり、アカシュモクザメのような絶滅危惧種に対してより良い管理を行うためには、国際的な取引の規制が一つの解決策となります」とChapman氏は言った。
「このようなDNAを活用した調査は、世界のどの地域で最も多くこの種が漁獲されているかを理解するのに役立ち、どの場所で保全の介入がもっと必要かを絞りこむことを可能にしてくれます」。
2013年、アカシュモクザメはConvention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(CITES、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)による保護を受けた。
この条約は、国際取引において動物や植物を乱獲から守るための国際協定である。
アカシュモクザメは付属書Ⅱに記載され、記載されたこれらのサメのすべての取引は、合法的に捕獲され、サプライチェーンを通じて追跡可能であることを証明する許可証が必要とされる。
少し後にChapman氏とチームは9200以上のフカヒレのDNA調査を行い、絶滅危惧種が香港の小売店で売られ続けていることが明らかになった。
DNA調査で見つかった80種以上のサメの中で、アカシュモクザメは4番目に多く、研究チームはその中の60%が南アメリカや中央アメリカの太平洋岸から来たものだと推定した。
この研究はフカヒレの取引における世界的な性質を浮き彫りにし、世界中、特に東太平洋における監視の強化とCITESの規制の実効性を高める必要性を明確にした。
Chapman氏はまた、東太平洋の多くの積み荷がアジアに着く前に主要なアメリカの港を通過するこため、密輸を阻止するためにアメリカが重要な役割を果たすことを指摘した。
本研究はピュー財団、ピュー財団のフェローシッププログラムおよびRoe Foundationの支援を受けている。
研究の成果は今週Animal Conservation誌に発表される。
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