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2021年9月21日 (火)

ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか

和訳協力:二之方 わかさ、校正協力:真井 悠美子

2020年8月26日 PHYS ORG News

ほとんどが中国籍の船からなる300隻を超える外国漁船が、7月下旬からガラパゴス諸島周辺の公海に停泊し続けている。
エクアドルの海岸からおよそ1,000kmに位置する同諸島は、珍しい野生生物がいることでよく知られている。

これらの漁船は公海上に停泊しているため、論理的には合法である。
情報によると、漁船はイカ釣り漁船で、この海域に4年にわたりやってきているという。
しかし、生態学的な現実として、魚は海の境界線を認識しないため、ガラパゴス海洋保護区に近接して大規模な漁獲を行うと、ジンベイザメやシュモクザメなどの保護区域内でみられる回遊性の絶滅危惧種を脅かすことになる。

このニュースはガラパゴス諸島においてはげしい抗議を引き起こした。
2017年、海洋保護区内で発見された中国漁船から絶滅危惧種を含む何千匹ものサメが見つかった事件は、現地の人々の記憶にいまだ鮮明に残っている。

当時、私はガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所に勤務していた。
その後、大学に移り、海洋保護関係の法律を研究している。
この分野における私の研究に基づくと、この地域の現行の法的枠組みを強固にすることが解決策になるのではないかと考えている。

この最近の事件は、海が相互に連動するひとつのものであることを認識しながらも、法的には境界線の設定というアプローチをとっているため、法律と自然生態系の不釣り合いがもたらされているという、海洋法の矛盾した性質を明確に想起させるものである。
国際的な海域、いわゆる「公海」は、海の61%を占めるが、法的枠組みが部分的にしか存在しないため、人間の活動に対する規制は緩い。

魚の乱獲は海洋生物の多種多様性の損失を悪化させる重大な要素のひとつである。
公海上の海洋保護区域を指定するための包括的な法的枠組みがないために、公海はわずか1%しか保護されていない。

このような欠陥を踏まえて、国際社会は、公海での海洋生命の保全と持続可能な利用に関する新たな条約を策定するため、2018年9月に交渉を開始した。
これは期待できる進歩ではあるが、交渉範囲は4つの特定の問題に限られており、そのうちの一つが特別護区の創設に関するものである。

しかし、現在各国の組織により地域別に管理されている公海での漁業が、交渉内容に含まれるかどうかはまだわかっていない。
さらに、COVID-19の大流行により、交渉の最終回は延期されている。
ガラパゴスのような事例では、単に既存の地域連携と海洋管理を強化する方が現実的かもしれない。


既存の枠組み

エクアドルは国連のRegional Seas Program for the South East Pacific(南東太平洋地域海計画)の参加国である。
南東太平洋地域海計画はこの地域の参加国周辺の海洋保護を取り扱っているが、隣接する公海については海洋汚染に限定された小さな権限しか持たない。
しかし、現在保護区域を設定する権限のない公海についての関心を高めることを目指している。

地域海計画は調整機構として多くの支援を得ている。
たとえば、一時的に公海での漁業の停止を定める権限を有する漁業管理団体と協定を結んでいる。
この地域において漁業が極めて重要な社会経済活動であることを考慮すると、環境保護機関と漁業管理団体の間におけるこの類の協定は、正しい方向への重要な一歩である。
しかし、より幅広い海洋生物を保護するためには、この組織に独自の保護区を設定する権限を持たせた方がいいだろう。

この地域には強固な海洋管理体制がないことを考慮し、4カ国が周囲海域を適切に保護するための独自の解決策を講じることを決定した。
2004年当時、エクアドルはコスタリカ、パナマ、コロンビアと共に、Eastern Tropical Pacific Marine Corridor(CMAR:東部熱帯太平洋海洋回廊)を設立した。
CMARの全体的な目標は、この地域の豊かな海洋生物の多様性を共同で保護し、最終的にはラテンアメリカで最初の、国境を越えた海洋保護区のネットワークをガラパゴスやその他の海洋保護区に形成することである。

提案された海洋回廊の地図には、ガラパゴス諸島とエクアドル本土の間の公海が含まれている。
しかし、公海における保護区に関する法的枠組みがなければ、結局のところ、海洋回廊は加盟国の管轄区域内の海域しか対象にできない。
政治的な意思はあるものの、依然として大きな法的障壁がある。

CMARの海洋回廊は、生態学的価値が非常に高い地域にあり、最近、海の健康に重要とみなされる特別な場所である「ホープスポット」に認定された。
政治的な取り組みとして、ホープスポットは地域の海洋法を調和させる可能性がある。
ガラパゴス近海での漁獲に対する民衆の怒りは、海洋回廊の完成に向けて各国を後押しし、この地域でのさらなる協力を促す原動力になることだろう。

乱獲等の共通の脅威に対して地域的立ち位置が首尾一貫していることが、国際レベルでより大きな影響力をもたらすだろう。
特に超大国の旗を掲げた巨大漁船団のことを取り扱う場合には、外交的に大きな変化をもたらせるかもしれない。

ニュースソース:
https://phys.org/news/2020-08-galapagos-islands-amazing-marine-life.html

 

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