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« コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす | トップページ | ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか »

2021年9月14日 (火)

増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇

和訳協力:福田 志保、校正協力:花嶋 みのり

2020年8月17日、Yale Environment 360 News

中国近隣海域で資源を捕獲し尽くした中国漁船の大群が、他国の海域に移動して、海洋資源を枯渇させている。中国は東アジアからラテンアメリカに至るまでの海域で自らの権利を主張し、さらには地政学的な野望も明らかにしており、海産物以上のものが危険にさらされている。


何年にもわたり、何十隻もの木製の朽ちた「幽霊船」が、多くの場合、餓死の末に白骨化した北朝鮮の漁師の死体を乗せ、日常的に日本沿岸に漂着する理由は不明だった。

だが、新しい衛星データに基づき、私がNBCニュースのために行った最近の調査で、今海洋研究者たちが言っている説が最も可能性の高い説明であることが明らかになった。
中国が北朝鮮海域で違法に漁業を行うために、以前は公にはされていなかった商業漁船の大群を送り込み、北朝鮮の小型船を追い出したことで、かつては豊富だったイカの数が70%以上減少したのである。
日本に漂着した北朝鮮の漁師たちは、危険を冒して沿岸から遠く離れてイカを探し求めたが、その努力もむなしく、命を落としたようである。

昨年は700隻以上にも上る中国の漁船が、北朝鮮海域での外国籍船による操業を禁止する国連制裁に違反したとみられる。
北朝鮮の核実験に応じて2017年に出された制裁では、貴重な外貨と引き換えに北朝鮮海域での漁業権の販売を許可できないようにして、北朝鮮に制裁を加えることが目的とされていた。

この新しい発見は、世界の海洋に悲惨なほど管理が欠如していることを浮き彫りにしており、中国が海洋でかつてないほどの力を増した結果と、それが中国の地政学的願望とどう結びついているかという点について、一筋縄ではいかない疑問を投げかけている。

ほとんどの中国船はかなり大型であるため、地元の漁船1隻の年間漁獲量に等しい量を1週間で捕獲する。

中国が全世界に送り出す漁船の総数は、さまざまな推定が出されている。
いくつかの計算によると、中国は20万~80万隻の範囲の漁船を有しており、これは世界の漁業活動のほぼ半分を占める数である。
中国政府は、遠洋漁業の漁船、または中国の沿岸から離れて航行する漁船の数は約2,600隻だとしているが、Overseas Development Institute(ODI:海外開発研究所)による研究などの他の研究では、この数は1万7,000隻に近く、これら漁船の多くは、衛星データにより北朝鮮海域で見つかった船と同様、公にされていない。
対照的に、米国の遠洋漁業の漁船は300隻に満たない。

中国は世界最大の海産物輸出国であるだけでなく、中国国民は全世界の魚の消費量の1/3以上を占める。
近隣海域の海洋資源を枯渇させてしまった中国の漁船団は、近年、さらに遠くへと航海しており、地元政府の財源や海域警備への意向が乏しく、法的強制力が弱い傾向にある西アフリカやラテンアメリカの海域を搾取している。
中国の遠洋漁業船の大半はかなり大型であるため、セネガルやメキシコの地元の漁船の1年間の漁獲量に等しい量を1週間で捕獲する。

中南米海域を探し回る中国漁船の多くは飼料用の魚を狙っている。
これは、魚粉にすりつぶされて、水産養殖魚に与えるためのタンパク質の豊富なペレット状のサプリメントとなる。
また、中国漁船団はエビやトトアバも狙っている。
今や絶滅の危機に瀕していおり、アジアでは浮袋に薬効があるとされるトトアバは、1尾が1,400USドルから4,000USドル(約15万円から42万円、2020年9月26日付換算レート:1USドル=105.59円)で販売され、珍重されている。

イカ漁ほど中国が海洋を掌中に収めている例はないだろう。
国際海域における中国船団のイカの漁獲量は50~70%を占めており、この人気のある海産物の世界的な供給を事実上コントロールしている。
中国人漁師により公海から陸揚げされるイカの少なくとも半分は、欧州、北アジア、米国に輸出されている。

イカの捕獲には、中国漁船は通常、2隻の船の間に張った底曳網を使用するが、この方法で、はからずも多くの魚を無駄に殺してしまうため、自然保護論者からかなり批判されている。
また、中国が国内消費のために高品質のイカを占取し、低品質のイカを高い価格で輸出していることも非難されている。
さらに、批評家によるところでは、中国は主要なイカの繁殖地において他国の船を数で圧倒しており、自国の利益のために世界のイカ資源の保護と分配に関する国際交渉に影響を及ぼす立場を得ている。

世界を股にかける中国の漁船団は、自分たちだけで現代版ベヒモスに成長したのではない。
中国政府は水産業界に対し、年間数十億元という、かなり多額の助成金を支給してきた。
中国漁船がそれほど遠方まで航行できるのは、一つには2006年から2011年の間にディーゼル燃料の助成金が10倍に増やされたためである(グリーンピースの調査によるところでは、中国政府は2011年以降、統計の発表を取りやめている)。

中国政府は10年以上にわたり、より大型で先進的な鋼鉄トロール船の建造に給付金による支援を行っており、漁船団がより長期にわたり海上に留まれるように、医療船さえ漁場に送っている。
中国政府は、衛星や調査船から収集したデータを使用して、最も利益の出るイカの漁場を見つけるための予測情報を提供することで、特にイカ漁の船団を支援している。


我々レポートチームは、中国船が我々の船に向かって急に進路を変えたため、衝突を避けるために進路変更を余儀なくされた。

ナショナルジオグラフィック協会のPristine Seas Project((仮)原始の海プロジェクト)の創設者であり、リーダーであるEnric Sala氏の研究によると、遠洋イカ漁は、それだけでは採算の合わないビジネスである。
イカの販売価格が通常、捕獲に必要な燃料コストを埋め合わせるには程遠いことをSala氏は探り出した。

だが、そうした補助金に関しては中国が最悪の犯罪者であるわけではなく、漁船の過剰な漁獲能力や違法漁業に加えて、そうした補助金こそが海洋から急速に魚がいなくなる主な理由だと保護論者は述べている。
Sala氏の調査によると、公海に出る漁船団に最も多くの助成金を提供している国は日本(全世界の助成金の20%)およびスペイン(14%)で、中国、韓国、米国がそれに続く。

さらに最近では、2017年に中国政府は遠洋漁船団の拡大を打ち切り、2021年までに沖合漁業の漁船の総数を3,000隻未満に制限する5か年計画を発表した。
海洋生物学者で、ブリティッシュコロンビア大学のSea Around Us((仮)我らを取り巻く海)プロジェクトの主任調査員であるDaniel Pauly氏は、中国政府が遠洋漁業船団の制限を真剣に望んでいるとする持論を示している。
「中国政府が自国の船団に、計画した制限を強制できるかどうかは別問題です」と彼は付け加えている。

しかしながら、中国の漁船団を阻止するその他の試みは遅々として進まない。
中国の漁船団の改善を強要し、監視することが難しいのは、法律が厳格でないからだけでなく、船の乗組員の多くは読み書きができないこと、多くの漁船が無免許であるか、追跡に必要な独特な名前や識別番号を持っていないこと、また、中国の漁業研究機関が国内外の情報の標準化や共有を拒否することがよくあるからである。

だが、中国漁船団の現在の規模と意気込みを見れば、海産物以上のものが危険にさらされていることが分かる。
中国が示す、より大規模な地政学的願望を背景に、中国の商業漁業の漁師は事実上、民兵要員としての役割を果たしているが、中国政府は彼らの活動を私的なものだと位置づける可能性がある。
民間船と見せかけ、表向きは一般漁船である大船団は強引な領土支配に一役買っており、特に南シナ海のほぼ全域を包囲する中国の統治権主張に異議を唱える漁師や各国政府に対抗している。

シンガポールのLee Kuan Yew School of Public Policy(リー・クアンユー公共政策大学院)のCenter on Asia and Globalization(アジア・グローバリゼーションセンター)の元代表であるHuang Jing氏は、「中国は、体の後ろで両手を組んで、その大きなお腹を使って他国を押しのけ、先に攻撃してくるよう他国にしかけているようなものです」と述べている。

中国漁船は攻撃的なことで悪名高く、公海や他国の領海でも、武装した中国公安辺防海警部隊の船舶に守られていることがよくある。
海上取材の間、写真家と私は、北朝鮮海域に入る中国の違法イカ漁船10隻の撮影を行った。
我々レポートチームは、中国漁船の船長の1人が恐らく我々チームの船を追い払うためにこちらに向かって急に舵を切り、10m以内に近づいたことから、危険な衝突を回避するべく進路変更を余儀なくされた。


北朝鮮からメキシコの海域まで、中国漁船による侵入はさらに頻繁かつ攻撃的になっている。

中国はまた、より伝統的な手段を通じても海洋の領域を拡大しようと努めている。
たとえば、中国政府は海軍を他のどの国よりも速いスピードで拡大させ、海軍船を少なくとも3船団建造中だと考えられているほか、鉱物、石油などの天然資源を探査する高度な研究船を少なくとも12隻送り出している。

しかし、世界中の海で、より攻撃性を増しあちこちで姿を現す存在は、中国漁船団に他ならない。
Greg Poling氏が最近、雑誌『Foreign Policy』で述べているとおり、これらの船舶は、「適切な訓練を受けず、国際海事法、軍事活動規則、あるいは海上の危険な事件を防ぐために定められた多国間メカニズムを守らない、統一のとれていない専門外の軍隊」として機能する前衛の「民兵」として、西側の軍事アナリストの間で定期的に話題となっている。

南シナ海ほど中国漁船団の姿が常に見られる場所はない。
ここは世界で最も論争の的となっている地域の1つで、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾、インドネシアが歴史、領土、そして道徳の面からも権利を主張して張り合ってきた。
漁業権はさておき、国家の誇り、利益をもたらす海底油田とガス田、そして世界の海上貿易の1/3が行われる地域の支配に対する政治的欲求が絡み合い、この海域に関心が集まっている。

南シナ海では、中国政府がその海域のサンゴ礁と浅瀬に人工島を建設し、航空機の滑走路や港、レーダー施設により軍事化を進めていることから、南沙諸島に最も注目が集まっている。
2018年、フィリピンが実効支配するティトゥ島のインフラを同国政府がわずかに改修し始めた直後に、同島の数マイル圏内に90隻以上の漁船を突如送って停泊させたように、中国の漁船はこの区域に押し寄せ、潜在的な競争相手に圧力をかけて脅迫することで、活動を活発化させている。

この地域での権利の正当化にあたり、中国政府はよく、いわゆる「九段線」の議論を持ち出す。
これは、南シナ海の大半を取り囲む9本の破線から成る線を特徴とする、中国に属するとする歴史的な漁場の地図に基づくものだ。
一つには中国が批判のほとんどを無視していること、そしてまた、中国が経済的またはその他の点で国際的な舞台で優勢であることから、欧米のメディアは、米国や欧州が過去あるいは現在同様の活動を行っている犯罪の多くについて、中国を非難する傾向がある。
南シナ海で何が真実あるいは公正であるのか定義することは、中東などの地域で証明されてきた以上に簡単ではないだろうが、ほとんどの法学者や歴史家は、九段線の議論には国際法に基づく根拠がないと述べており、2016年の国際司法裁判所の判決では無効とされた。

中国が関与する漁場での衝突は、南シナ海に限定されるものではない。
日本と中国は、中国語で釣魚島、すなわち「魚釣り」島として知られる尖閣諸島をめぐって対立している。
その他、2016年3月にはアルゼンチンの沿岸警備隊の船が、中国船の公海への逃亡を阻止するため、威嚇射撃を行った。
中国船「Lu Yan Yuan Yu」号がアルゼンチン側の船舶に衝突を試みて応酬したため、沿岸警備隊がこの漁船を転覆させた。
一部の中国人乗組員は泳いで他の中国船に逃げたが、その他は沿岸警備隊により救出された。

北朝鮮からメキシコ、インドネシアまでの海域で、中国漁船の侵入はより頻繁かつ大胆に、攻撃的になっている。
一見、民間船に見える船舶の衝突が、より大きな軍事紛争に急速に発展する可能性を思い描くのに、想像力を駆使する必要はほとんどない。
こうした対立により、漁師の巻き添え被害に関する人道主義的な懸念や、海洋資源の枯渇を加速させる中国政府の政策に関する環境面での問題が浮かび上がってくる。
しかし、何をおいても、中国の海上における野望の大きさと影響は、魚の実際の価格が、メニュー上にめったに表れないことを改めて浮き彫りにしている。

ニュースソース:
https://e360.yale.edu/features/how-chinas-expanding-fishing-fleet-is-depleting-worlds-oceans

 

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