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2021年8月24日 (火)

クマに注目―パンデミックでインドネシアのマレーグマの違法取引が悪化する可能性

和訳協力:加藤 有起枝、校正協力:木田 直子

2020年5月27日 The Revelator News

世界最小のクマが密猟、漢方薬、違法なペット取引などによる強大な圧力に直面している。
COVID-19のパンデミックは事態をさらに悪化させかねない。

先月、世界がコロナウイルスによるパンデミック危機の対応に追われている最中に、中国国家衛生健康委員会は、思いもよらない、そして破壊的な結果となり得るウイルスの治療法を提案した。
クマの胆汁を使った「漢方薬」を注射するというのだ。

飼育下のマレーグマに対する中国のひどい扱い―小さく狭い檻に閉じ込め、漢方で使用する胆のうから出る胆汁を絶えず採取し続けること―は、長らく自然保護主義者や動物の権利活動家たちから非難されてきた。

しかし、COVID-19の治療薬としてクマの胆汁を使用するという提案は、コロナウイルス患者にとって薬としての価値はありそうもないが、飼育下にあるクマに影響を与えるにとどまらない。
胆汁やその他のクマ製品の需要を作り出し、密猟や野生生物の違法取引が多発しているインドネシアの野生のクマにとっても状況を悪化させかねない。

 

インドネシアの驚くべきクマへの脅威

マレーグマ(学名:Helarctos malayanus)は、アジアの広域に生息している、世界最小のクマである。
インドネシアには、2亜種のマレーグマが生息している。
スマトラ島に生息する亜種マレーグマ(学名:H. malayanus malayanus)と、ボルネオ島の固有亜種であるボルネオマレーグマ(学名:H. malayanus euryspilus)だ。
種全体が個体数の減少と地域的な絶滅に直面しており、IUCNレッドリストで絶滅危惧II類と見なされているが、インドネシアのこれら2亜種は特に絶滅の危険性が高いと言えるだろう。

マレーグマは驚くべき森の住民で、雑食性であるという点で、生態学的に計り知れない価値がある。
彼らは森林の栄養循環、種子散布、森林の再生を促進する。
シロアリや他の昆虫を食べることによって害虫を抑制し、森林の技術者的役割も務める。
アリやミツバチを食べるために木の幹に洞(うろ)を作り、絶滅の危機に瀕しているサイチョウを含む森の様々な住民たちに住処を提供している。

しかし彼らのもつ生態学的重要性はクマの体の一部の密輸品としての価値に劣るとされ、人間には、狩りの戦利品や魔よけ、漢方薬としての価値がより高く評価されている。

インドネシアの先住民は昔から、儀式用の衣服や食べ物、宝飾品、薬、魔よけのお守り、狩りの戦利品としてクマを狩ってきた。
このために使用されてきた伝統的な狩りの手法では、野生の個体数に影響はほとんどなかった。
しかし狩りの手法が進化し、今では火器や罠、感電させる手法までが使用され、大型動物を簡単に殺せるようになった。
一方、森を切り開き伐採を行うことで今までよりも密猟者が野生生物を見つけやすくなり、マレーグマやその他の種の個体群に大きな打撃をもたらしている。

マレーグマの詳細な個体数の予測は行われていないが、インドネシアはこの種にとって重要な生息地と見なされており、他のどの生息国より生息密度が高い。
しかし、クマたちはインドネシアで、違法な野生生物取引を含む多くの脅威に直面している。


オンラインに移行する脅威

我々の調査は、2011年から2018年までのインドネシアのクマに関する押収情報の分析と、クマ関連製品がオンラインで売買できるかについてのフェイスブック上での3か月の調査を含んでおり、インドネシアで進行中の野生生物の違法取引の脅威を明らかにした。
マレーグマの爪や歯、皮、頭骨、全身の剥製標本といった地元の需要に加えて、SNSでも爪や歯がそのままの形で、あるいは精巧に彫刻されたりペンダントに加工されたりして販売されている。

また、生きている子グマをペットとして取引している証拠もあった。
例えば最近インドネシアの首都ジャカルタで、生きているオランウータンやウンピョウに加えて、生きている子グマが押収された。
これらの動物はクウェートへ輸送される途中で、中東の国々への積み荷を含む国際的な野生生物の違法取引の捜査中に救出された。
中東は珍しい動物のペット産業が盛んになっており、監視の目が強まっている。

もちろん、パンデミック以前にも、漢方薬として使用する胆のうや胆汁、珍味である足のためにクマを狩っていた証拠はあった。
2018年1月、インドネシアの当局はある野生生物取引業者を逮捕し、クマの足64個、冷凍庫に保管されたマレーセンザンコウ(学名:Manis javanica)22匹と生きているセンザンコウ1匹を押収した。
これらは、西スマトラのジャンビ族から購入し、ジャワの大都市の中華料理店へ売られるものだったと伝えられている。

インドネシアの東カリマンタンから出荷されるクマの体の一部の輸送先として、カンボジアやマレーシア、ベトナムも示唆されている。
我々の調査期間内で最も大がかりなマレーグマの押収は2017年に行われたもので、クマの頭骨2個、骨266本、胆のう24個、爪1,087個、犬歯67本を含み、それらはすべてベトナム向けだった。
逮捕された容疑者によると、これはベトナム向けの最初の荷物ではなかったという。


法執行力の不足

インドネシアの野生生物取引業者は明らかに、法執行機関による取り締まりにほとんど恐れを感じていない。
マレーグマは1973年からインドネシアで保護されているが、生きているクマやクマの体の一部、派生製品の違法取引はいまだに存在する。

国際的な規制も無視されている。
マレーグマはConvention of International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の附属書Iに掲載されており、国際的な取引は禁止されているが、インドネシアが世界各地へのクマの密輸の原産国となっていると指摘され続けている。

ほとんどすべての野生生物犯罪と同様に、この取引が法執行機関による取り調べを受けた場合でも、犯罪者に重罰が科されることは滅多にない。
我々のクマの押収データの分析では、起訴することに成功したのは事件の32%のみで、法によるほぼ最大の罰則が科されたのはそのうちたった1件だ。
そのケース―2018年1月のクマの足64個を含む押収―では、取引業者に4年6か月の懲役と1億インドネシアルピア(約6,900USドル、約70万円、2020年10月2日付換算レート:1IDR=0.01円)の罰金が科された。

逮捕と起訴の件数がここまで低いのは、取引業者がインドネシアの野生生物法の抜け穴を悪用しているためだ。
マレーグマやその体の一部、派生製品の販売は違法だが、当局は、保護された種を所持していることがわかっている者に対してと、容疑者が違法取引に物理的に関わっているときしか、法を執行できない。

取引業者はこれらの欠陥に気づいており、取引の多くをfacebookや他のソーシャルメディアプラットフォーム上での取引に移行することで、自分たちに有利なように利用している。
オンライン取引は、法施行機関にとって監視と規制が容易でないからだ。
取引業者は、匿名のソーシャルメディアアカウントや秘密の取引グループをいくつでも簡単に設定できる。
売り手と買い手の対面での話し合いはもはや不要で、支払いはオンライン決済で行い、商品は直接買い手に発送することができる。
こうした取引の簡便性は、当局が、後に裁判所で使える証拠となる、買い手と売り手を結び付ける証拠を得ることをより困難にしている。

これはマレーグマだけの問題ではなく、すべてが野生生物取引と密輸業者のより広範なネットワークに結びついている。
マレーグマが関わっていた押収事件の少なくとも48%で、トラやオランウータン、センザンコウ、ウンピョウ、サイチョウ、その他の鳥類などの注目されている動物が同時に押収された。

これらすべてを通じて、インドネシアではクマを保護する意識や法整備が低いと懸念すべき証拠が見られる。
インドネシア人が生きているマレーグマを―売るかペットとして飼うために―所有していることが発見されても、重い刑罰が科される代わりに、単に動物を引き渡す機会が与えられるだけだ。


マレーグマを守るために必要な行動

違法取引の脅威は、生息に適する地域と餌資源の喪失や劣化、さらに人間との軋轢と組み合わさって、マレーグマに重大な危機をもたらしている。
COVID-19が野生のクマの密猟を助長することで事態をさらに複雑にする恐れがある今こそ、野生化で生存可能な個体群が確実に残されるよう、特にこの種を対象とした保護対策をとるときが来ている。
IUCNのSun Bear Conservation Action Plan, 2019-2028((仮)2019~2028年マレーグマ保全行動計画)には、マレーグマ生息国の政府機関を支援する効果的で実践的な取り組みがすでに含まれている。
これらの提案はマレーグマの生息域全体ですぐにでも実施されるべきだ。

その行動計画に加えて、密猟や違法取引からクマを保護するため、インドネシアが法整備を優先して行うこともまた必須である。
また、国が法の抜け穴をなくすことが重要で、それはオンライン上で取引する違法な野生生物取引業者を捜査および起訴する法執行機関に対する支援と強化となる。
マレーグマの保護が必要なだけでなく、種を保護するこの国の野生生物法について意識を高めるより大きな努力も必要だ。
そのような取り組みは、一般大衆、執行機関、裁判所、漢方医、ハンター、密猟者、消費者、それにマレーグマ生息地の近くに住む村人たちを対象として行う必要がある。

COVID-19以降の時代にインドネシアがマレーグマの主要生息地の1つであり続けるためには、この信じられないほど重要な動物の個体群がこれ以上減ってしまわないうちに、これらの保護対策を早急に確立する必要があるのだ。

ニュースソース:
https://therevelator.org/indonesia-illegal-trade-sun-bears/

 

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