ボツワナでゾウ狩りライセンスのオークションが開始される
和訳協力:矢船 仁美、校正協力:赤瀬 エリサ
2020年2月6日 PHYS ORG News
ボツワナは、世界最大規模のゾウの個体群が生息する国だが、2019年に狩猟禁止が解除されて以降初めての、ゾウのトロフィーハンティングを割り当てる大規模なオークションが金曜日に開催される。
1時間のオークションは、首都ハボローネの環境自然保護観光省の敷地内で、地元企業Auction Itが実施しました。
Ian Khama氏の後を継いでわずか1年後、Mokgweetsi Masisi大統領は、狩猟禁止措置を解除した5月に、自然保護活動家らの怒りを募らせた。
Khama氏は熱心な環境保護主義者で、野生動物の生息数を減少から反転させるため、2014年に狩猟の全面禁止措置を導入していた。
Masisi大統領は政府の決定に対する批判をかわし、この解除はゾウの生息数を脅かすものにはならないだろうと述べた。
業界筋によれば、ゾウ10頭ずつの狩猟免許が7つオークションに出され、そのうち6つが購入されたという。
価格帯は360万~470万プラ(33万~43万ドル、約3660万~約4780万円、2020年2月6日付換算レート:1USドル=110.86円)だった。
政府は狩猟は"調節"され、「人間と野生動物との軋轢」によって最も影響を受ける地域に限定されると述べた。
これは、ゲームパークからコミュニティに歩き回るゾウについての言及である。
2020年の狩猟シーズンは、4月に始まる予定だ。
オークションでの勧告によれば、入札者は「実証可能な適切なゾウの狩猟経験」を持っている必要があり、以前に野生生物の刑事上の有罪判決を受けたことがないものでなければならないという。
首輪をつけたゾウの狩猟は禁止される予定だ。
オークションの通知によれば、ゾウを狩猟する際には必ず、ガイドと専門家が常に同伴する必要があるという。
昨年のMasisi大統領の狩猟禁止を解除するという決定は地域社会からは称賛されたが、自然保護活動からには冷笑され、Khama派とMasisi派の間の緊張を高めることとなった。
国際的な報道機関の間では高い関心があったにもかかわらず、オークションは地元の新聞ではほとんど言及されていなかった。
生息数過剰
Masisi大統領は、狩猟禁止の解除という自らの決定を、ボツワナのゾウの生息数が過剰であることを述べて擁護し、狩猟は規制の下で行われることを約束した。
Khama元大統領は苦々しく言った。
「私は狩猟に反対してきました。狩猟は、狩猟を支持する人々のメンタリティを表現するもので、世界中の多くの種を絶滅にいたらしめた利己的な自然搾取に他ならないからです」と、彼はAFPに電話インタビューで語った。
商業狩猟を認めることについてKhama元大統領は、「密猟防止に従事する人々や、密猟者からゾウを救うようにと言われている人々がやる気をなくす可能性があります。しかし、現政権はそのゾウを密猟し、それを狩猟と呼んでいるのです」と述べた。
野生生物保全のロビー活動を行う世界的な慈善団体Humane Society International(ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル)で、アフリカの野生動物関係事業の代表を務めるAudrey Delsink氏は、「ボツワナのゾウ狩猟免許のオークションは深く懸念され、問題がありあると考えられています」と語った。
「狩猟は、人間とゾウの軋轢を長期的に緩和する効果的な手段ではありませんし、ゾウの数を管理する方法でもありません」、と、隣国の南アフリカから彼女は言った。
ボツワナのKalahari Conservation Society(カラハリ保護協会)の代表であるNeil Fitt氏は、狩猟を国の新たな収入源と見なしているが、「倫理的かつ適切に」行われなければならない、と警告した。
ボツワナにはフェンスのない公園や開けた大地があり、アフリカ大陸全体のおよそ1/3にあたる、135,000頭を超える世界最多のゾウ個体群が存在する。
そのゾウの大部分は、重要な観光名所であるチョベ国立公園内に生息している。
しかし、食べ物を求めて歩き回るゾウ達は、野生生物保護区近くの村々に侵入し、フェンスを打ち破り、作物を台無しにし、時には人を殺すこともある。
「ゾウは私たちのクラス地域では脅威となっています」と、ナタ地区の中央の村に住むTshepang Mogogoma氏は言う。
「ハボローネで行われているゾウのオークションについてはわかりませんが、狩猟用にできるだけ多くのゾウを売るべきだと思います」。
ニュースソース:
https://phys.org/news/2020-02-botswana-auctions-elephant-licences.html
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→JWCSのメーリングリストに登録してさらに情報をGET
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
« チリの気候変動が悪化するにつれ激しさを増す畜産農家と野生動物の対立 | トップページ | 海鳥の保護が気候変動からサンゴ礁を守る助けとなる可能性 »
「01 ゾウ」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
- ボツワナでゾウ狩りライセンスのオークションが開始される(2021.01.15)
- 9.5tものセンザンコウのうろこの押収により、野生生物犯罪への対応強化がナイジェリアで必至に(2020.10.20)
- 保護区域周辺の人間と野生動物の対立を緩和するための地域密着型の戦略の実験的調査(2020.07.07)
「22 アフリカ」カテゴリの記事
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
- コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす(2021.08.31)
- ボツワナでゾウ狩りライセンスのオークションが開始される(2021.01.15)
- 9.5tものセンザンコウのうろこの押収により、野生生物犯罪への対応強化がナイジェリアで必至に(2020.10.20)
- 保護区域周辺の人間と野生動物の対立を緩和するための地域密着型の戦略の実験的調査(2020.07.07)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「12 哺乳類」カテゴリの記事
- Covid-19によりコウモリと疾病論争が再燃(2022.03.22)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「36 野生生物の利用と取引」カテゴリの記事
- ブラジルの先住民グループが違法伐採をめぐる数十年の争いに勝利(2022.04.19)
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- 空輸による動物密輸と人獣共通感染症拡散の防止(2022.01.11)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント