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2020年12月 1日 (火)

トッケイヤモリがCITESの保護下に:それが本当に意味することとは

2019年9月18日 The Revelator Essays

和訳協力:石原 洋子、校正協力:成田 昌子

絶滅危惧種の取引制限に対して反対意見もあるが、新たな制約はtokay gecho(トッケイヤモリ)とその生息国の両方に利益をもたらすことになる。

トッケイヤモリ(学名:Gekko gecho)は地球上で最も取引されている動物の1種だが、Convention On International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)が先月、トッケイヤモリの今後のいかなる取引も規制すると合意したことで、強力な後ろ盾が得られることになった。

CITESの締約国は183ヵ国で、国際取引によって野生の動植物の存続が脅かされないよう尽力することを目的としている。
今回トッケイヤモリは、CITESの附属書IIとして知られる、取引に規制を課す枠組みに追加された。
野生のトッケイヤモリの生息国15カ国のうち、インドとフィリピンが附属書への掲載を提案した。
2か国は、主に輸入する側であるEuropean Union(EU:欧州連合)と米国の提案に加わったのだ。

これまでも議論されたように、トッケイヤモリの附属書IIへの掲載提案は、南アジアや東南アジアから東アジアに向けた大量かつほとんど無秩序の取引が野生個体数の大幅な減少を引き起こしているのではないか、という懸念に端を発していた。
すでに個体数の減少や地域的な絶滅が報告されている国もあり、この新たな規制がこの流れを止め、さらには逆転への一助となることが望まれる。

附属書II:その意味するところ

声高に訴えたり、危惧さえしたりする一部の個人や組織も存在するが、CITES附属書IIへの掲載は取引の禁止を意味するものではない。
代わりに附属書IIに掲載された種は、取引制限が行われたり、追跡調査や動向分析ができるような許可制度のもとに取引することとなるだろう。
これによって、野生個体の個体数がさらに減少し始めた時に、早期の警告を行うことが可能になる。

附属書に掲載されていない種の追跡調査は不可能ではないが非常に困難なため、附属書IIへの掲載は重要である。
その理由の一つは、動植物は通常消費国側の額面通りに取引されることが挙げられるが、それは、それぞれの、またすべての積み荷について、取引対象種の生育・生息する国の管理当局や輸出業者に確認を取らない限り、それが違法に調達された商品か、合法に調達された商品かを正式に確認するわかりやすい仕組みがないからである。
さらに、まだCITESの附属書に掲載されていない種が違法に調達されて取引されても、それを防ぐ法律がない国もある。
CITES附属書IIの許可制度によりこのような仕組みが施行されれば、もし輸出国からの許可がない場合はその出荷は違法と見なされ、輸出できなくなる。
簡単なことだ。

しかしそれでも附属書II掲載に反対する人がいる。

明らかに事務処理や運営管理作業が増加するため、反対する取引業者や役人もいる。
だが本当のところはお金である。
持続可能な取引や種の保存に無関心な金目当ての人々にとっては、いかなる制約も不満なのだ。

すでにトッケイヤモリ生息国の取引業者や役人からの苦情が耳に入っている。

しかし、野生生物のみならず役人や法執行にとっても明確な恩恵がある。

もっとも明白なのは、附属書II掲載によって、生息国の国内法を施行が進めやすくなり、取引業者が国内割当数を遵守することが保証できるのだ。

たとえばインドでは、トッケイヤモリは法的に保護されて輸出は禁止されているが、CITES附属書に掲載されていない場合、一度国外に違法に持ち出された後は国内法を施行することはほぼ不可能である。
附属書IIはインドの国内法を強化している。

もう一方の生息国であるインドネシアはトッケイヤモリの輸出は許可しているが、捕獲個体数と輸出個体数に制限を設けている。
許可を受けた取引業者は、あとどれだけ割当数が残っているかを輸出許可証に毎回記入しなければならない。
割当数が超過した場合、輸入国はインドネシアに通告し、超過分に対する違法輸出の防止に協力する義務がある。
このように附属書IIへの掲載は、インドネシアの現行の割当制度を強化し、野生生物の乱獲防止に役立つだろう。

トッケイヤモリの取引を持続可能な方法で続けたい、そして潜在的に必要な全面取引禁止を避けたい人にとって、附属書IIは重要なのである。

その先に

新しい附属書IIのリストは12月に実効され、その後はトッケイヤモリのすべての取引に許可証が必要になる。
トッケイヤモリの生息国は野生個体の捕獲数の年間割当数を報告することになり、すべての輸出国、再輸出国および輸入国は年間報告書をCITES事務局に報告しなければならない。

すべてのCITES附属書掲載種と同様、これらの記録は、CITES貿易データベースに保存され、誰でも閲覧し、使用することができる。
この重要なデータは政府や自然保護活動家、そして傾向の長期観測や潜在的乱獲の特定に関心のある人の誰もが使うことができる。
また、個体数の減少を早期に感知するシステムも提供している。
野生個体群を保護し、持続可能な貿易を調整するための原産国の取り組みを支援する過程において、輸出国はこの許可制度によって、附属書IIの許可証がなく国際取引されようとするトッケイヤモリを押収することができるようになるだろう。

トッケイヤモリを附属書IIに掲載することを決定し、よく知られているゾウ、サイ、トラなどの大型動物だけでなくより多くの種にも取り組んでいることを再度示してくれたCITESに拍手を送りたい。
今後我々はトッケイヤモリの輸出入に目を光らせ、分析に役立つ確かなデータとしてCITESに提出される最初の年間レポートを心待ちにしている。
長期的には、そしておそらくより早く、現在みられる野生のトッケイヤモリの減少傾向が逆転することを願い、また違法に取引されるトッケイヤモリの減少傾向が見られることを期待している。

ニュースソース:
https://therevelator.org/cites-tokay-geckos/

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