9.5tものセンザンコウのうろこの押収により、野生生物犯罪への対応強化がナイジェリアで必至に
和訳協力:大前 美子、校正協力:花嶋 みのり
2020年2月5日 EIA News
ナイジェリア税関の職員が、9.5tにのぼる密猟されたセンザンコウのうろこが入った貨物を押収
ラゴスの使われていない倉庫から見つかった147袋に入っていた押収品は、世界で唯一のうろこを持つ哺乳類であるセンザンコウの死体、およそ9,500匹分に相当する。
センザンコウは、ここ数十年で一気に世界で最も違法取引されている哺乳類になった。
アジアやアフリカで密猟され、違法に取引されており、そのうろこと肉が国内市場と国際市場の両方で商取引されている。
うろこは、特に東アジアで伝統薬や宝飾品に使用されており、肉はアフリカとアジアでは広く生活の糧や珍味として消費されている。
EIA(環境調査エージェンシー)のSenior Pangolin Campaigner((仮)センザンコウキャンペーンのリーダー)であるChris Hamley氏は次のように話す。
「アフリカとアジアの間でセンザンコウのうろこや象牙の違法取引を行う際に、ナイジェリアが主な抜け道の一つになっているのです。なぜなら、大半がナイジェリア当局に発見されないからです」。
「さらに、象牙はラゴスでは公に売買することができ、象牙の加工も商業規模で行われています」。
「ここ数年ナイジェリアでは、野生動物や材木の違法取引の温床となっていることに対しての対策の進展がほとんど見られせんでした。ですから、今回の取締強化は二重の意味で喜ばしいことです」。
「我々は、センザンコウの違法取引を行う犯罪ネットワークに大きな不利益を与える、ナイジェリア税関のイニシアチブを歓迎します。センザンコウは全8種で、そのすべてが絶滅の危機に瀕しているのです」。
「今回の9.5tものうろこの押収に象徴されるように、センザンコウが商業規模で殺されているということが、ナイジェリア政府が貨物の押収を行うだけですませず、関与している犯罪ネットワークの積極的な調査を行う原動力になるはずです」。
「野生動物の違法取引を行う犯人の起訴に成功すれば、ナイジェリア国内でこの違法行為を企てる際のリスクがさらに高い環境となるでしょう」。
1月19日に起きたこの大規模な押収の詳細は、退役陸軍大佐であるHameed Aliナイジェリア税関監査局長により、ラゴスで火曜日に行われた報道記者会見で明らかになった。
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