最新の調査により、ウミガメの違法取引がインドネシア、マレーシアおよびベトナムで長年横行していることが判明
和訳協力:矢口 陽子、校正協力:高橋 公貴
2019年11月19日 CITES JOINT PRESS RELEASE
CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称ワシントン条約)事務局の委託によりTRAFFICが実施した新しい調査の報告によると、インドネシア、マレーシアおよびベトナムにおいて、現物市場とオンライン市場の両方での押収物から、数千匹のウミガメとその体の一部が見つかったとのことである。
2015年から2019年7月までに、上記3か国において法執行が行われた163件の事件で、丸1匹の生きたウミガメと死んだウミガメを合わせて、少なくとも2,345匹が押収された。
91,000個以上の卵(そのうち75,000個はマレーシアだけで押収された)も、3,000個近い甲羅と1.7tの肉とともに押収された。
上記3か国以外の国で2016年と2017年に実施された押収データの分析では、ウミガメの国際的な違法取引に、インドネシアとベトナムが関与していることが示された。
ベトナムは精査された8件の押収事案のうち、原産国または消費国として6件に関わっていた。
この8件の押収事案において、少なくとも782匹のオサガメが押収され、そのうち380匹以上はハイチで捕獲されたもので、フランスからベトナムへ送られようとしていた。
「ウミガメたちのこれまでずっと、荒波を泳ぐような苦境にあり続けています」とTRAFFIC東南アジア支局長であるKanitha Krishnasamy氏は言う。
「長年にわたる私たちの調査は、東南アジアのいくつかの国において看過できないレベルの違法取引が行われており、その脅威が減っている証拠はほぼないことを、一貫して証明してきました。これらのカメ類の個体数が世界的に減少していることを鑑みると、これほどのレベルの継続的な違法取引に対して、優先的に早急かつ協調的な行動がとられない限り、この回遊性を持つ海の生き物たちの未来の見通しは暗いと言えます」。
ウミガメ全種はCITESの附属書Iに掲載されてており、ウミガメおよびその体の一部やその派生商品は商業目的での国際取引が禁止されている。
自国内での採取および取引はCITESによって規制されていないが、インドネシアとベトナムでは国内法で禁止されている。
しかしながら、マレーシア半島の一部では、数種のカメで卵の取引が合法になっている。
調査は、密輸のルート、違法取引の多発地域、国内取引の動きとその原動力にも注目した。
本調査の結果は、主要な取引地域において、より一貫した、長期的な取引の傾向と動向を監視していくことの必要性を示すものである。
その主要な取引地域には、現在の取引規模の迅速な分析として行われたために今回の調査では網羅できなかった地域も含まれる。
「この調査は、ウミガメのための国内規制と国際的な規制の各地域での推進と実施を継続的に支援することの必要性をはっきりと示しています。これらの規制は近年のCITES締約国会議で可決された決定事項を包括的に反映するものです。CITES事務局は、International Consortium on Combating Wildlife Crime(ICCWC:野生生物犯罪と闘う国際コンソーシアム)を含めた我々の協力者たちと連携して、関係国を支援する用意があります」とCITESのIvonne Higuero事務局長は述べた。
この地域的調査については、CITES事務局により実施されたMIKES((仮)ゾウおよびその他の絶滅危惧種の密猟最小化)プロジェクトを通じて、ヨーロッパ連合より惜しみない資金提供があった。
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