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2020年2月 4日 (火)

禁漁海域、漁業者(および魚)に予想以上の効果

和訳協力:下島 深雪、校正協力:鈴木 康子

2019年7月4日 PHYS ORG news

漁の禁止により生物が保護されている海域、つまり、marine protected area(MPA:海洋保護区)は、保護されていない海域に比べ、haあたり少なくとも5倍の魚を生産するとの新たな研究が7月2日に発表された。

この予想を超える結果は、MPAsが海域の保全および隣接する海域での漁獲量の増加において、これまでに考えられてきた以上に重要な役割を担っていることを示している。

この研究で、魚1個体あたりの稚魚の数は、魚の体長が大きくなるにつれて指数関数的に増加することが判明した。
魚の個体数を推定する以前のモデルでは、魚の大きさによる違いを考慮していなかったのだ。
この基本的な前提を改めることで、MPAsの真の価値が一層明確になった。

海洋保護区(Marine Protected Areas:MPAs)

MPAsとは、人間の活動を制限する海域であるが、最も望ましいのは海の動植物の漁獲活動を禁止する「禁漁区」を設定することである。
人間の干渉を制限することによりMPAs内の魚が成長することができ、また保護区外で漁獲された個体群を補充する潜在的な波及源となることができるだろう。

MPAsは明らかに生態群衆の保護を目的に設計されたものだが、科学者たちは、海洋保護区が漁獲対象となっている生物種の個体数の充填と維持という、もう一つの役割も担うことを長年願ってきた。

世界の採捕漁業注1)は危機的な状況にあり、かつてないほど漁獲量を増やすための取り組みが行われているにもかかわらず、漁獲量は横ばいあるいは減少傾向にある。

MPAから波及する漁業資源が漁場の喪失を埋め合わせることができるか、漁業者はなおも疑念を抱いており、漁業におけるMPAsの役割は依然として議論の余地がある。
重要なのは、MPA内の魚が生産する稚魚の数である。
魚の繁殖力がMPAの内側と外側であまり違いがない場合、MPAの存在は漁業者にメリットがないばかりか、負担でしかない。

大きな魚はより子だくさん

従来のモデルでは、魚の生殖生産量は個体数に比例するとみなしており、つまり、魚の数量が2倍になれば、生殖生産量も2倍となるとされる。
そのため個体数の増加量を計算する際、個体群内の魚の大きさよりも、バイオマス(生物体量)の合計が重要だと考えられてきた。

しかし近年、科学雑誌サイエンスで発表された論文で、95%の魚種には従来のモデルによる推定が適合しないことが実証された。
実際には、より大きな魚は、不均衡なほど生殖生産量がより大きくなっていた。
これは、魚の数量が2倍の場合、大きな魚では生殖生産量は2倍よりも多くなることを意味している。

新たに見直されたこの推測を魚の生殖モデルに入れ込むと、MPAsの価値についての予測は劇的に変わることになる。

保護区内の魚は、区外の魚よりも平均で25%大きい。
さほど大きく違うとは思われないかもしれないが、生殖生産量においては大きな差となって表れる-MPAの魚は、平均で約3倍の生産性を有しているのだ。
つまり、禁漁規制により魚の個体数が多いことと合わせると、MPAsでは保護されていない海域に比べて、単位海域当たり(魚種にもよるが)5~200倍もの稚魚が生産されることになる。

言い換えれば、1haのMPAには、少なくとも5haの保護されていない海域分に相当する稚魚が生産されることになる。

しかし、MPAsにおける稚魚の生産が不均衡なほどに多いからといって、必ずしもそれが漁獲量を引き上げるというわけではないことを忘れてはならない。

漁獲量を増やすためには、稚魚が保護海域から漁業海域にまで拡散しなければならない。
漁獲量の算出には、とりわけ、保護海域内から保護されていない海域への稚魚の拡散のモデル化が必要となる。
このモデル化の情報は、数種でしか利用できない。

我々は、象徴的な魚の1種であるグレートバリアリーフに生息するスジアラを対象に、MPAsの有無による不均衡な繁殖が、漁獲量に与える影響を調査した。
スジアラは、稚魚の拡散に関する妥当な推定値や異なる個体群がどのように関係しているのかなどの重要なパラメータのデータが多数そろっている、数少ない魚種のひとつである。

この調査の結果、魚の個体数に関する比較的に現実的なモデルに不均衡な繁殖を入れ込んだ場合、MPAsが実際に漁獲高を高めることが判明した。
スジアラについて言えば、漁獲重量がおよそ12%増加したことが分かった。

ここから、2つのことが言える。
まず、MPAs内での産卵数が5倍に増加しても、漁獲量の増加はわずかでしかない。
これは、拡散範囲が限定されていたことや保護海域内での死亡率が高かったことが、生産量の増加分を相殺してしまったからである。

しかし同時にこの結果は、よく言われるように、MPAsが漁業者たちの利益と矛盾するものではないことを示唆している。

確かにMPAsは、域内すべての魚の個体群の利用を制限するものであるが、漁業者たちは依然として、MPAs内での偏った魚の数の多さの影響によりメリットが得られる。
MPAsは魚と漁業者の双方に利益を生み出す貴重な戦略と言える。

この調査結果がすべての海洋生物に適合するかどうかは不透明だ。
それに加え、これらの効果は強制力のある厳格な禁漁の上に達成できるものであり、それなしには魚の大きさに本質的な差異が生じるほどの効果は得られないだろう。

漁業管理ツールとしてのMPAsの価値は、組織的に過小評価されてきたと思われる。
MPAsの評価にMPAsの不均衡な繁殖の高さを入れ込むことにより、この評価を見直し、MPAの重要性についての議論にもある程度の決着をつけるはずである。
MPAsをうまい形で計画的に配置することにより、天然魚の収穫量を必要とされる漁獲量より以上に増やすことができるだろう。

注1:採捕漁業とは、野生の魚介類を捕獲する漁業のこと。養殖漁業と分けて考えるときに使われる。

ニュースソース:
https://phys.org/news/2019-07-no-take-marine-areas-fishers-fish.html

 

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