爬虫類の違法取引:国際的な作戦で多くの押収と逮捕
和訳協力:加藤 有起枝、校正協力:鈴木 洋子
2019年6月3日 INTERPOL News
爬虫類の違法取引に対抗した国際的な作戦が、押収と逮捕につながった
爬虫類の違法取引に対する国際的な作戦により、全世界で数千におよぶ押収が行われ、また統合された情報の共有を通して、およそ200人の容疑者の身元が割り出された。
この世界的な違法取引の背後にある犯罪者や組織をターゲットとしたブリザード作戦(4月12日~5月22日)には、22か国の政府機関が参加し、生きている動物から高級なファッション製品に至るまで、多岐にわたる密輸品が押収される結果となった。
これまでのところこの作戦によって4,400点以上が押収され、180人以上の容疑者の身元の確認に至り、世界的規模の逮捕と捜査につながっている。
イタリアで6件とスペインで6件の逮捕者があり、捜査を継続するにつれて今後さらなる逮捕と起訴が期待される。
世界中の押収物と主要な成果は以下の通り。
・1,500匹のヘビ、トカゲ、ヤモリのほか、20匹のワニ類、2,700匹のカメ類を含むおよそ4,400匹の生きている動物が押収された。
・6匹のKenyan Sand Boa(ナイルスナボア)がアメリカの航空貨物から、また西オーストラリアの航空貨物でも2匹のニシキヘビが同様に発見された。
・イスラエルのペットショップや個人宅からボア類、ウミガメ、リクガメ、ヤモリが押収された。
・ハンドバッグ、財布、時計用ストラップ、医薬品、剥製など爬虫類から作られた商品150点が押収された。
・象牙やブッシュミート製品のみならず、生きているオウム、フクロウ、ハヤブサ、ハクチョウなども作戦期間中に押収された。
世界的に強調した対応
INTERPOL(国際刑事警察機構)のWildlife Crime Working Group(野生生物犯罪ワーキンググループ)の加盟国がブリザード作戦を立ち上げた。
ブリザード作戦は、爬虫類の違法取引に対する取り組みにおける国際的な運動を高めるため、INTERPOLとEuropol(欧州刑事警察機構)が連携して調整を行い、ニュージーランドのDepartment of Conservation(自然保護庁)のような国家機関と緊密に協力して進められた。
作戦では、国際的な情報共有と、生きた爬虫類や爬虫類を使った製品の取引を行う犯罪組織グループに対抗する協力体制の必要性が認識されている。
INTERPOLのAssistant Director in charge of Environmental Security((仮)環境部門担当の次官)であるDaoming Zhang氏は、「ブリザード作戦期間中に大量の押収品が得られ、また各国で情報交換がなされたことによって、世界規模で協力して実施するイニシアティブがいかに効果を最大限に高める得るのかということが明らかにされました」と語った。
またZhang氏は次のように付け加えた。
「爬虫類の違法取引は組織犯罪と密接につながっており、ブリザード作戦は犯罪者に対して、全世界の法執行機関がこの犯罪者たちに狙いを定めているという、明確なメッセージを送っているのです」。
情報主導の作戦
違法な爬虫類取引に関わる犯罪組織を突き止めるために、情報はINTERPOLのNational Central Bureaus(国家中央事務局)やEuropolを経由して、作戦に先立って集約共有された。
この情報は、作戦活動を具体化して疑わしい犯罪者とその仲間を追跡するために使用された。
EuropolのHead of the Economic and Property Crime Unit((仮)経済犯罪および窃盗犯罪部門の責任者)であるPedro Felicio氏は次のように述べた。
「ブリザード作戦のような国際的に連携した警察の作戦は、今では環境保護の最前線に位置しています。しかし、様々な努力がなされているにもかかわらず環境犯罪の脅威は相変わらず高まったままです」。
犯罪と疑わしいものを見つけ出し、情報源の構築に役立てるために、飛行機の乗客、商業貨物、ペットショップ、法的許可を受けた爬虫類の飼い主もまた、捜査員によって行われる捜査や検査の対象となっていた。
「ブリザード作戦は、我々が情報源を共有し、法執行を協力して実施することにより、法執行機関が爬虫類のこの破滅的な取引をやめさせるために確実に貢献していることをはっきりと示しています。この作戦は、私たち全員が協力すれば何が達成できるかということの証明なのです」と、ニュージーランドの自然保護庁のPrincipal Compliance Officer((仮)規則順守首席担当官)であるDylan Swain氏は語った。
結果は引き続き国際的に分析され、国の、地域の、そして国際的な法執行の将来の取り組みの手引きとして使用されるさらに多くの情報を生み出すだろう。
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