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2019年12月27日 (金)

アフリカゾウの密猟の脅威が続いていることが新しい報告書で浮き彫りに

和訳協力:松岡 真由美、校正協力:鈴木 洋子

2019年5月10日 CITES Press Release

CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の実施するプログラムMonitoring of Illegal Killing of Elephants(MIKE:ゾウ違法捕殺監視システム)による最新の評価によると、アフリカゾウの長期的な生存が密猟によって脅かされていることが確認された。

MIKEは、Proportion of Illegally Killed Elephants(PIKE:ゾウの違法捕殺率)に基づいた違法捕殺の相対レベルを評価している。
PIKEは、発見された違法に殺害されたゾウの数を、パトロール等によって発見されたゾウの死骸の総数で割って、調査地点ごとに毎年集計して計算するものである。
0.5を超えるPIKEレベルは、報告されたゾウの死が、他の原因による死よりも違法捕殺によるものの方が多いことを意味している。

PIKEは2011年に0.77でピークに達し、これは驚くべきことにアフリカゾウの10%が密猟されたことを示している。
その後、PIKEは2017年にかけて徐々に低下の一途をたどって0.53となり、2018年のPIKE値はそれとほぼ変わらなかった。

定住性の保護されているゾウの個体群においてさえもこのような高いPIKEレベルであることは懸念事項となっており、違法捕殺や他の死因による年間の死亡数を出生率によって補えていない。
多くのアフリカゾウの個体群は小さく、分断されていて、十分に保護されておらず、それらにより密猟の被害をより受けやすくなっている。
アフリカではPIKEレベルは0.5を超えたままであるため、アフリカゾウの数が減少し続けている国々もある。

IUCN/SSC(国際自然保護連合/種の保存委員会)が2016年に発行したAfrican Elephant Status Report(アフリカゾウ現状リポート)の直近の評価によると、アフリカゾウの個体数は、1世紀前の推定1200万頭から約40万頭にまで減少している。

「象牙目的のアフリカゾウの違法捕殺は、ほとんどのアフリカゾウ生息国におけるゾウ個体群にとっての大きな脅威であり続けています。同時に、アフリカの人口は1億2500万人から12億2500万人へと10倍に膨らみ、ゾウと人間が土地を争う状況生み出しているのです」と、CITESのIvonne Higuero事務局長は述べた。
「我々は引き続き、密猟や象牙の違法取引を減少させ、ゾウと地元住人の共生の道を確立する手立てを見つけなければなりません。これは、法の強制力を高め、違法な象牙の需要を減少させ、ゾウと共生する人々の生活の安全を確保することを意味します。国際社会は、ゾウと地域社会両者に役立つ解決策を探すために、アフリカの生息国との協力体制をさらに拡大するべきなのです」。

1990年以降、象牙の国際取引はワシントン条約によって禁止されている。
この禁止の決定を継続すべきかどうかについては国によって見解が分かれている。
ゾウの個体群が十分に健全で持続可能であるアフリカ諸国は、とりわけ、ゾウの保全のための資金を創出するために、象牙取引の再開が許可されるべきであると主張している。
アフリカゾウと象牙取引についての議論は、当初5月にスリランカのコロンボで予定されていて延期された、3年に一度開かれる次回のCITESのConference of the Parties(CoP18:第18回締結国会議)における主要な議題の一つとなるだろう。

MIKEの調査結果

MIKEプログラムはCITESの元に立ち上げられたもので、CoP18においてCITESの183の締約国がMIKEの調査結果を検証する予定である。

MIKEは、アフリカ30か国のアフリカゾウ(Loxodonta Africana)、アジア13か国のアジアゾウ(Elephas maximus)の生息域に散在する指定された調査地点における大規模なサンプル調査として運用されている。
MIKEのデータは、指定されたMIKE調査地点における警察や森林警備隊員の現場のパトロールによって収集されている。
ゾウの死骸が見つかると、調査地点の担当者が死因や性別、年齢、象牙の状態、死骸の腐敗レベルなどの詳細事項の特定に努める。
これらのデータはCITESのMIKEプログラムへ分析のため提出される。

現在(2003~2018年)までに、アフリカのMIKE調査地点についての19,100以上の死骸の記録のデータベースが作成されている。
アジアの12の生息国における2003年から2017年末までの間に発見された3,377のゾウの死骸の記録からなるデータセットも、これに集約されている。
これらのデータセットは、ゾウの違法捕殺レベルの統計分析に利用できる最も実質的な基礎情報となる。

2018年には、MIKEの53カ所の調査地点のデータが、MIKEのCentral Coordination Unit(中央調整事務所)へ報告された。
東部および南部のアフリカのMIKE調査地点すべてがレポートを提出したが、一方で中央アフリカでは16地点のうち12地点、そして西アフリカでは18地点のうち15地点がレポートを提出した。
2018年に提出された死骸の記録は全部で1,235件で、その内520件が違法捕殺として記録されている。

これらの傾向をより深く理解するため、MIKEでは違法捕殺密度を引き起こす潜在的要因を特定する統計モデルを使用している。
具体的には、象牙価格とPIKEの年間の変動との間に強い相関関係があることがわかったが、一方で調査地点レベルの変動は、貧困密度(1Km2あたりの貧困者数)および法的措置の妥当性の推定値に相関関係があった。
国家的な腐敗レベルが低下するにつれてPIKEが減少するという、強固な証拠も確認された。

以前のMIKEのすべての分析と同じく、国による統治(腐敗認識指数により示されている)は引き続き、ゾウの違法捕殺の重要な国家レベルの予測因子として浮上している。
統治の不適切さは、結果として象牙の供給網全体に現れるようで、違法象牙の調査地点から輸出地点までの移動を促進する可能性がある。
これまでの報告で指摘されているように、統治は人類の発達レベルと非常に関連しており、個別要因の影響を解き明かすのを困難にしている。
統治と人類の発展との間には双方向の因果関係がある可能性があり、それによって、一方の制限が他方における改善の可能性を妨げているように見える。

MIKEの傾向分析により、アフリカの各地域における現在のゾウの違法捕殺レベルの実態も分かる。

・東アフリカ
東アフリカのPIKEの推定値は、2017年の0.23から2018年には0.32に増加したが、2018年の値は2017年の数値の誤差の範囲内であり、2016年の数値とほぼ変わらなかった。
2017年のPIKEの低下は、2016年(11月)~2017年にTsavo Consevation Area(ツァボ保護地域)とSamburu-Laikipia(サンブル-ライキピア)のMIKEの調査地点に影響を及ぼしたケニアの干ばつが要因になっている。
干ばつの程度によって自然災害での死亡数は増えるため、根底にある違法捕殺率に変化はなくてもPIKEの数値は減少することがある。

・南部アフリカ
PIKEは2016年から2017年にかけて増加し、2018年は比較的に変化はなかった。
2016年から2017年にかけてのPIKEの増加は、Chobe National Park(チヨベ国立公園/ボツワナ)やKruger National Park(クルーガー国立公園/南アフリカ)、South Luangwa national Park(サウスルアングワ国立公園/ザンビア)、Niassa Game Reserve (ニアッサ動物保護区/モザンビーク)などの生息地域のいくつかの調査地点におけるPIKE値の上昇によるところが大きかった。
2018年の南部アフリカのPIKEの推測値は、ニアッサ動物保護区(モザンビーク)やサウスルアングワ国立公園(ザンビア)の高いPIKE値により変わらなかった。
逆に、Etosha National Park(エトシャ国立公園/ナミビア)においては2018年に20頭の死骸が報告されたが、すべて違法捕殺ではなかった。

・中央アフリカ
PIKEは危機的なほど高いレベルを保っており、過去3年間におけるPIKEの平均推定値は0.73である。
中央アフリカで、PIKEレベルが特に高く、2018年に20頭以上の死骸が確認されているMIKE調査地点はNouabale-Ndoki National Park(ヌアバレ・ンドキ国立公園/コンゴ共和国)で、PIKE値は0.95であり、一方で、Minkebe National Park(ミンケべ国立公園/ガボン)とVirunga National Park(ヴィルンガ国立公園/コンゴ民主共和国)では、それぞれ16頭と12頭の違法捕殺された死骸が報告されているが、自然死の死骸はなかった。
逆に、次の2カ所の調査地点では2017年と2018年において毎年20頭以上の死骸が報告されているが、2018年にはPIKEは減少していた。
 Lope National Park(ロペ国立公園/ガボン):0.20から0.11
 Garamba National Park(ガランバ国立公園/コンゴ民主共和国):0.72から0.30

・西アフリカ
2017年と2018年の信頼区間は重複しているが、PIKEの推定値は2017年における0.75から2018年における0.46へと減少した。
2017年に西アフリカで報告された40頭の死骸の29%と比較して、2018年の西アフリカにおける全死骸の約70%(西アフリカ全体で58頭の死骸が報告されている)が、Pendjari Natinal Park and Biosphere Reserve(ペンジャリ国立公園・生物圏保存地域/ベナン)から報告されていた。
単独の調査地点が全死骸数に大きく寄与しており、また2018年におけるこの調査地点のPIKEレベルが0.25であることが、西アフリカの傾向に影響を与えている可能性があり、西アフリカのPIKE値を2017年の0.42から2018年の0.25へ減少させたのかもしれない。

しかしながら、いくつかの調査地点からの報告が低レベルであるため、西アフリカにおける1年ごとの傾向に基づいて確実な推測をするのは非常に困難である。
様々な要因が、様々な調査地点での監視レベル、個体群の保全状況などのデータの質だけでなく、調査地点の報告能力にも影響を及ぼす可能性がある。
加えて、個体群は小さく、分断されていて孤立している。
他の地域に比べて西アフリカでは、報告された死骸の数が16年間で797と最も低い。
それにも関わらず、2018年の0.46というPIKE値は、2014年から2016年にかけて報告されたPIKE値(平均値は0.91)に比べ相当低いと言えるだろう。
MIKEプログラムでは、西アフリカにおけるMIKEの実施に関する状況の理解を高めるために重点的な取り組みに着手する予定である。

ニュースソース:
https://cites.org/eng/news/new-report-highlights-continued-threat-to-african-elephants-from-poaching_10052019

 

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