フォト
無料ブログはココログ
2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

にほんブログ村

  • にほんブログ村

« 沖縄のジュゴン保護のための飛行場建設の中断を米下院軍事委員会に要請 | トップページ | ダム撤去に対する生態系の反応は複雑だが予測可能 »

2019年10月15日 (火)

グリーン経済開発はどれくらい効力があるのか

翻訳協力:日原 直子、校正協力:蛯名 郁矢

Stockholm Resilience Centre Research News

森林に覆われたラオスの高地に住む貧しい農業者が、かなり受け入れられているグリーン経済開発構想の現実性を見直している

農業は、森林伐採の大きな要因の一つである。
農村部の人々は、生活必需品を手に入れ、生計を立てるために森林資源を利用し、木々を伐採している。
その他の例では、営利目的の農業者が、政府によるに暗黙の支持を受け、しばしば広大な森林地帯を伐採する。

過去十年にわたり、開発途上国の政府は、自然保護と開発とのバランスを取ろうとして、「グリーン経済政策」を策定してきた。
雑誌「Land Use Policy」に掲載された最近の論文では、研究者らが、ラオス政府によるこのような政策の推奨を受け、移動型の稲作から交配種トウモロコシの耕作に切り替えた農家の見解を聞き取りすることにより、政策の効果を調査している。
トウモロコシ栽培が増加していた2013年および、トウモロコシ栽培に切り替えた農家の多くがその栽培を放棄していた2016年の両年において、同一農家への聞き取りを通して、グリーン経済政策が実際どれほど「グリーン」であったのかについて、研究者が焦点を当てた。

「The colour of Maize: Visions of green growth and farmers perceptions in northern Laos((仮)トウモロコシの色:グリーン成長の見通しとラオス北部の農家の認識)」と題する記事は、ストックホルム・レジリエンス・センターの研究者であるGrace Won氏とヘルシンキ大学、インドネシアのCenter for International Forestry Research(国際林業研究センター)および、シンガポール国立大学の研究者らの共同研究によるものだ。
ヘルシンキ大学のMaarit H. Kallioが筆頭著者である。

グリーン開発の実行

国連は、グリーン経済を次のように定義している:環境リスクや生態学的欠乏を大幅に減少させながら、人間の福利と社会的公平を改善することを目指す経済。
一部の社会学者らは問題視しているが、根底には、環境的な持続可能性と経済開発がうまく共存し得るという前提がある。
本研究で明らかになった農家の経験から、この前提は多くの場合、現場で起きていることとかなりかけ離れている。

例えば、ラオス政府が策定した「農業開発戦略2011-2020」のような政策枠組では、貧困の減少や税収の増加、土地利用と森林利用の調整、森林に住む民族の道路や公共施設近くへの移住といった目的が述べられているのと供に、「より集約的かつ/あるいは商業的な農業制度」が推奨されている。
その裏には、農家に対して、その地域で一般的な移動式農業(焼き畑耕作)を止めさせる目的があった。

地方の資金繰りが苦しい農家にとって、トウモロコシから得られる現金収入の増加は、移動式の稲作農業から切り替える大きな動機であった。
トウモロコシはまた、農家にとっては米と比較して、より労働集約的ではなく、より貧弱な土壌でも栽培することができた。
こういったすべての要因が政策や市場インフラの後ろ盾を得て、2013年にはケーススタディの対象となった多くの農家に、トウモロコシを単作作物として採用させた。
米は、対象地域の主食であるため、以前よりも小さな区画ではあるが、依然として栽培が続いていた。

結局それほど効果はなかった

しかしながら、2016年の調査にさかのぼれば、トウモロコシ栽培を促進したのと同じ要因、例えば世界市場(および関連する価格の変動性)で取引され、単作であることなどが、経済的にも環境的にもより大きな不確実性を誘発していた。
農家が、収穫高が低く不作だと訴えても、取引業者は救済を拒んだ。
そのため、農家は借金を膨らませ、外部機関に依存した。
その上、生物多様性が損なわれた。
伝統的な焼き畑農業により以前は異なる時期に休閑地がもたらされており、そのことがより広範な種の多様性と関連していたのである。

「社会的には、トウモロコシ耕作の拡大は、世帯間格差、諸リスク、取引業者への依存、負債、そして一部の農家が抱える食糧不安の増加を示していました」と共著者のGrace Wong氏は説明している。

農家は、トウモロコシは持続可能な土地利用に不適切であったと気づいてきているが、所得を生み出す代替案がほぼないのである。
特に、政策により移動耕作が制限されていたからである。

絶妙なバランス

Wong氏と共同研究者らは次のように指摘している。
背景が重要である一方で、生活保障や包括性、環境の持続可能性といった総合的な目標を達成する観点から、現実に起きていることとグリーン開発政策の目的が乖離していることを調査が示している。

とりわけトウモロコシは、グリーン経済政策の明確な目標になっていることの多い自然資本と社会資本の健全性を危うくした。
研究者らは、持続可能な農業慣行を支援したり、換金作物を移動式農業や移動周期の長い輪作といった多様な農業制度に統合したりする政策を代替え案として提案した。
加えて、作物保険や土壌保全のような開発スキームは、環境リスクへの備えとなり得る。
これらが一緒になることで「食の安全」や「文化的幸福」を高め、より回復力の高い景観を作り出すことができる。
重要なのは、グリーン経済の基礎となる複雑さを認識することが、保全と開発の間で慎重にバランスをとる政策を立案する助けとなるということだ。

「現場の視点を提供することで、本研究は、ラオスにおけるグリーン経済アプローチの根底にある前提および概念を批判的に顧みることを促していますし、また人間の福利や環境についてのより全体的な視点を考慮する政策や施策について論じています」と、Grace Wong氏は結んでいる。

ニュースソース:
https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2019-06-03-how-green-is-green-economic-development.html

 

★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付

※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村 環境ブログ 自然保護・生態系へ
にほんブログ村

« 沖縄のジュゴン保護のための飛行場建設の中断を米下院軍事委員会に要請 | トップページ | ダム撤去に対する生態系の反応は複雑だが予測可能 »

19 アジア」カテゴリの記事

43 その他」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 沖縄のジュゴン保護のための飛行場建設の中断を米下院軍事委員会に要請 | トップページ | ダム撤去に対する生態系の反応は複雑だが予測可能 »