海洋野生生物の複雑な地球規模の密売ネットワークの歴史的発展
和訳協力:山西 林、校正協力:伊川 次郎
2019年3月27日 Science Advances掲載論文要約部分抜粋
取引ネットワークの複雑さは、野生生物の密猟と、違法・無報告・無規制(IUU)漁業を管理するに当たっての大きな難題である。
これらの取引ネットワークは最近作られたものではなく、統合された世界市場から現代の規制方針に先行する形で、何世紀にも渡って発達してきたものであろう。
これらの繋がりを理解する手段として、我々はべっ甲取引の150年分の情報を収集・整理し、絶滅が危惧されるタイマイ(Eretmochelys imbricate)の取引を推計するための、生物学的に情報に基づいた漁獲量モデルを構築した。
その結果、取引ネットワークが東南アジアに集中しており、以前の予測の6倍以上である900万匹ものカメが漁獲されたということが明らかになった。
これらのネットワークは、太平洋内からインド洋や大西洋海域へと広がり、そして1950年以降さらに著しく複雑になったことが分かる。
さらに我々の予測結果は、沿岸域に限られているタイマイの漁獲の規模と範囲が現在のIUU漁業のパターンに似ているということを示している。
これらの関連する違法行為と闘うための政策においては、このようなますます複雑化する世界的ネットワークにおける小規模な沿岸漁業の重要な役割を理解しておくべきである。
ニュースソース:
https://advances.sciencemag.org/content/5/3/eaav5948
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