中国の象牙貿易禁止令の影響を測る新しい調査
和訳協力:坂本 義教
2018年10月23日 Mongabay記事より一部抜粋
2017年末、中国が象牙のすべての商業取引を禁止し、国内の象牙市場を閉鎖すると、自然保護活動家らは、その処置を称賛した。
しかし中国の近隣諸国が同様の措置を取らなければ、象牙取引は単にそうした国々にシフトするだけだとも警告した。
中国の象牙の禁止は、いくつかの明らかに肯定的な影響を及ぼしはしたが、こうした懸念がまったく正しいものであったことは新たな調査で判明している。
WWFおよび、野生生物のモニタリングネットワーク組織であるTRAFFICが2018年9月に発表した調査により、2017年12月31日に象牙の取引禁止令が実施されて以来、象牙を購入する中国人消費者の数は実質的に減少したことが判明した。
「2018年、禁止後の中国人の象牙の消費調査」という表題の研究で、調査した中国人消費者2,000名のうち、過去1年間で象牙を購入したと公言した人は14%であった。
この数字は、2017年に実施された禁止前の調査期間中、最近象牙を購入したと述べた回答者の31%より有意に少ない数字であった。
本調査によれば、中国人消費者は圧倒的にこの禁止令を好意的に見ているといい、回答者10名のうち9名が支持していることが判明した。
あるいは少なくとも、回答者10名のうち9名は、一度それを認識してからはこの禁止令を支持した、と語ったのである。
促されなくともこの禁止令を知っていた回答者はわずか8%でしかないが、この任してしていた人の比率は禁止以前の2倍である。
これらの結果は、言葉はゆっくり広がっているが、象牙取引禁止令に関する一般の認識を高めるためには、中国がより多くのことをする必要があることを示唆している。
このことは海外旅行をする中国人旅行者に特に当てはまる。
なぜなら定期的に旅行をする人の18%は、海外にいる間に、特にタイや香港で象牙製品を購入する、と報告したことが研究で判明したからである。
「象牙取引が禁止された後の中国では、幾つかの肯定的な傾向が見て取れます。その傾向は、新しい立法上の変化が肯定的な結果を生み出す可能性があることを示しています」と、WWFの野生生物保全プロジェクトのリーダーであるMargaret
Kinnaird氏は声明で語った。
「しかし規制と施行が不十分であるという弱点に加え、国の一部の地域では需要が存続し、消費者の認識が欠如しているなどの問題があります。これは、こうした分野を強化する上で、努力を倍増する必要があることを意味しています」。
ニュースソース:
https://news.mongabay.com/2018/10/new-research-measures-impacts-of-chinas-elephant-ivory-trade-ban/
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