中国、サイとトラの部位の取引禁止措置を緩和する決定を擁護
和訳協力:大森 康子
2018年10月30日 Phys.org記事より一部抜粋
「中国政府が事実上、絶滅危惧種の『死亡証明書』に署名した」との自然保護活動家らの警告を受けて、中国は本日、トラの骨と犀角の取引に対する25年間の禁止措置を緩和するという、物議を醸した決定を自身で擁護した。
10月29日、中国の内閣に相当する中国国務院は突然、「特別な状況」の下でサイとトラの製品の販売を許可すると発表した。
特別な状況には、科学的研究、文化財の販売や「医学研究または治療」が含まれる。
Lu Kang外務省報道官は10月30日に、犀角とトラの骨の製品に対する中国の以前の規制では、科学研究、教育、医療などでの『現実に即した合理的な必要性』が考慮されていなかった、と述べた。
中国はまた、『法執行のメカニズム』を改良し、野生生物の違法取引を一層厳重に取り締まる予定だと、Lu氏は定例記者会見で語った。
野生生物の保全活動を推進する団体であるエレファント・アクション・リーグが昨年実施した調査によると、中国は1993年に犀角とトラの骨の取引を禁止したが、闇市場が横行し、ベトナム経由で多くの製品が国内に持ち込まれているという。
野生生物の保護活動家らは、新しい規制によって違法取引に拍車が掛かり、一層動物を密猟の危機に晒すことになるのではないかと危惧している。
「この発表をもって、中国政府は、すでに生存に対する無数の脅威に直面し、危険に晒されている野生のサイとトラの死亡証明書に著名したのです」と、ヒューマン・ソサイエティー・インターナショナルの野生生物プログラムの上級専門官であるIris Ho氏は声明の中で述べている。
しかし中国国務院は、認められている使途以外の販売は引き続き禁止し、取引量は「厳格に規制される」だろうと述べた。
新たに認められる取引分野も厳しく規制されることになる。
国家中医薬管理局によって認められた病院の医師のみが、粉末状にした犀角とトラの骨の使用を許可されるだろう。
すべての「一時的な文化交流」に使用されるサイとトラの製品もまた、観光と文化遺産を担当する当局の認可を得なければらなくなるだろう。
ニュースソース:
https://phys.org/news/2018-10-china-defends-decision-ease-rhino.html
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