カメルーンのセンザンコウ乱獲 国際的な保護でも食い止められず
和訳協力:日高 穂香
2018年10月8日 MONGABAY記事より一部抜粋
センザンコウを貪欲な国際取引から守るため、2016年に画期的な決定が下されたが、中央アフリカに生息するセンザンコウについてはその効果が感じられていないことが、7月に発表された報告で分かった。
2016年、8種のセンザンコウをワシントン条約(CITES)の附属書IUCNに掲載することで国際取引を非合法化し、 センザンコウを保護するという決定が下された。
この決定は、IUCN(国際自然保護連合)のセンザンコウ専門家グループが「最も違法に取引されている野生の哺乳類」と考えている、このウロコに覆われたアリクイに似た動物にとって勝利であるように思われた。
センザンコウは、長年アフリカ中でブッシュミート・ハンターたちの格好の獲物となっているが、伝統薬に使われるウロコに対するアジアからの需要が急増し、アフリカのセンザンコウへの狩猟圧はさらに高まっている。
科学誌『コンサベーション・レターズ』で2017年に発表された論文によれば、アジアの在来種のハンターたちは、アジアのセンザンコウは全4種がIUCNによって絶滅危惧IA類または絶滅危惧IB類に指定されているが、その土地のセンザンコウの総数を激減させており、それにつれて、アフリカでの狩猟も1972年から少なくとも145%増加しているという。
同論文の著者の算出によると、ハンターたちは毎年42万~271万頭のセンザンコウを中央アフリカの森で捕っている。
IUCNはアフリカに生息する4種のセンザンコウを絶滅危惧II類に指定している。
他の中央アフリカの国々と同様に、カメルーンのブッシュミート・ハンターたちも、これまで長い間そうしてきたように、その肉を求めてセンザンコウを追っていると、Talla氏はMongabayへのメールの中で語った。
「センザンコウを消費することは、地元の文化の一部です」と同氏は言った。
「特にコミュニティがブッシュミートの代わりに牛肉のような他のタイプの肉を使うための経済的手段を持たない森林地域においては、センザンコウはほかの多くのブッシュミートと同様、一般的な肉なのです」。
しかし、アジアの需要を満たすためのウロコを求める動きによって、センザンコウ猟の経済的な意味は変わった、とTalla氏は言った。
「このため、センザンコウは非常に利益の出る動物になりました。何も失うものがないからです」と同氏は語った。
「肉は消費されるか売られ、ウロコは間違いなく売られます」。
コンサベーション・レターズの論文の著者の報告によれば、2014年時点でのこの地域におけるセンザンコウの価格は、最大で1972年のほぼ6倍だという。
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