中国人消費者の熱狂的な欲望がローズウッドを絶滅に追いやる
和訳協力:木田 直子
国際規制は強化されているが、密輸業者にこの熱帯広葉樹の違法取引をやめさせるにはほとんど役立っていない
2018年9月17日 South China Morning Post記事より一部抜粋
中国で台頭しつつある中流階級の購買力は小売業者にとっては夢の材料だが、自然保護活動家にとってはますます悪夢の様相を呈している。
中国本土やアジア各地の裕福な中国人の金遣いの荒さは、映画『クレイジー・リッチ!』(原題:Crazy Rich Asians)の大ヒットにより世界の注目を集めるところとなった。
続編の一部は上海が舞台になると予想されているこの映画の中で、登場人物たちは高級車や不動産、宝石を買いあさり、観客を驚嘆させた。
もっともっとと高価な商品を求める中国人の物欲は、ある問題に対する世間の注意を引き始めているが、こちらはロマンチックコメディーのような具合にはいかないだろう。
世界で最も密輸されている自然界の産物であり、絶滅の危機に瀕しているローズウッド材の大規模な違法取引のことである。
中国の近年裕福になった人々の趣味嗜好がこの貴重な熱帯広葉樹の木材の需要を高めているのは、明朝や清朝時代の家具のレプリカにこの木材が珍重されているからだ。
中国語では紅木(Hongmu)と呼ばれるローズウッドは香りがよく、材はさまざまな色合いを持ち、東南アジアから西アフリカ、南米にかけての熱帯地方を原産とする。
クリスティーズが発行したコレクターズガイドによれば、ローズウッド製家具の価値は「美しく光沢のある材質」と、「ほとんどは中国以外の国で見つかり、伐採が難しい」ことによる希少性により評価されているという。
今日、新しく製作されたローズウッドの家具は、製材の品質、職人の熟練の技、懐古趣味を感じさせる文化的な価値と、投資のためのコレクションなどにより高く評価される。
ローズウッド類の成長は遅く、寿命は数百年に及ぶ。
需要の高まりにより、ローズウッドの多くの種がすでに商業的にはほぼ絶滅の状態になっている。
家具のメーカーはローズウッドの仲間である東南アジアのケランジィを使うようになったが、この木も供給が落ち込んでいる。
そのため材木商は近縁種を求めてさらに遠く、西アフリカまで足を延ばしており、次は南米が狙われるのではないかと懸念されている。
森林犯罪を追及する世界的な非営利団体である環境調査エージェンシー(EIA)によれば、現在中国市場に出回っているローズウッド材の40~50%は西アフリカ原産のものであるとのことだ。
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