日本が「科学」のために絶滅の危機に瀕したクジラを殺し、肉を販売。これは取締規定違反だ。
和訳協力:大森 康子
ワシントン条約の決定で、日本のイワシクジラ漁に終止符が打たれる可能性がある。
2018年10月3日 The Washinton Postニュースより一部抜粋
絶滅のおそれのある種の取引を取り締まる国際機関から、北太平洋におけるイワシクジラの「科学的」な捕鯨が実質的に違法であると宣告されてから、日本の捕鯨活動は大き後退した。
10月2日に、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の常設委員会は、日本が数千tもの絶滅の危機に瀕したイワシクジラの肉を市販することにより、条約の規制に違反していると評決した。
イワシクジラは、地球上に生息する動物としては9番目に大きく、通常、体長約14~18m、体重20tに成長する。
また、毎時55km以上の速度で泳ぐ能力を備え、最も速く泳げるクジラの1種とされる。世界中ほぼすべての海域で見られるが、19~20世紀にかけてほぼ絶滅状態になるまで捕獲された。
日本は建前上、科学的調査であるという名目で、16年間に1,500頭を超えるイワシクジラを殺した。
1982年に国際捕鯨委員会が世界で商業的捕鯨を一時禁止することで合意していたにも関わらず、そのうえ日本は国内で公然と鯨肉を販売し、その収益をさらなる研究の資金に充てるという。
しかし、ワシントン条約の常設委員会は、日本が公海から鯨肉を取ることによりワシントン条約に違反しており、実質的に国境を越えた違法取引を行っていたと、圧倒的多数で裁定した。
「これは重要な決定です。なぜなら、通常の捕鯨に関する政治的駆け引きではなく法規に関することだからです」と、米国オレゴン州ポートランドにあるルイス&クラーク大学法科大学院の国際環境法プロジェクトの教授を務めるErica Jayne Lyman氏は述べた。
日本は2019年2月1日までに条約違反に対する是正措置をワシントン条約に報告する必要がある。
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« 人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か? | トップページ | セネガル、スリランカ、メキシコが見過ごされてきたサメのために立ち上がる »
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「17 海洋生物」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- ウミガメと陸ガメの受難(2021.08.10)
- 国際的規制当局の世界最大のマグロの売り尽くし方(2021.07.20)
「05 クジラ・イルカ」カテゴリの記事
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- ワシントン条約第70回常設委員会 議事要旨(2019.02.26)
- 日本が「科学」のために絶滅の危機に瀕したクジラを殺し、肉を販売。これは取締規定違反だ。(2018.12.20)
- 商業捕鯨を再開しようとする日本の努力が激しい論争の引き金に(2018.10.30)
- 日本、年次南極海調査捕鯨で120頭を超える妊娠クジラを捕殺(2018.09.06)
「12 哺乳類」カテゴリの記事
- Covid-19によりコウモリと疾病論争が再燃(2022.03.22)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「36 野生生物の利用と取引」カテゴリの記事
- ブラジルの先住民グループが違法伐採をめぐる数十年の争いに勝利(2022.04.19)
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- 空輸による動物密輸と人獣共通感染症拡散の防止(2022.01.11)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「29 海洋」カテゴリの記事
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- 海鳥の保護が気候変動からサンゴ礁を守る助けとなる可能性(2021.01.19)
- 科学者らが2030年までに世界の3分の1の海洋を保護する手法を立案(2020.11.10)
- 禁漁海域、漁業者(および魚)に予想以上の効果(2020.02.04)
「30 ワシントン条約 CITES」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- 絶滅寸前のヨーロッパウナギが香港のスーパーマーケットに流通(2021.10.26)
- クマに注目―パンデミックでインドネシアのマレーグマの違法取引が悪化する可能性(2021.08.24)
- トッケイヤモリがCITESの保護下に:それが本当に意味することとは(2020.12.01)
- 最新の調査により、ウミガメの違法取引がインドネシア、マレーシアおよびベトナムで長年横行していることが判明(2020.08.18)
この記事へのコメントは終了しました。
« 人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か? | トップページ | セネガル、スリランカ、メキシコが見過ごされてきたサメのために立ち上がる »
コメント