EU内でのウナギの違法取引は「最大の野生生物犯罪」
和訳協力:矢内 一恵
2018年11月20日 AFP通信記事より一部抜粋
自然保護活動家らの警告がますます増えているにもかかわらず、合法・非合法を問わず、いまだに毎年何百tものウナギが漁獲されている。
EU諸国の中ではほかのどの国よりも多く漁獲しているフランスでは、この問題は政治的な様相を帯びてきている。
ウナギ類の保全のための活動を行う持続可能なウナギグループ(SEG)のAndrew Kerr議長は、AFP通信に次のように語った。
「生息地を失ったこと、また我々がヨーロッパ内でのウナギの回遊経路に対して行ってきた行為によって、ウナギの資源量は30年前と比較するとおよそ10%しか残っていないのです」。
ウナギ資源が激減したことで、政府や法執行機関は何らかの対策を取り始めている。
ウナギは現在、絶滅危惧種の取引に関する国際条約であるワシントン条約(CITES)の附属書に掲載されており、その結果、厳格な国ごとの漁獲枠が設定されているのだ。
フランス生物多様性庁の漁獲制限に関する責任者であるMichel Vignaud氏によると、問題は、美味しいうえに精力がつくとも考えられているウナギ商品の需要がアジアにおいて爆発的に高まっていることであるという。
国連食糧農業機関(FAO)は、2016年には、中国のウナギ消費量が約25万t近くに達していると述べた。
この量は、ウナギを食べることが幸運と繁殖をもたらすと考えられている日本と、そしてEUとを比較しても突出している。
ヨーロッパの法執行機関であるEUROPOL(欧州刑事警察機構)の見積もりでは、体が透明なことからglass eel(シラスウナギ)と呼ばれるウナギの幼魚が、毎年100tも海外に密輸されているという。
これはウナギのおよそ3億5千万匹に相当する量である。
「シラスウナギの違法取引には環境犯罪、密輸、文書偽造、脱税、マネーロンダリングが絡んでいます」と、報道官はAFPに語った。
ニュースソース:
https://www.afp.com/en/news/826/eel-trafficking-eu-worlds-biggest-wildlife-crime-doc-1aw5dy2
*2018年12月25日時点で記事の原文のサイトへのリンクが切れています。ご了承ください。
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