米Trump大統領の諮問委員会、トロフィーハンティングを野生生物保護へすり替えか
和訳協力:立田 智恵子
2018年7月17日 The Guardianニュースより一部抜粋
米国のドナルド・トランプ大統領は、自分の息子がゾウやヒョウの狩りをしているにも関わらず、大型動物のトロフィーハンティングを「ホラーショー」だと称し、2017年にトロフィーハンティングにかかわる政策を舵取りする諮問委員会を設立した。
だがその諮問委員会は、野生生物保全にかかわる科学者や野生生物の擁護者ではなく、ゾウやキリンをはじめとする、多くの人を魅了する絶滅の危機にある種の狩猟を擁護する人々で構成されている。
またこの件に関心を寄せる人々は、トランプ大統領就任後、法廷での判決や行政の意思決定によって、アフリカで殺されたライオンやゾウ、その他の動物たちの体の部位の、ハンターらによる輸入が実際に容易になった、と話している。
トランプ大統領が設立した、国際野生生物保全協議会(IWCC)と呼ばれる諮問委員会のメンバーらは、裕福なハンターたちが何万ドルも支払って絶滅の危機にある大型動物を撃つこのスポーツが、海外における野生生物保護活動の称賛すべき方法だと主張している。
「この諮問委員会は、狩猟を野生生物保全のためのより良いツールにすることに注力するでしょう」と、IWCCのメンバーで国際的なハンティングの非営利団体Conservation Forceの創設者であるJohn Jackson Ⅲ氏は言う。
同諮問委員会のメンバー16名のうち、トロフィーハンティングの擁護者として活動していないは2名だけで、残りのメンバーはサファリ・クラブ・インターナショナルや全米ライフル協会などのグループに所属している。
それらのグループでは、このスポーツを制限すべきか否かを議論するのではなく、いかに自らの活動範囲を広げるかに力を入れているのだ。
「自分が野生生物の保護主義者だと考えている人は、野生生物をトロフィーハティングで保全しようなどとは考えません」と、自然保護NGOである生物多様性センターの国際法に関する部門の代表を務めるTanya Sanerib氏は言う。
「これはエリート層の、金持ちがやる活動なのです」。
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