保護の費用が高すぎる?
絶滅危惧種を保護する最良の方法が時には見放すことである理由
和訳協力:福田 志保
2018年9月14日 The Globe and Mailニュースより一部抜粋
カナダでの絶滅危惧種の保護活動がまったくうまくいっていないことは隠すまでもない。
現在、連邦絶滅危惧種法により指定されている700種以上の植物および動物のうち、ほとんどが驚くべき速さで減少している。
WWFカナダによると、2002年に法律が施行されて以来、これらの種は平均28%減少している。
つまり、連邦政府の保護リストに掲載されることは、保全対策の対象となるというよりも、終末病棟に送られるを意味するものなのである。
本法は首都オタワに掲載された種を保護するよう義務付けているが、保護の方策に関する最優良事例を提供しているわけでもなく、矛盾する多くの要望に直面した際に保全者がどうすべきか助言も与えていない。
非常に多くの種が危機にさらされ、資金も限られる中、今日までのカナダの保全対策は、科学同等、直感や偶然に導かれた措置の寄せ集めのように見える。
学術誌『Conservation Letters』に新しく掲載されたMartin博士の研究では、絶滅の恐れのある多くの動物が生息する、サスカチェワン州の一地方である「SoD」、あるいはSouth of the Divideと呼ばれる地域注)の15種に焦点が当てられている。
Martin博士の方法は、特定の生態系においある種群を保護するには、どう資金を配分するのが最善かという問題を検討するものである。
博士は最善の結果を決定するため、実施可能な活動がもたらす利点と、その活動の実行可能性とを掛け合わせる。
その数を費用で割れば活動の費用対効果値が求められる。
Martin博士にとって、この方法は、これまで種の回復を妨げていた罠から抜け出す明るい道を示してくれるものである。
「私たちはしばしば、最も回復の見込みが低い種に対して、最も費用を投資してしまっています」と彼女は言う。
「そのため資金が不足して、その他の種は無視されているのです」。
注:South of the Divideは分水嶺の南側を意味し、サスカチュワン州の南西部の一部地域のことをいう。
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« 商業捕鯨を再開しようとする日本の努力が激しい論争の引き金に | トップページ | UAEで将来的にエコツーリズムが増加するとされる理由 »
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
この記事へのコメントは終了しました。
« 商業捕鯨を再開しようとする日本の努力が激しい論争の引き金に | トップページ | UAEで将来的にエコツーリズムが増加するとされる理由 »
コメント