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2018年11月27日 (火)

フィジー共和国で、森林保護がサンゴ礁の保全にどのように役立つかを科学者らが調査

和訳協力:伊川 次郎、校正協力:鈴木 洋子

WCSとハワイ大学の科学者らが新モデルを使い、どこで森林保護の取り組みを行えば人間の影響を沖合で最小にするかを特定する。

2018年8月28日 WCS News Releases

ハワイ大学マノア校、WCS(Wildlife Conservation Society:野生生物保護協会)およびその他のグループに所属する研究者らは、フィジーにおける森林保護が、サンゴ礁とその周辺に生息する魚類個体群への人間活動の影響を、どのように最小限に抑えるかを突き止めつつある。

特に、Scientic Reports誌に新しく公表された研究の著者らは、サンゴ群集および関連するサンゴ礁に生息する魚類個体群への害を緩和するという見地から、陸域での保護活動が下流のサンゴ礁に対して最も恩恵をもたらすと思われる具体的な場所を明らかにするために、革新的なモデリングツールを利用した。

『Scenario Planning with Linked Land-Sea Models Inform Where Forest Conservation Actions Will Promote Coral Reef Resilience』という表題の研究論文の著者は、以下の通りである。
Jade M. S. Delevaux、Stacy D. Jupiter、Kostantinos A. Stamoulis、Leah L. Bremer、Amelia S.Wenger、Rachel Dacks、Peter Garrod、Kim A. Falinski、Tamara Ticktin。

研究者らはフィジーのクブラウ地域に焦点を絞った。
そこでは、先住の土地所有者たちがすでに対策を講じつつあり、尾根からサンゴ礁(ridge-to-reef)に至る管理計画に従ってその資源を管理している。

陸上の人間活動の影響は、海洋の生態系に対して、しばしば雪だるま式に影響を及ぼしている。
そして、フィジーへの人間活動の影響は、地球の全サンゴ礁海域の25%以上に脅威をもたらしている。
商業的農業、木材の切り出し、採鉱、沿岸域開発の拡大は、沈殿する土砂の増加や栄養分の流出を通じて、サンゴ礁やそれに関連する漁業に有害となり得る。
その結果生じるサンゴ礁の崩壊によって、世界中で食糧の安全保障、人類の健康、および熱帯の島の地域社会での文化的活動が直接的な影響を受ける。

管理と保全の取り組みの影響が最大となる地点を特定するために、研究者たちは、現状の土地利用とサンゴ礁の状態や魚類のバイオマスを統合する微細スケールの陸と海の連結モデルを組み立てた。
そこでチームは、主要な流域において、保全活動が下流のサンゴ礁生態系にもっとも利益をもたらすと思われる地域を正確に特定するために、将来的な土地利用と気候変動の様々なシナリオをシミュレーションした。
どのシミュレーションされたシナリオにおいても、原生林が保護された場合かあるいは原生林が復元された場合に、サンゴ礁への影響が最小化された。

「この研究の成果は、クブラウ地域において、管理活動を地理的に集中させるべき地点の情報をもたらすもので、クブラウ地域の村長たちや資源管理委員会が利用することができます」とWCSのFiji Country Program(フィジー国家プログラム)の責任者であるSangeeta Mangubhai博士は述べた。

この手法はまた、クブラウに限らず広く応用可能である。
というのは、特に多数の先住民の暮らしている島の地域社会が、慣習的に行っていた尾根からサンゴ礁に至る管理システムを復興させるためにするために動き出しつつあり、行政機関が陸‐海統合計画アプローチの利用に一層興味を示すようになってきているからである。

この研究の筆頭著者であるハワイ大学のJade Delevaux博士は、次のように述べている。
「この新しいツールは二つのフリーソフトによるもので、データを無料開示している地理情報システム(GIS)で使用することができます。リモートセンシングや水深測量等のデータのうち、このツールに使えるような自由に利用できるデータがもっと増えれば、このモデルは世界中のデータが極少ない地域でさえ、陸と海の連続する地域をより良く管理するのに役立ちます」。

このモデルはこのように、尾根からサンゴ礁に至る地域の管理のために根拠に基づく意思決定の基盤を提供するものである。
また、陸上の保全活動を目的をもって行い、陸域からの流入による影響を最小限にすることで、サンゴ礁の回復力を高めることができる、という確信を与えるものでもある。

WCSのMelanesia Regional Program((仮)メラネシア地域プログラム)の代表であるStacy Jupiter博士はこう付け加える。
「研究結果は希望を与えてくれます。なぜなら、研究結果が証明するところでは、地球規模の変化に対するサンゴ礁の回復力が、地域の活動を通して促進され得るからです。それによって、地域の人々はその資源のより良い管理人となる権限が与えられるのです」。

この研究は、National Science Foundation(アメリカ国立科学財団)からハワイ大学への助成金を受けて行われた。

ニュースソース:
https://newsroom.wcs.org/News-Releases/articleType/ArticleView/articleId/11569/Scientists-in-Fiji-Examine-How-Forest-Conservation-Helps-Coral-Reefs.aspx

 

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