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2018年10月13日 (土)

3.8 ニホンウナギ(ワシントン条約第30回動物委員会 議題18.1 付録2より一部抜粋)

和訳協力:蛯名 郁矢、校正協力:鈴木 洋子

分布:
二ホンウナギ(学名:Anguilla japonica)は、主に日本や中国、香港、台湾、韓国における在来種として生息することが知られている。フィリピンのルソン島北部やミンダナオ島における記録も存在する(青山他, 2015; 白鳥他, 2016)。しかしながら、日本などの生息域では、漁業組合により広範囲に再放流が行われるため、二ホンウナギの本来の生息域を特定することは難しい。二ホンウナギの卵や卵から生まれたばかりの仔魚(プレレプトセファルス)、および産卵後の成魚が、西マリアナ海溝の西側(北緯13-17°, 東経142-143°)に沿って流れ、マリアナ諸島の西に至る北赤道海流で採集されている(塚本 2006, 2009; 黒木ほか, 2011; 塚本他, 2011)。こうしたことから、マリアナ諸島の西側のこの海域が、二ホンウナギの産卵場であることが示唆される。

生態:
二ホンウナギは、一度も淡水域には入らずに、河口や近海の生息地に留まる場合もある(塚本他, 1998)。成魚の耳石内に含まれるストロンチウムとカルシウムの比率を分析すると、これらの環境間の移動の特徴が明らかになり、一部の地域ではウナギが河口や海洋に生息する場合もあり得ることがわかる(小竹他, 2005)。こうしたことは、一部の二ホンウナギが大陸移動において幾分か柔軟性があることを示唆するものであり、そしてそれは、多様な生息地や塩分濃度への適応力を有することを示しており、また、淡水域への移動が必ずしも行われるわけではないことを意味している。横内ら(2014)は、日本で12河川の水系において調査を行い、雌雄の割合や体長、成長率、年齢構成などについて、個体群菅で顕著な不均一性があることを見出した。成長速度は、汽水域と海域においては雌雄どちらも河川水域におけるよりも大きかったが、一方で河川水域では雄の成長速度が雌の成長速度よりも大きかった(横内他, 2014)。したがって、回復力をもった個体群の多様性を維持するために、複数の河川水系にわたって多様な生息域を保全することが必要である。
多くのウナギの種と同様に、二ホンウナギの世代時間は、雌雄の別や個体差、地域や緯度によって大きく異なってくる。例えば、小竹他(2007)では、3つの異なった緯度で採取した二ホンウナギを研究した結果、雄の成熟齢は4~10年の範囲であり、雌の成熟齢は3~17年の範囲であることが明らかにされた。それらの成長期間に二ホンウナギは、底生生活を送る甲殻類や昆虫の幼虫などの無脊椎動物や、小魚などを餌とすることが多い(海部他, 2013)。
一般にウナギ類の生活史において海洋での暮らしぶりはほとんど知られていないが、二ホンウナギの産卵生態については例外的によく研究されている(木村・塚本, 2006; 塚本, 2009; 塚本他, 2011)。二ホンウナギにポップアップタグをつけた調査では、大部分はマリアナ海溝の海山列西側に沿った場所に移動することが示された(塚本, 1992, 2006, 2009; 塚本他, 2003)。成魚および孵化直後の幼生が捕獲された深さからすると、産卵は深海部ではなく水深150~200mという比較的浅い層で行われていると考えられる(塚本他, 2011)。二ホンウナギの仔魚レプトセファルス幼生は海流に乗り、5~6カ月かけて河口の採集域に向けて漂っていき(黒木ほか, 2009; 篠田他, 2011)、その後透明なシラスウナギになり、河口域にて有色のクロコへと姿を変える。シラスウナギがその後どの時期に上流域への移動を始めるかは、水温や潮流、月相によって異なる(Tzeng 1985)。ウナギが産卵するために移動を開始する時期は、環境変数だけでなく、体の大きさや年齢、体内の脂質含量などが十分であるかといった諸要因によって影響を受ける(茅野他, 2017; 須藤他, 2017)。

脅威:
CITESの通達018/2018を受けて、日本、中国、フィリピンの各国は、移動阻害、気候変動、生息地の消失や改変、持続不可能なあるいは違法な捕獲および/または取引などといった、生息域における脅威となる要因を特定した。さらに、これらの要因の組み合わせが原因となる可能性もある。二ホンウナギの減少に係る諸要因が不確かであるために、その個体群動態や生態の包括的な理解が急務となっている(横内他, 2014)。
成育に適した生息地のうち、平均して76.8%が、1970年代から2010年代にかけて、日本、韓国、台湾、中国の16河川で失われた(Chen et al., 2014)。実際、日本の環境省は、2014年から2015年に日本の5河川における135の採集地点から得られたデータに基づいて、日本の河川に生息している二ホンウナギの個体密度に影響を与える主要因は、成育に適した生息場所の利用を難しくしている堰やダムのような遡上を妨げる障害物であると結論付けた(環境省, 2016)。もう一つの特定された脅威となる要因は、農業開発や都市開発、そして27もの産業開発による河川の生息地の消失であった。こうした開発により、日本では洪水管理の目的で河川や湖沼の汀線で広範囲にわたり護岸が築かれる結果となった(吉村他, 2005, 板倉他, 2015a)。板倉ら(2015b)の研究では、日本の利根川において、河川堤防の改修により黄ウナギ段階の二ホンウナギに生じうる影響について調査を行い、護岸がなされた場所よりも手つかずの岸の方が、個体数が多く肥満度が高いだけでなく、養殖ウナギの数や餌の消費量、消費される餌の多様性についても、概してより高い数値を示したと報告された。
二ホンウナギは、消費目的での漁獲、放流および養殖に関して、全ウナギ種のうち最も古い歴史を持つ種の1つである。国家規模および国際的な規模で、養殖施設への放流目的で二ホンウナギのシラスウナギを捕獲することは、個体数を減少させる主要因となっているだろうと言われている。CITESの通達018/2018を受けて日本から提出されたデータでは、シラスウナギの漁獲量は1960年代初めから徐々に減少しており、1990年代初めには過去最低のレベルで横ばい状態に達していたことが示されている。2017年から2018年にかけての漁獲期における漁獲量は「歴史的な」少なさであった。この減少は、日本から提出されている「総漁獲量」にそのまま表れており、そしてそれは黄ウナギと銀ウナギの漁獲量に関係している。どの研究成果のデータも、なお、これらの漁獲量データには、漁獲努力量に関するデータが付随していなかったことは留意すべきである。さらに、脅威となる要因の範囲を考えると、漁獲量の減少を漁業だけに起因するとはいえない。
二ホンウナギは、トガリウキブクロセンチュウ(学名:Anguillicola crassus)という線虫の宿主であり、その線虫は、生存率や回遊行動に影響を与えるとされる浮袋に寄生している。しかしながら二ホンウナギは、後天的免疫と病理学的影響の顕著な減退の徴候がヨーロッパウナギよりも見られるように思われる(Knopf, 2006)。これはニホンウナギがこの寄生虫に歴史的により長期に寄生されてきたことが理由である可能性がある(Munderle et al., 2006)。菅らの研究では、感染が著しいウナギで検知し得る損傷を見出さなかったが、別の線虫であるウナギイセンチュウ(学名:Heliconema anguillae)の二ホンウナギへの感染の影響を調べる研究が必要である(菅他, 2016)。都市開発や農業開発は、工業廃水や農業排水、除草剤、殺虫剤などによる汚染量を増加させており、そのいずれもが排水を通じてウナギに負の影響を与えることが知られており、生殖成功の減少、直接的な死などを引き起こす(例 Tzeng et al., 2006)。新井(2014b)は、二ホンウナギの毒性物質の濃度を調査した。黄ウナギ(未成熟魚)よりも銀ウナギ(成魚)の方が毒性物質の濃度が圧倒的に高かった。これは、脂質成分が黄ウナギ(未成熟魚)よりも銀ウナギ(成魚)の方が高いことと一致した。

利用:
二ホンウナギは、歴史的に見て主に日本や中国本土、台湾、韓国において、生息域全体にわたる水域で捕獲されており、1900年代初頭以降、大型のウナギはそのまま食用にするため、小型のウナギは養殖用にするために捕獲された(Ringuet et al., 2002)。世界的にも、これらの国々がウナギの養殖や取引、消費を行っている主要な国や地域であるが、とりわけ日本は二ホンウナギの消費に長い伝統を有する。しかしながら、1990年代の二ホンウナギの入手量の減少により、これらの地域の多くの養殖業者がヨーロッパウナギの放流を行ったり、より最近では他の種のウナギの放流を行ったりしている(Crook, 2010; Crook・中村, 2013)。それでも依然として、二ホンウナギは東アジアでの養殖や日本での消費に選好される種となっており、この減少しつつある資源に対する高い需要により、とりわけ二ホンウナギの価格が高騰している。

資源の状況:
2013年に二ホンウナギは、日本の環境省により国家レベルで、また国際的には絶滅危惧種に関するIUCNレッドリストにおいて「絶滅危惧IB類」に指定された。台湾では、近頃二ホンウナギが「絶滅危惧IA類」に指定された。
CITESの通達018/2018に対して、日本は二ホンウナギの資源水準は下降していると報告した。
上述のように、日本では野生のシラスウナギ、黄ウナギ、銀ウナギの漁獲量は1960年代以降着実に減少しており、直近ではシラスウナギの漁獲量がとりわけ懸念されている。複数の河川水系でみれば不均一性が大きいのにも関わらず、日本における二ホンウナギの資源量の現況は、それぞれの水系に対する漁獲量ではなく、通例日本における総漁獲量として報告されてきた(横内他, 2014)。横内ら(2014)は、1999年から2004年の間に研究対象とした9県にわたる12の河川水系すべてにおいて、漁獲量が減少したことを確認した。ウナギの個体数変動の程度や減少の理由は、ウナギの個体群動態にかかわる変数と同様に、それぞれの河川水系ごとに異なった。東アジアを調査対象とした田中(2014)による資源評価では、ほとんどの湖沼における漁獲努力量は(漁業統計調査データに基づけば)減少しており、ウナギの漁獲目標単位は、1968年の551単位から2008年の91単位へと減少した。田中(2014)は、推定資源量は1990年以降回復し、2010年には環境収容量の24%(18,700t)となったことを示唆している。同研究の報告において著者らは、二ホンウナギの資源量評価で最も難しい点は、複数の結論を意味する漁獲量の記録と資源量指数の両方の体系的なデータの不足であり、多くの補完情報や仮定がモデル構築において必要とされたと報告している。そうしたモデルでは、漁業組合による河川への放流の影響は考慮にはいれておらず、近年の研究では、放流が行われた日本の内水面では、放流されたウナギが優占種となっていることが示された(板倉他, 2018; 海部他, 2018)。全体的に、二ホンウナギの再生産や個体数および漁獲されなかった資源量は減少しつつあるようである(Jacoby and Gollock, 2014)。

管理:
中国は、CITESの通達018/2018を受けて、シラスウナギの漁には省政府が発効する種ごとの許可証を必要とし、漁が可能なのは12月から3月までとすることを表明した。また、中国はウナギの養殖についても許可制を導入した。日本では、漁業法(1949年制定)の関連規則に準じて、シラスウナギ漁には県が発効する許可証が必要であり、漁期は通常12月から翌年4月までに限定されている(CITES通達018/2018に対する日本の反応)。また、漁業法(1949年制定)の関連規則に準じて、主要な都道府県では特定の漁具を用いてのウナギ漁は県が発効する許可証が必要であり、ウナギの成魚が河川から海洋へと産卵のため移動する10月から翌年3月まではこうした漁は禁止されている。2015年6月に、内水面漁業の振興に関する法律の下、ウナギの養殖に許可制が導入された。どれだけのシラスウナギを養殖に用いるかはウナギの種別に制限されており、この法の下に個々の養殖業者に割り当てられる。日本における漁業法では、河川や湖沼でのウナギ漁を行う内水面漁業共同組合にウナギの個体数を増加させるように要求しており、この義務を果たすために漁業共同組合は一般的にウナギの放流を行っている(海部他, 2014)。日本におけるウナギ放流の基本的な方法は、小型の黄ウナギをウナギの養殖場から河川や湖沼に放すことであり(海部他, 2014)、近年の研究では、この取り組みが行われている日本の内水面では、放流されたウナギが優占していることが示されている。このことに加え、中国、日本、韓国および台湾は、共同声明において二ホンウナギおよびその他のウナギ種の管理に関して協力することに自主的に同意している(Section 2.1参照)。台湾では、2007年10月以来、大きさに関わらずウナギ稚魚の輸出を11月から3月まで禁止している。韓国では、ウナギ漁は10月1日から3月31日まで禁止されており、体長15~45cmのウナギの捕獲は禁止されている。フィリピンでは、すべてのウナギ種の取引に関して適用される法律が制定されている(「ビカーラウナギ(学名:A. bicolor)」の項を参照)。

ニュースソース:
https://cites.org/sites/default/files/eng/com/ac/30/E-AC30-18-01-A2.pdf

注:この文章は2018年6月28日に上記サイトに掲載されていた文書を訳したものです。この文書はワシントン条約第30回動物委員会の議題18.1の付録の一部です。

 

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