レンジャーがカンボジアの一つの公園内だけで約11万個ものくくり罠を発見
和訳協力:坂本 義教
2018年5月22日 The Gardianニュースより一部抜粋
小型オートバイ用の単なるブレーキケーブルが、東南アジアではトラやクマ、果ては若いゾウさえ殺すことがあるのだ。
地元のハンターは、こうしたどこにでもあるワイヤーを使い、森の無差別爆弾ともいえるくくり罠を作る。
その上、このくくり罠は東南アジアで最もカリスマ的な種だけでなく、あまり知られていない多くの動物の手足を不自由にし、殺してしまう。
科学雑誌『Biodiversity and Conservation』に掲載された新しい論文では、このくくり罠の増加の規模に注目している。
カンボジアの南カルダモン国立公園では、レンジャーがワイルドライフ・アライアンスと共同で、わずか過去6年で109,217個ものくくり罠を除去したのである。
「ベトナムには、リスより大きな哺乳類がまったく残っていない森林もあります」と、論文の筆頭著者でワイルドライフ・アライアンスのサイエンス・ディレクターを務めるThomas Gray氏は語った。
「これらの森林が潜在的にどれだけ多様性に富んだものであったかを考慮すると、生態系サービスや森林としての生物学的多様性全体に、このことが実質的な影響を与えていることは間違いないのです」。
Gray氏によれば、くくり罠による危機が最もひどいのはベトナムやラオスだが、Gray氏が勤務しているカンボジアでも、ミャンマーやインドネシア、タイなどとともに、この危機の度合いが増しているという。
一部の場所では、保護地域においてさえ状況が非常に悪いため、科学者は「empty forests(空っぽの森)」について語る。
空っぽの森とは、ハンターたちが中型から大型のすべての動物の生態系を文字通り奪ってしまったのだ。
「ベトナムやラオスでは、くくり罠を仕掛けてある場所に動物が集まるように、動物の流れを誘導するフェンスが設置されているのです」と、Gray氏は加えた。
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