ボルネオゾウの将来のために極めて重要な保護地域管理の優先性
和訳協力:羽賀 秋彦、校正協力:西田 実幸
2018年3月 Biological Conservation掲載論文要約部分抜粋
熱帯の保護地域管理に関する戦略は長年、炭素貯蔵量が大きい原生林に偏ってきた。
この偏りのため、著しく伐採された地域などは結果として質が低いものとみなされ、土地改変される場所とされてきた。
我々は、マレーシアのサバ州において、手つかずの森から著しく伐採された森までの、ボルネオゾウにとっての重要性を評価した。
GPS遠隔測定法にて収集した29個体の分布データおよび空からの森林の3次元マッピングをもとに、サバ州全体でのゾウの分布のモデリングを行い、現在までで最も大規模なボルネオゾウの森林利用の分析結果を公開した。
樹高13m級の森林で、特に平坦で低地にあるものが、ゾウが最も好んで利用する環境であることが分かった。
この樹高の森林は荒廃林の分布と一致しており、しばしばパーム油のプランテーションに適しているとみなされる。
サバ州で完全に保護されている原生林のうち、ゾウの生息に適した樹高の森林は1/4以下であり、一方で人の手が入った商用林は非常に適していることがわかった。
ゾウの生存のための荒廃林の重要性が現在は低く見積もられており、そのためにこうような生息地の保全の必要性が優先事項と見なされていないことを指摘する。
これらの土地が大規模農業のため失われることは、ボルネオの生物種の長きにわたる生存に有害であることが明らかになった。
ニュースソース:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006320717318141
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