オーストラリアのCITES附属書掲載種に対する国内措置の強化について(締約国への通達 No.2018/025)
和訳協力:木村 敦子、校正協力:日高 穂香
2018年3月19日 ジュネーブ
1.この通達はオーストラリアの要請により発行されたものである。
2.オーストラリアは、自国がCITES附属書掲載種の標本取引に対する国内措置を強化することを、CITES締約国に告知するよう望む。
3.オーストラリアは係る国内措置強化の実行のため、CITES締約国の支援を求めるものである。CITES事務局はCITES締約国に、オーストラリアの厳格化された基準に抵触する形で輸入された附属書掲載種の標本の輸出に対しては、CITES許可書を発行しないよう、謹んで要請する。
CITES附属書I掲載種として取り扱う種:
4.オーストラリアのより厳格な国内措置においては、アフリカライオン(学名:Panthera leo)、アフリカゾウ(学名:Loxodonta Africana)、および全てのクジラとイルカ(クジラ亜目に属する種)を、CITES附属書I掲載種として取り扱う。オーストラリアの法の下では、附属書I掲載種の輸入と輸出は、標本が以下に当てはまる場合にのみ可能である。
-その種が最初にCITES附属書に記載される前に入手されたものである場合―以下、「条約規制前」標本、という(非生体のみ)。
-科学的な標本の非商業的取引の一環として、登録された組織間で取引される場合(非生体のみ)
-研究目的で取引される場合(生体および非生体)
-教育目的で取引される場合(生体および非生体)
-展示目的で取引される場合(非生体のみ)、または
-Cooperative Conservation Programの一環として取引される場合(生体のみ)
附属書I掲載種の個人所有物とハンティングトロフィー:
5.オーストラリアは、条約規制前の標本であることが証明され、適切な条約規制前取得であることの証明書が添付されている場合を除き、ハンティングトロフィーを含むCITES附属書I掲載種の個人輸入または輸出を許可しない。
個人所有物および家財の法令免除:
6.オーストラリアは附属書I掲載種の標本に関し、個人所有物および家財の法令免除を認めない。オーストラリアの個人所有物および家財の法令免除についての詳細は、以下のURLを参照のこと。
http://www.environment.gov.au/biodiversity/wildlife-trade/travellers-shoppers/personal-effects
サイの標本:
7.附属書II掲載種であるサイのハンティングトロフィーとしての輸入および再輸出は許可されない。オーストラリアが条約規制前標本である旨の証明書を発行するには、サイの角の標本が条約規制前のものであることを、放射性炭素年代測定法によって確実に証明しなければならない。
附属書IIに記載されている標本:
8.オーストラリアはCITES附属書II掲載種の取引に対して、個人所有物および家財の法令免除の適用範囲となる品目を除き、輸入許可証を求める。CITES事務局はCITES締約国に対し、商業目的でありかつ、または郵送によってオーストラリアへ物品を送る輸出者に対し、オーストラリアから輸入許可を得なければならないことへの注意を呼び掛けるよう、協力を願う。
9.オーストラリアの強化された国内措置についての更なる情報は、下記のURLを参照のこと。
http://www.environment.gov.au/biodiversity/wildlife-trade/cites/stricter-measures
10.本通達は、2015年3月19日付、No.2015/015の締約国への通達に代わるものである。
*CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称「ワシントン条約」)の略語
ニュースソース
https://www.cites.org/sites/default/files/notif/E-Notif-2018-025.pdf
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