西アフリカの最も重要な保護地域群における違法野生生物取引の根絶にCITESが協力
和訳協力:加藤 有起枝、校正協力:清水 桃子
2017年3月14日 CITES Press Releases
2017年3月7日、ベナン、ニジェール、ブルキナファソの3か国にまたがるW(ドゥブルヴェ)国立公園の中心部で、それぞれの国の野生生物管理機関の長が、非常に重要なこの野生生物の生育・生息域の法執行について、協力体制を強化することに合意し、署名した。
これは、CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の主要な取組のもと作られた活動を進めやすくするものだ。
その活動とは、法執行能力の創設、国境地域の統合管理の強化、そしてこの地域に生息する8,900頭のゾウを含む、西アフリカの野生生物にとって最も重要だと広く考えられている地域の保護を強化するためのものである。
合意のもと実施される活動は、W-Arly-Pendjari (WAP) Protected Area Complex((仮)W=パンジャリ=アルリ保護地域群)を構成する3カ国の内、5つの保護地域の上級管理職と地域監督官が昨年末に開いた会合で決定した。
この的を絞った活動は、2019年まで継続することが見込まれており、CITESのMinimizing the Illegal Killing of Elephants and other Endangered Species(MIKES:ゾウおよびその他の絶滅危惧種の密猟最小化)プログラムを通じてEuropean Union(EU:欧州連合)が資金提供し、IUCN(国際自然保護連合)のブルキナファソ地域事務所との協力で実施される。
MIKESはACP諸国(アフリカ・カリブ海・太平洋諸国)のプロジェクトであり、第10回EDF(欧州開発基金)を通してEC(欧州共同体)に支援されており、CITES事務局によって実施される。
WAPはMIKESプロジェクトの下で、野生生物への法執行能力を作り出すための支援が最も必要とされる”重要拠点”8ヵ所の内の1つに選ばれた。
この地域は、場所ごとに行われた、ゾウの保全やその他の重要なCITES附属書掲載種の共存、密猟やそのほかの脅威の度合いだけでなく、現在の法執行能力についての詳細な評価に基づいて最優先された。
それぞれの地域で特有の問題に対処する支援を行うため、それぞれの重要拠点において特化した活動が展開されてきた。
合意書への署名後、CITES事務局長のJohn E. Scanlonは次のように述べた。
「西アフリカの中でも、ゾウやその他の絶滅危惧種にとって非常に重要なこの地域を、最前線で支援できることを、CITESはとても喜ばしく思います。困難を伴うでしょうし、複雑な地域での活動になりますが、国際的な野生生物機関であるIUCNとの強固かつ不断の協力を通して、またEUの財政支援を得ることによって、この重要な野生生物の地域同様、アフリカにとどまらず場所が違っても、違法取引削減の促進において、我々は現場で非常に効果を挙げられると確信しています」。
活動は、W国立公園(ベナン、ブルキナファソ、ニジェール)、パンジャリ国立公園(ベナン)、アルリ国立公園(ブルキナファソ)のWAPを構成する5つの保護地域で実施される。
活動は、地域全体での巡視員の能力と遂行力の強化、保護地域内と保護地域間の連絡調整を含む法執行管理の改善、野生生物法執行に関する情報分野での貢献、そして地域と各局間の協力と野生生物法執行の実施の支援についての増強を図ることに焦点を当てる。
EUは、地域の投資ファンドの2つのプログラムを通して、欧州開発基金(EDF)とともに、2001年以来継続してWAPに投資した。
それは、2001年から2008年までのW国立公園におけるECOPAS((仮)太平洋諸国研究欧州協会)と、2011年から2016年までのWAPにおけるPAPE(Programme d’Appui aux Parcs de l’Entente:(仮)契約公園支援プログラム)である。
加えてMIKESを通じた支援もあった。
2016年9月と10月にヨハネスブルグで行われた第17回CITES締約国会議(COP17)で、CITES事務局は、中央および西アフリカ諸国において、野生生物犯罪に対する法執行支援に焦点を当てる活動を、協力者らと連携して実施するよう求められた。
決議17.97-17.100を参照
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