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2017年10月31日 (火)

イトマキエイを取り巻く変化

和訳協力:コスキー・福田 志保、校正協力:鈴木 康子

2017年3月30日  IUCN News

マンタ(オニイトマキエイ属のエイ類のこと)は世界中のスキューバダイバーが探し求める優雅で、海洋生物の象徴とも言える存在である。
マンタの近縁種であるイトマキエイ(イトマキエイ属のエイのこと)には9種がおり、マンタに比べて知名度が低いものの、専門家でない限りほとんどマンタと見分けがつかない。
観光客に人気のマンタは知名度があるため、保護への動きに高まりが見られる一方、イトマキエイが注目されることは少なく、個体数のさらなる減少リスクが高まっている。
ICUN(国際自然保護連合)のSpecies Survival Commission(種の保存委員会)、Shark Specialist Group(SSG:サメ類専門家グループ)のJulia M Lawson氏とNicholas K Dulvy氏はそう記している。

鰓板の国際取引がイトマキエイとマンタを脅威にさらしている。
濾過摂食を行うエイ類は、太陽に照らされる表層海水を軟骨性の鰓板繊維を使って"ふるいにかける"ことにより、プランクトンや小魚を濾しとって食べている。
鰓板は中国南部や世界中の中華街で需要が高く、最終的な売値が1kg当たり400ドル(約4万5千円、2017年4月30日付換算レート:1USドル=111.5円)に達することもある。
取引では2種類のマンタと3種類の大型のイトマキエイから取れる大きな鰓板が好まれるが、小型の種や稚魚の鰓板も市場に出回っている。

鰓板は「Peng Yu Si」という商品名で、免疫機能を強化し、血行を促進することで病を防ぐとされる滋養強壮剤の主材料として取引されているが、健康上の効能に根拠はない。
鰓板が伝統的漢方薬として使われるようになったのは比較的最近の1970年代で、過去10年にわたり使用量は増加している。

イトマキエイおよびマンタの鰓板の需要が、元々の漁師も新しく漁師になった人も、混獲も含めたこれらの種の捕獲に駆り立てている。
イトマキエイとマンタは熱帯や亜熱帯の浅い海の表層に生息しているため、さまざまな漁具にかかる危険性にさらされている。
これらの種類は体が大きく、妊娠期間が長く、繁殖率が低いため、極端な数を捕獲されなくても種の維持が難しく、絶滅の危機が高まっている。

IUCN-SSCのサメ類専門家グループにより招集されたイトマキエイとマンタの専門家グループが発表した「Global Devil and Manta Ray Conservation Strategy((仮)イトマキエイおよびマンタの世界的保全戦略)」には、保護団体、科学者、そして国が優先すべき事項の指針となる目標・目的・活動の概略が示されている。
これは、政策の不均衡性や漁業および貿易の管理に関する既存の問題を挙げるとともに、イトマキエイとマンタの両種の保全に一層力を入れるよう、コミュニティに呼びかける内容となっている。

保全戦略の展開において注意が必要なのは"カリスマ・ギャップ"、すなわち、イトマキエイがマンタほど一般的に知られていないという事実が、公平に保全を進めるための大きな障害となることである。
例えば、マンタ類は2種類とも2011年版IUCNレッドリストで絶滅危惧II類に指定された後、Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(CITES:ワシントン条約)の附属書IIに移された。
これにより、すべての条約加盟国は対象魚類が合法かつ持続可能な漁業により捕獲されたものであると示さなければならない。
一方、イトマキエイ類9種はIUCNレッドリストで純絶滅危惧種、絶滅危惧II類、または絶滅危惧IB類とされているが、2016年までCITESの附属書IIに移されていなかった。

国際貿易における規制は大切だが、その他にも明確な解決に向けた取り組みが必要であり、イトマキエイを考慮に入れた保全や規制のための取り組みが不可欠である。
例を挙げれば、マグロの巻き網に意図せずエイ類が捕獲されることが大きな問題となっている。
巻き網とは、引き紐を絞るように袋状の網を締めて魚群を捕獲する漁網である。
マグロはイトマキエイやマンタと共に泳いでいることがしばしばあり、漁師はエイ類の大群を見つけると、その周囲を網で囲んで絞り込み、エイの下に隠れているマグロを捕獲する。
網の端を海面に沈めることでイルカやジンベイザメを逃がすようにはなっているが、残念ながらエイ類は網の底に向かって潜ってしまうため、結果として船上に引き揚げられることとなる。

イトマキエイおよびマンタは非常に大きいため、持ち上げて海に戻すのが極めて難しい。
通常、鰓か胸びれに空けられた穴にかけられたフックで、ウインチに吊り上げられ、海に投げ戻される。
残念ながら、エイ類の生理学上、そうした乱暴な扱いを受けて生き延びられる可能性は非常に低い。
エイ類が生存し続けられるかは、漁師が適切な扱いをするかにかかっている。
現在では、Inter-American Topical Tuna Commission(IATTC:全米熱帯まぐろ類委員会)の2015年の決議を受け、東部熱帯太平洋におけるまぐろ漁業では、対象魚種以外を傷つけずにリリースすることが求められるようになった。
Poisson氏とその同僚らによって、まぐろ巻き網漁船向けに、大小のイトマキエイおよびマンタを効果的に扱い、リリースする方法に関するガイドラインが策定されている。

(仮)イトマキエイおよびマンタの世界的保全戦略の情報を得た、協力的な活動を継続することは、イトマキエイとマンタとのカリスマギャップが埋め、これらの温和で巨大がエイ類が次の世代を迎えられるよう大切に保護されることに役立つことだろう。

ニューソース
https://www.iucn.org/news/species/201703/turning-tide-devil-rays

 

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