ニュージーランドのペンギンが危機に
和訳協力:伊川 次郎、校正協力:榛木 久実
2017年4月10日 Forest & Bird
全世界で絶滅の恐れのあるペンギンの種の半分はニュージーランドに生息するが、それらを保護するのにふさわしい政府の計画はいまだ存在しない。
Forest & Bird注1)は、ペンギンを救う援助をするために世界的なキャンペーンに参加し、ニュージーランドで危機に瀕するペンギンを保護するための国家的な回復プランの策定を呼びかけている。
世界のペンギンは、18種のうち10種が絶滅の危機に立たされている。
これら絶滅の恐れがある種のうちの5種が、ニュージーランド本土やニュージーランド亜南極諸島に生息・繁殖する。
Forest & Birdの最高責任者であるKevin Hague氏は以下のように述べている。
「我々はニュージーランド政府に、自然保護局が管理運営する国家的なペンギン回復グループを設立するよう促しています。このグループは、大きな成功を収めたキーウィ回復グループに類似したもので、我が国のあらゆるペンギンの保護に対する、より協調的で協力的なアプローチを促進するものとなるでしょう」。
「我が国のペンギンは今や危機にあり、手をさしのべる必要があります。ニュージーランドには世界で危機にさらされているペンギンのうちの半分の種が生息しているのに、大部分には適切な回復プランが作られていません」。
「ニュージーランドには世界で二番目に珍しいペンギンであるキンメペンギン(マオリ語でhoiho)が生息しています。地球上にわずか1700組の繁殖つがいしか残されていないと考えられますが、特にここ2、3年は深刻な減少の危機にあります。トロール網や定置網、病気の蔓延やニュージーランドに移入された捕食動物などにより、キンメペンギンが殺されているのです」。
「フィヨルドランドペンギン(マオリ語でtawaki)は森林でくらす臆病なペンギンで、約3000組の繁殖つがいがいると推測されています。昨年の夏、ニュージーランド西海岸のジャクソン・ヘッド岬で、オコジョが150組の繁殖つがいのコロニーを完全に消滅させました。フィヨルドランドペンギンはまた、漁網や観光事業、気候変動を含む人為的影響によっても危機にさらされています」。
シュレーターペンギンも、ニュージーランドに生息する絶滅の危機にある種で、繁殖地として利用していた亜南極に位置するキャンベル島から最近姿を消した。
この種は現在ではただ2つの群島で繁殖するだけであり、ニュージーランドで最も研究がなされていないペンギンである。
かつてニュージーランドで最大であったキャンベル島のヒガシイワトビペンギンの個体数は1985年に至る45年間に94%も激減し、二度と回復しなかった。
Forest & Birdは、全世界に1000万人のメンバーを擁する他の120のBirdLifeの協力組織と共に、世界中のペンギンについて危機からの回復と生き残りに向けて行動し、対策を講じるように、各国政府に要請している。
Forest & Birdは他の地域で活動する団体らと共に、ハウラキ湾、ウエリントン、ティマルー、サウスオタゴ、サウスランドを含む、ニュージーランド全域のペンギンのコロニーの保護活動を援助をしている。
マスコミには地元の代表者が応対可能である。
注1:ニュージーランドの自然林や鳥類の保護に始まり、近年は野生生物と自然環境の保全活動を行う団体。
URL:http://www.forestandbird.org.nz/
ニュースソース:
http://www.forestandbird.org.nz/what-we-do/publications/media-release/new-zealand-penguins-in-crisis
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