ベトナムで絶滅危惧種のカメの大規模な押収-支援が求められる
和訳協力:村田 幸代、校正協力:鈴木 洋子
2015年10月4日 Asian Turtle Program News
絶滅危惧種のハコガメがベトナムで大量に押収される
2015年9月21日、ベトナムのハノイ市で大規模な陸ガメと淡水ガメの押収があった。
その数は237頭にも及ぶ。
押収されたのは、2種のモエギハコガメ(学名:Cuora galbinifrons galbinifrons、ベトナムモエギハコガメおよび学名:C.g.bourreti、ラオスモエギハコガメ)およそ100頭、Keeled Box Turtles(学名:Cuora mouhotii、ヒラセガメ)50頭以上、Big-headed Turtles(学名:Platysternon megacephalum、オオアタマガメ)30頭以上、Leaf Turtles(学名:Cyclemys sp.、マルガメ属の一種)が数頭だった。
Indo-Myanmar Conservation((仮)インド・ミャンマー保全協会)のAsian Turtle Program(ATP:アジアン・タートル・プログラム)は、9月25日に初めてこの知らせを受け、押収物を見るためにハノイ市のSoc Son Rescue Centre(ソクソン救助センター)に向かった。
カメたちは動ける範囲が限られた、一時的な囲いの中に保護されており、モエギハコガメについては全頭が野外の鳥小屋に入れられていた。
ATPとクックフーン国立公園のTurtle Conservation Centre(TCC:カメ保護センター)は、ソクソン救助センターのスタッフとNGOのFour Paws Vietnam((仮)フォー・パウズ・ベトナム)の協力を得ることに成功した。
カメたちの多くが暑さで弱り脱水症状を起こしていたため、直ちにソクソンにあるFour Paws Vietnamのクマ保護施設内に囲いを設けて、栄養状態の改善と安定化が図られた。
その後の何日にも及ぶソクソン救助センターでの懸命な救援活動を経て、カメたちの一部はTCCに送られることになった。
TCCには伝染病予防のための隔離・検査を行う施設があり、熟練したスタッフもいて、多くのこれらの繊細な種を扱う装備が整っているからだ。
9月30日、20頭のベトナムモエギハコガメ、10頭のラオスモエギハコガメ、30頭のヒラセガメ、23頭のオオアタマガメ、4頭のCuora amboinensis(マレーハコガメ)、10頭のCyclemys oldhamii(オルダムマルガメ)、2頭のMauremys reevesii(クサガメ)、1頭のTrachemys scripta elegans(ミシシッピアカミミガメ)、1頭のChelydra serpentina(カミツキガメ)がTCCに移送された。
それ以降、ATPのスタッフと多数のボランティアがTCCのチームと協力し、全力を挙げて伝染病予防のための治療を行っている。
抗生物質を用いた治療はほぼ全頭に施され、ハコガメ属の多くは健康状態が悪いためチューブを使って栄養を摂らざるを得ない。
また、現在はオオアタマガメを飼育する敷地が不足している。
センターには40頭以上のオオアタマガメが収容されているが、攻撃性が強いため他から切り離して収容しなければならないし、冷たくてきれいな水も不可欠なのだ。
そのような状況のため、ATPとTCCは緊急の支援を求めている。
集中的な治療を続けるためには、今後数か月間、ATPのスタッフとボランティアを増員する必要があるのだ。
さらに、治療が終了したカメたちが長期的に生息できる安全な飼育設備を作ることも視野に入れなくてはならない。
つまり、ハコガメ用の陸上の囲いが二つと、三番目はオオアタマガメ用の池付きの頑丈な囲いだ。
まだソクソン救助センターに残されているカメにも、ATPはなんらかの形で支援をしたいと考えている。
残念ながらソクソン救助センターはとても暑く、繊細なハコガメたちを長期間保護しておくには不向きである。
残りのカメたちもTCCに移送するよう勧めるつもりだ。
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