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2016年9月24日 (土)

ウナギ属の保全と取引について(CITES CoP17の決議案)

-解釈と施行に関わる問題、特定種に関わる問題-

和訳協力:蛯名 郁矢、校正:JWCS

1. 当文書は、EUおよび加盟諸国により提出された。

背景
2. ウナギ属の国際的な取引は数十年続いており、養殖や食料品、アクセサリーに関わる製品が取引対象になっている。回遊の障害物、棲息地の喪失、タービンに巻きこまれての死亡、汚染、疾病、寄生虫、捕食者などその他多くの問題や、上記の取引および国内使用を目的としたウナギ属の漁獲により、一部のウナギ属の個体群は、種の存続を妨げる利用を避けるために取引を管理することが求められる水準にまで減少した。しかしながら、個体数の減少を理由に、ある一種類のウナギ属の採集と取引の両方またはいずれかを規制すると、別の種に需要が向かう。したがって、ウナギ属を種全体として持続的に管理できるよう、その取引と管理状況についてのデータを一元化することが急務である。

3. Anguilla anguilla(ヨーロッパウナギ)はCoP14にてワシントン条約附属書IIに掲載され、2009年より施行された。ヨーロッパウナギの生物学的実態につては、とりわけICES/GFCM/EIFAAC2 Working Group on Eels(WGEEL)により数年間に渡り監視されている。 ヨーロッパ域内では激減した状態であるあめ、2010年12月以降ヨーロッパウナギに対するnon-detriment find(種の存続等を害することにならないという確認・NDF)に認可を与えることができていない。近年、ヨーロッパウナギのEU内外への輸出入は認められておらず、2011年以降、全EU加盟国の同種の輸出割り当て量はまったくない状態が続いている。ヨーロッパウナギの保護状態を改善するために、2007年にEUではウナギ保護に関するEU内での法令を採択し、ヨーロッパウナギの資源量の回復の手立てを打った。この「規則」に定められた義務に従い、EU加盟国は国際的な水準でウナギ資源管理計画を策定してきた。そうした管理計画には、産卵場所に向かって海洋に泳ぎ出るウナギの成体の割合が、人間の影響がなければそうなっていただろう推定資源量の少なくとも40%以上には長期的に到達することを目的とした管理政策(具体的には、漁業の削減、川の「継続性」の改善、汚染の軽減など)が含まれている。

4. ヨーロッパウナギのレッドリスト掲載およびEU加盟国による輸出割当量ゼロの決定後、他のウナギ属、とりわけ、A.rostrata(アメリカウナギ)とAnguilla bicolor(ビカーラ種)などの熱帯種に対してこれまでにないほどの需要増加が生じた。この需要増加の火付け役はおもにアジア市場であり、アジア域内の種であるA.japonica(二ホンウナギ)の使用に加えて、養殖業への需要を満たすためにヨーロッパウナギの生きた幼魚(シラスウナギ)をかねてから大量に輸入していた。East Asian Customsの輸入データによれば、2004年から2010年の間、ウナギの稚魚(全体の年平均輸入量130t)のうち、90%以上が自国以外のアジア諸国(60%以上)やヨーロッパ(30%以上)からであり、種としては二ホンウナギおよびヨーロッパウナギなどであった。2011年から2014年の間には、その割合が著しく変化し、養殖用として東アジアに送られるウナギの稚魚(全体の年間平均輸入量90トン)うち65%以上が南北アメリカ大陸(30%以上)や東南アジア(35%以上)からの供給となっている。2011年以降は、北アフリカから供給されるヨーロッパウナギの稚魚も増加した。EUからのヨーロッパウナギの輸出入可能な量が減少した結果、EU域以外のウナギに対する需要や漁獲の増加およびその影響によるウナギ利用への急激な志向の高まりへの懸念を受けて、ヨーロッパウナギの多くの生息国では、在来種のウナギの漁獲と取引の両方またはいずれかを制限もしくは禁止するための規則を導入されてきた。アメリカでは、漁獲量割り当てが導入され、国内での漁獲拡大を制限する規制が課された。近年、シラスウナギの輸出量の大部分を漁獲するメーン州、および南カリフォルニア州での漁業において、漁業に制限が課せられた。とりわけ幼魚の段階にある一部の熱帯種の輸出を管理する方策が、フィリピンやインドネシアのような国々でも講じられている。2014年には、日本、中国、韓国が「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第7回非公式協議」において共同声明を発表したが、供給元や違法取引に関して主たる懸念は残ったままである。

5. 何らか規制がかかっているすべての種・個体群の違法取引はとりわけ懸念される。CITESの定期的な分析、税関および東アジアのウナギ養殖場のデータ、取引業者から提供される最近5年間の漁獲高と情報に基づくと、ヨーロッパ、東アジアおよび東南アジアからはウナギの違法取引が横行しているという証拠があがっている。漁獲のほとんどの場合において、取り引きされる種を確かめるために、DNA分析を用いた認証検査が必要とされた。取引される商品が多岐にわたるために生じる複雑性と併せて、類似種問題により、この分類群のためのなんらかの規制をするため、ある試みを実行させる。

6. ウナギ属は、持続不可能な漁獲高に加えて、種々の要因から世界的に影響を被ってきた。そういった脅威は、一個体のライフサイクル全体を通して考え併せれば、地域限定的な場合もある一方で、種の適応性に深刻な影響を与える可能性がある。国際海洋探査委員会(ICES)によるヨーロッパウナギについての助言では、資源量の状態が危機的であるということを継続的に強調している。加えて、Anguilla borneensis(Indonesian Longfinned Eel)、二ホンウナギ、アメリカウナギはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧:絶滅危惧IA類、絶滅危惧IB類、絶滅危惧II類として掲載されている。Indian Mottled Eel(Anguilla engalensis)、Shortfin Eel(ビカーラ種)、Celebes Longfin Eel(Anguilla celebesensis)、Philippine Mottled Eel(Anguilla luzonensis)は準絶滅危惧とされ、Highlands Long-finned Eel(Anguilla interioris)、Pacific Long-finned Eel(Anguilla megastoma)、Pacific Shortfin Eel(Anguilla obscura)はデータ不足とされ、Marbled Eel(Anguilla marmorata)とAfrican Longfin Eel(Anguilla mossambica)は軽度懸念の見通しだとされた。ウナギ属のこうした分類ごとに起きている、近年の大きな情報のギャップを埋める試みとして、2018年にこうしたアセスメントをもう一度行うとともに規模を拡大する計画がある。

7. ウナギ属の保護と効果的な管理を妨げているおもな問題のひとつは、データ不足である。アメリカウナギの場合には、北側の生息地(カナダや大西洋に面する中央部の各州)から、成長段階(ガラスウナギ、エルバー、黄ウナギと銀ウナギ)のほとんどについてデータが得られているが、南側の生息地(カリブ海や南アメリカ北部にまで広がる)からはほとんどデータが得られていない。データが得られている地域においてさえも、そのデータは漁業者からの提供であることもあり、したがって観察される数度の変化に対して十分で正確な記録を得ることにはなっていない。こうした状況は、他の多くの種、とりわけ熱帯種の状況と同じかより悪い状況となっている。そういったデータ量のギャップにより、重大な決定を妨げている状況がある。近年ヨーロッパウナギについて、EUがNDFを発行するのに足るだけの情報が得られていない。また、二ホンウナギについても、さまざまな面で、とりわけ東アジアにおける養殖の方法についてきちんとした情報の把握ができておらず、協業しての管理を限定的にしている。

8. したがって、それぞれのウナギ属の生態、個体群の状態、使用や取引について入手可能な新しいデータの内容を検証することは必須である。ほとんどのウナギ属は「任意交配(すべての個体が繁殖のパートナーとなりうる)」であり、それぞれの種が単一個体群を形成している。こうした任意交配個体群内での遺伝子的多様性が十分に理解されるまでは、生息地全体で種を存続させるようにすることが非常に重要である。

推奨

9. 個体群増加や利用についてのより多くの情報やデータを検討材料とするため、そしてすべてのウナギ属の持続可能な取引についての推奨事項を検討するために、条約締結国はこの文書に掲載されている情報を考慮し、添付書内の決定書草案を採択することを推奨する。

付録1

締約国会議における決定書草案

事務局に対して

17.x1事務局は、外部資金を条件として、

a)独立系のコンサルタントと契約し、ヨーロッパウナギが附属書IIに記載されるようになることおよびその効果に関しての課題とそこから得られる事柄について情報をまとめる研究を行うものとする。この研究内容には、違法取引はもちろんのこと、とりわけNon-Detriment Finding(NDF:種の存続等を害することにならないという確認)の発行、施行、認証問題が含まれる。この研究においては、ICES/GFCM/EIFAAC Working Group Eelがまとめたデータや与えた助言は十分に考慮するべきである。

b) CITES以外のリストに記載されているウナギ属についての研究も行うよう独立系コンサルタントと契約を結ぶものとする。具体的には、以下のことを含む。

i) ヨーロッパウナギの2009年における附属書IIへの記載が発効した後の取引具合や取引形態における考え得る変化についての資料作成。

ii)入手可能な最新データに基づき、それぞれの種の生態、個体群状態、利用や取引についてのデータと情報とのかい離の発見および双方のまとめ。IUCNウナギ専門家グループによるとりわけレッドリストのアセスメントの考慮。

iii) i)~iii)で確認されたかい離と問題点に基づいた、専門家会議に対し話題の優先順位の推奨。

c) 動物委員会(AC29)の第29回会議で議論する際に用いる報告書を上記の研究より作成することとする。

d) 必要に応じて、関連する生息地を有する国々、取引を行っている国々、FAO、IUCNウナギ専門家グループ、ICES/GFCM/EIFAAC Working Group Eel、締結国が適切だとして任命した産業やその他の分野の専門家の協力をあおぐとともに参加を募り、国際的な専門家委員会を開催することとする。そうした専門委員会では、とりわけ決定案17.x1.aおよびbに記載される報告書で明確化されている議題を取り扱うものとし、委員会開催の折には、次のようにさまざまなウナギ属に特化した課題を中心とする。

i. ヨーロッパウナギに関する、同定問題を含めた附属書IIへの掲載の施行に加え、NDFを実際に発行することおよび証明書作成のための指針。

ii. その他の種に関して、様々な成長段階にあるウナギの取引を含め、国際的な取引の影響の理解を深めることやそういった種の持続可能な取引を保証するのに可能な方策。

e) 動物委員会(AC30)の第30回会議で議論する際に用いる全てのワークショップの報告書を作成するものとする。

ウナギ属の取引に関わる条約締結国に対して

17.x2 ウナギ属の取引に関わる条約締結国は、事務局およびFAOと協力し、以下のことを行うよう努めるものとする。

a) 事務局およびコンサルタントに、決定案17.x1 aと17.x1 bを完遂するという目的に必要な関連情報を付与する。

b) 必要に応じて、専門委員会に参加したり指定された優先議題(決定案17.x 1dにおいて示された例)についての専門知識や情報を共有したりする。

動物委員会に対して

17.x3 動物委員会は、以下のことを行うものとする。
a) 第29回および第30回の動物委員会において、決定案17.x2に従ってヨーロッパウナギの棲息地になっている国々から提出された情報に加え、決定案17.x1の下で作成されたレポートおよびウナギ属の保護と取引について関連するそのほかのいかなる情報について考察する。

b) CoP18で検討材料として、条約締結国に対しウナギ属の取引を持続可能にするよう提案を行うものとする。

常設委員会に対して

17.x4 常設委員会は、第69回および第70回会議においてヨーロッパウナギの違法取引に関する情報について考察し、適宜提案を採択するものとする。

ニュースソース
https://cites.org/sites/default/files/eng/cop/17/WorkingDocs/E-CoP17-51.pdf

 

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