ソテツの違法採掘で10年の刑に
和訳協力:伊川 次郎、校正協力:滝野沢 ゆり
2015年7月8日 IUCN Redlist News
東ケープ州および、おそらく南アフリカ全土における記録史上初めて、ジャンセンビル地方裁判所がオニソテツ属のソテツ類の違法採掘者に、執行猶予なしの10年の禁固刑を宣告するという、革新的な判決を下した。
IUCN(国際自然保護連合)のSOS(Save Our Species)の助成対象団体であるEWT(Endangered Wildlife Trust:絶滅危惧野生生物トラスト)は、National Prosecuting Authority(南アフリカ国家検察局)とCoetzee弁護士および他の3名と共に、前述の違法採掘者を逮捕した南アフリカ警察のメンバーたちを高く評価したい。
これは、この事件に対する実に素晴らしい判決であり、これから罪を犯そうとしている者たちに対して、こうした絶滅の恐れのある植物を採掘することは断じて割に合わないという強いメッセージとなるだろう。
事件に関わっていた違法採掘者は4人で、12本のEncephalartos lehmannii(別名Karoo Cycad、ヒメオニソテツ)のヨハネスブルグへの密輸を企てたとして、2014年に逮捕された。
ヒメオニソテツは、2007年2月23日に発行されたNational list of Threatened or Protected Species((仮)絶滅危惧種または保護種の全国リスト)に保護種として記載されており、また世界的には絶滅危惧種に関するIUCNレッドリストで準絶滅危惧種として評価されてきた。
裁判は2015年6月24日、ジャンセンビル地方裁判所で、Rene Esterhuize判事の下で行われた。
違法採掘者のうちの3人、Shadrack Matambo、Desmond ManodawafaおよびAlex Khozaは、執行猶予なしの5年の禁固刑を宣告された。
4人目のSibusiso Khumaloは、ソテツの違法採掘で過去に2件の有罪判決を受けていたために、より長い10年の懲役刑が宣告された。
犯行に用いられた車両も押収され国に没収された。
SOSが資金提供するEWTの取り組むプロジェクトは、ソテツに特化した普及啓発活動や法執行の訓練プログラムに積極的に取り組んでおり、南アフリカ警察を含む混成の取締り機関の法執行官を介して、様々な訓練を行っている。
あらゆる活動は南アフリカにおけるソテツの保護に重要な影響をもたらし、この華々しい最初の逮捕へとつながった。
南アフリカにおいてソテツが直面する最大の脅威は、国内および国際市場に供給するために野生の個体群から植物を採掘することである。
IUCNレッドリストが行った現在の評価は、南アフリカのオニソテツ属のソテツ類の種に関しては、3種が野生絶滅、12種が絶滅危惧IA類、4種が絶滅危惧IB類、9種が絶滅危惧II類、7種が準絶滅危惧とされていることを反映した結果である。
アフリカ大陸特産のオニソテツ属のソテツ類の既知の67種のうち、38種が南アフリカに生育し、29種が南アフリカの固有種であり、南アフリカがソテツ多様性の重要なホットスポットになっている。
SOSとEWTはこのような違法採掘者たちを司法の場に送ることに関わるあらゆる団体の活動を心から支援し、今後より多くの事件が今回のような結末となることを期待する。
ニュースソース
http://www.iucnredlist.org/news/cycad-poacher-sentenced-to-10-years-of-prison
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