外来植物インベントリー研修が無事終了
和訳協力:河野 晴美、校正協力:真井 悠美子
2015年11月6日 IUCN News Story
違法伐採や生息地破壊に加えて、外来種はパラオの森林の健全性にとって最大の脅威の一つである。
ほとんどのパラオの森林は非常に健全であるものの、すべての森林が外来種の脅威にさらされており、すでに外来種の侵入が確認されたProtected Areas Network(PAN:保護地域ネットワーク)の保護区もある。
そこで、Bureau of Agriculture(BOA:農業局)とPAN事務所は、この脅威に対して立ち上がった。
手始めは、どのような外来種が存在し、またそれがどこに生育しているのかを知ること、つまり、目録の作成である。
外来種目録の作成は、保護地域の維持管理の一環として外来種管理をするための5つの条件の最初の一つに当たる。
この条件は、Micronesia Challenge Steering Committee(ミクロネシア・チャレンジ注1)運営委員会)とMicronesia Regional Invasive Species Council((仮)ミクロネシア地域外来種協議会)によって今年導入されたものである。
しかしながら今週に至るまで、パラオではこの基本となる目録を作成できる人材が不足していた。
この問題に対処するために、BOAとPAN事務所は、PALARIS(パラオ自動土地資源情報システム)の支援を受けて、陸域の保護区内における外来種の基本的な目録作成のための調査手法について、PANのコーディネーターとスタッフを対象に共同で研修を実施した。
研修では、USDA Forest Service(米国農務省森林局)からの経済的援助を受けて、ハワイにあるMaui Invasive Species Committee((仮)マウイ外来種委員会)の専門家であるAdam Radford氏と、Palau National Invasive Species Coordinator((仮)パラオ国家外来種コーディネーター)であるJoel Miles博士が指導にあたった。
これは、保護区域内における外来種の位置とその種名を明らかにして欲しいという、PANのコーディネーターと自然保護官からの、数年来の度重なる援助要請に応じたものである。
パラオ国内10州の自然保護管18名と連携機関のスタッフは無事研修を終え、修了証書を授与された。
それにより、彼らは研修で学んだ以下の技術を用いて、計画を立案・指揮し、駆除を行い、緑のコリドーや道路沿いでの調査等を実践することが可能となった。
A.通過点やルートを記録するために携帯GPS端末を使用する
B.位置情報をGPS端末からコンピュータにダウンロードする
C.調査データを記録し、図や表としてまとめる
D.図鑑を利用して20種の対象外来種を確認する、さらに
E.同定するために不明な種の写真撮影をする
研修は、2015年10月6日から12日にかけて、エサール州にある農業局のAgriculture Development and Support Center((仮)農業開発サポートセンター)で開催され、その後1週間、バベルダオブ島とコロール島の保護区で実践的な調査が続いた。
PANの陸域の保護区を持つ10州すべてが研修に参加した。
9つの保護区において調査が行われ、保護区における外来植物の位置を示すために、PAN事務所とPALARISが現在地図化の準備を進めている。
調査結果の情報は、PAN保護区やミクロネシア・チャレンジのための陸域監視システムの開発にも貢献することだろう。
BOAは、外来種の影響を軽減するための維持管理の行動計画を立て、それを実践するために、PAN事務所と全16州に対する支援を継続していく。
注1:ミクロネシアの生物多様性を保全し、持続的な自然資源の利用を図るため、パラオ共和国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国の3カ国およびグアム、北マリアナ諸島の2地域が2006年に合意したイニシアチブ(国際公約)のこと。
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