ギニアビサウでコイネズミヨウムの雛の密猟に大きな変化が
和訳協力:下島 深雪、校正協力:木田 直子
2015年4月1日 IUCN Redlist News Release
ビジャゴ諸島ではコイネズミヨウムが新たな繁殖期を迎え、巣の監視チームにおいては、昨年以上の成果を上げられるのでは、という期待が高まっている。
昨年末、密猟された雛が巣に戻され、親鳥が再び子育てを始めたことが、心温まる保全活動の話題をもたらし、かつてのオウム猟師を雇用する戦略が保全の成果を上げていることが明確になった。
ギニアビサウ共和国の沖合に位置し、UNESCO(国連教育科学文化機関)のBiosphere Reserve(生物圏保護区)になっているビジャゴ諸島は、わかっている限りではTimneh parrots(学名:Psittacus timneh、コイネズミヨウム)の巣が最も多く集中している場所である。
世界でVulnerable(絶滅危惧II類)とされるこの種は、西アフリカのわずかな国に生息する固有種で、ペット取引と生息地の消失が個体数に大きな影響をもたらしている。
IUCN(国際自然保護連合)のメンバーであるWorld Parrot Trust(ワールドパロットトラスト)が調整を行い、SOSが資金提供するプロジェクトの一環として、巣の監視と保護を行うために、近隣の村々から数名の地域住民が集められた。
これは、彼らの経験や知識、地域社会とのつながりが、オウムの密猟を大きく変化させることを期待してのことである。
毎年、巣の観察は注意深く行われる。
プロジェクトメンバーが定期的に訪れるほか、巣の入り口に向けて設定した一定時間間隔で撮影を行う経時自動撮影カメラも設置されるのだ。
昨年、巣穴のうろのまわりで、間違いなく山用のナイフによってつけられた傷を発見した際は、監視チームはなす術もなく最悪の事態を恐れるばかりだった。
密猟者がここに来たのだ。
勇敢な木登り名人の、以前は密猟者であったManjacoが素早く木をよじ登り、巣がすでに空であったことを確認した。
事実上、雛はチームの目の前で密猟されたのだ。
これを受けて、地域の代表者による会合が直ちに開かれ、この出来事について話し合いがもたれた。
後に、闇に紛れて、ヤシの木につるされた段ボール箱に入った雛が、国立公園本部に匿名で届けられた。
衰弱し、餌を欲しているのは明らかだった。
離島では資源が限られているため、オウムの雛の世話の仕方についての、かつての密猟者の知識が非常に役立った。
雛が元気を取り戻すと、親鳥が戻ることを期待し、雛は巣に戻すという決定が下された。
このときまでに数日が経過していたため、結果は全く分からなかった。
巣にカメラの照準を合わせ、チームは気をもみながら待った。
親鳥が戻り、警戒しながらも巣に入り、雛の子育てを再開したのを見て、チームは胸をなでおろした。
数週間後、雛は巣立っていった。
ワールドパロットトラストのAfrica Conservation Programme(アフリカ保全プログラム)でプロジェクトコーディネーターを務めるRowan Martin博士は、こう結論づけた。
「ビジャゴ諸島では個体数が少ない上にますます減少しているため、このように一見ささいな増加であっても、繁殖の成功は大きな意味を持ちます」。
「より重要なのは、この一連の出来事が、地域社会を保全に直接かかわらせることにメリットがあることを示したことです。また、人々の考え方、そして最も重要な人々の行動をどうやったら変えられるかを示したことなのです」。
ニュースソース
http://www.iucnredlist.org/news/turning-the-tide-on-nest-poaching-of-timneh-parrots-in-guinea-bissau
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→gooddoでクリックやFacebookいいね!をしてJWCSを支援
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« 中央アフリカにおける大型類人猿の個体数減少を食い止める新しい行動計画 | トップページ | 毛皮の国際取引を促進させるためにカリフォルニアのボブキャットが殺されている »
「22 アフリカ」カテゴリの記事
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
- コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす(2021.08.31)
- ボツワナでゾウ狩りライセンスのオークションが開始される(2021.01.15)
- 9.5tものセンザンコウのうろこの押収により、野生生物犯罪への対応強化がナイジェリアで必至に(2020.10.20)
- 保護区域周辺の人間と野生動物の対立を緩和するための地域密着型の戦略の実験的調査(2020.07.07)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「13 鳥類」カテゴリの記事
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- 海鳥のグアノ、毎年4億7000万ドル相当の価値を生み出す(2021.09.28)
- クマに注目―パンデミックでインドネシアのマレーグマの違法取引が悪化する可能性(2021.08.24)
- 海鳥の保護が気候変動からサンゴ礁を守る助けとなる可能性(2021.01.19)
- 有機畜産農業が野鳥を増やす(2020.01.31)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「34 IUCN 国際自然保護連合」カテゴリの記事
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- 野生生物取引により絶滅の危機にある種が保護対象となるには10年の歳月が必要(2019.10.29)
- カメルーンのセンザンコウ乱獲 国際的な保護でも食い止められず(2019.01.08)
- 最新報告:フカヒレへの食欲が絶滅危惧種のサメの個体数を減少させる(2018.12.08)
- 巨木林の減少に伴いヨーロッパのクワガタムシの5分の1が絶滅の危機に(2018.03.22)
この記事へのコメントは終了しました。
« 中央アフリカにおける大型類人猿の個体数減少を食い止める新しい行動計画 | トップページ | 毛皮の国際取引を促進させるためにカリフォルニアのボブキャットが殺されている »
コメント