世界のリーダーが違法な野生生物取引を減らすための誓約を再確認
和訳協力:金子 さえ、校正協力:高橋 哲子
2015年3月27日 IUCN News story
30カ国を超える国の国家元首、大臣、高官らとRegional Economic Integration Organisations(地域経済統合機関)らが、違法な野生生物取引を終結させるための誓約を改めて確約するカサネ声明を採択した。
この声明は、イギリス政府支援のもと、ボツワナ政府によって3月25日にボツワナで開催されたKasane Conference on Illegal Wildlife Trade(野生生物の違法取引に関するカサネ会議)で採択されたものである。
カサネ会議は、2014年2月にイギリス政府が主催したLondon Conference on Illegal Wildlife Trade(野生生物の違法取引に関するロンドン会議)のフォローアップ会議だ。
ロンドン会議において、参加国(と地域経済統合機関)らは違法な野生生物取引を阻止する政治的誓約であるロンドン宣言に署名した。
カサネ声明には、違法な野生生物取引終結のために非常に重要とされる追加の施策が含まれる。
具体的には、違法な野生生物製品の市場を撲滅するための措置、効果的な法制度と抑止力を確実に整備するための措置、法執行を強化し、地域社会に違法な野生生物取引に取組む努力をさせるための措置などである。
とりわけ、IUCN(国際自然保護連合)は地域社会の参加に焦点が当てられたことを歓迎する。
先月、IUCNのCEESP(環境経済社会政策委員会)とSSC(Species Survival Commission:種の保存委員会)のSustainable Use and Livelihoods Specialist Group((仮)持続可能な利用・生計専門家グループ)およびその協力者らが中心となって、国際シンポジウムを開いた。
シンポジウムでは、幅広い事例研究に基づく見識と成功事例についての検討が行われ、地域社会が違法な野生生物取引との闘いに取組むための政策と実施の鍵となる見識と注意点がまとめられた。
「IUCNはカサネ会議を、そしてカサネ声明が採択されたことを高く評価します。なぜなら単に解決策として法の執行に取組み、需要を削減させるだけでなく、持続可能なかたちで生計をたて、経済的に発展する機会を求める地域社会をサポートする必要性を総合的に認めているからです」と、IUCNのSSC議長であるSimon Stuart博士は述べている。
違法な野生生物取引は多くの農村から潜在的な収入を奪うもので、それは国家にとって将来の自然資本の大きな損失となる。
違法取引は、トラやサイやゾウといった象徴的な大型動物だけでなく、センザンコウやカメ、植物や魚類などにも影響を与えるため、それらの種に関しても同様に注意を払う必要がある。
「この力強い誓約が違法な取引によって脅かされているすべての種を対象としていることを、私たちはしっかり認識する必要があります。主要なメディアの関心を集めるゾウやサイといった種だけではないのです」と、IUCNのGlobal Species Programme(グローバル種プログラム)の副委員長であるRichard Jenkins博士は述べた。
「そのためには、我々の活動の有効性を判定できるように、野生種の個体群モニタリングのための努力を重ね、より多くの資金を集めていかなければなりません」。
カサネ会議において、各国の代表者たちはロンドン宣言署名後の進捗について報告した。
例えば、アフリカなどのいくつかの地域では、法執行レベルの引き上げにより、象牙の押収が増加した。
「前進はしていますが、勝利への道のりは遠い状況です。IUCNは、協調して取り組めば、流れを変えるのに必要な資金と政治的意思を集められるだろうと、徐々に前向きな見通しを持つようになっています」と、Simon Stuart博士はいう。
「私たちは2015年のうちにこのすべてを成し遂げねばなりませんし、2016年以降も続けていかなければなりません。また私たちは確実に、次世代の政治的指導者たちが、同じように誓約するようにしなければならないのです」。
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