ASEAN加盟諸国が、野生生物の密猟と違法取引の撲滅に向けての地域間協力の促進について協議
和訳協力:JO、校正協力:柳川 さやか
2015年4月2日 CITES Other news items
マレーシアとアメリカ合衆国は、2015年3月30日から4月1日まで、マレーシアのコタキナバルで、野生生物の違法売買を撲滅する、Association of Southeast Asian Nations (ASEAN:東南アジア諸国連合)の地域フォーラムを共催した。
フォーラムの焦点は、野生生物の密猟や違法取引の阻止を目的とした、国境を越えた地域間協力の促進に置かれた。
フォーラムには、ASEANの加盟全10ヶ国(ブルネイ・ダルサラーム(通称ブルネイ)、カンボジア、インドネシア、ラオス人民民主共和国、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)から代表者が参加した。
CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の事務局、INTERPOL(国際刑事警察機構)、United Nations Office on Drugs and Crime(UNODC:国連薬物犯罪事務所)および、International Consortium on Combating Wildlife Crime(ICCWC:野生生物犯罪と闘う国際コンソーシアム)と協力して活動しているすべての政府機関ら、並びにRoyal Malaysian Customs Department(マレーシア関税局)とU.S. Fish and Wildlife Service(アメリカ合衆国魚類野生生物局)や、多数のNGO(非政府組織)の代表らも、積極的に地域フォーラムに参加した。
マレーシアの外務大臣であるDato' Sri Anifah Hj. Aman氏は、開会宣言で、野生生物の違法取引は国の優先課題となっており、マレーシアは撲滅に向けての努力をさらに重ねていく、と述べた。
フォーラムではさまざまな国の高官や専門家らが、野生生物の密猟と違法取引が、すべての種や生態系、地域コミュニティやその住民達の生活、国家経済、国家と地域の安全に重大な影響を与えていることは、現在はっきりと認識されていることを強調した。
すべての国家が、野生生物の違法取引を深刻な国際的な組織犯罪として認識し、経由国と消費国の全域で協力し、集中した取組みを促進すべきだ、との緊急要請が上がった。
フォーラムの参加者らは、野生生物の違法取引に関与した活動の徹底調査が必要であり、またこれらの調査のためにも、犯罪者告発や強い抑止力のある刑罰が必要だと強調した。
野生生物の違法売買を撲滅するASEANの地域フォーラムは、政治的な推進力を高め、野生生物の違法取引を撲滅するための参加者ら自らの取り組みを活発化させた。
そして協議によって、今まで数多くの苦労があり、未だ前線ではそれらが続いていることが明らかになった。
しかしながら、すぐにも必要な取組みが依然多く残っていることは明白で、関係者間で満足している余地はない。
CITES事務局のEnforcement Support((仮)施行支援部門)代表であるBen Janse van Rensburg氏は、マレーシアのMinister of Natural Resources and Environment(天然資源・環境大臣)であるDatuk Seri G. Palanivelha氏と、マレーシアのNational Ivory Action Plan(NIAP:国家象牙行動計画)の実施の責任をもつ部局の代表者らと、コナキタバルの地域フォーラムの会議の合間に会い、NIAP実施の進捗状況と、その他のCITESの関連事項について協議した。
マレーシアは、象牙取引に関する“主要懸念”8ヶ国(中国、ケニア、マレーシア、フィリピン、タイ、ウガンダ、タンザニア連合共和国、ベトナム)の内の1国であり、これらの国々は2013年の3月にタイのバンコクで開催された64th meeting of the CITES Standing Committee(SC64:CITESの第64回常設委員会)で、象牙の違法取引を撲滅するためにNIAPを策定し、実施するよう要請されていた。
2014年7月にスイスのジュネーブで開催されたCITESの第65回常設委員会では評価結果が発表され、NIAPによるさらなる努力の結果、よい成果を上げていることが示された。
その結果、常設委員会は8ヶ国に、各々のNIAPを改訂し、また継続的に実施して、改訂版のNIAPの実施のための更なる取り組みについて、2016年1月にジュネーブで開催されるCITESの第66回常設委員会で報告するように要請した。
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