各国が野生生物犯罪に真剣に取り組み、密猟者とそのリーダーへの罰則の強化を誓う
翻訳協力:河村 美和、校正協力:佐々木 美穂子
2015年3月27日 UNEP NEWS CENTER
32か国といくつかの国際団体が、ボツワナのカサネで開催されたConference on Illegal Wildlife Trade(野生生物の違法取引に関する国際会議)において、違法な野生生物取引と闘うために新しく、より厳しい行動をとることを固く誓い合った。
参加した国や団体は、対策法を強化し、野生生物の違法取引に関わる金融犯罪に対してより厳しい罰を与えることを決め、合意書に調印した。
また参加者らは、汚職に対する毅然とした政策をとることを明言した。
これにより、野生生物の違法取引を行う犯罪グループのリーダーを起訴し、刑を科しやすい環境ができることになる。
参加国、団体らはさらに、違法な野生生物製品に対する需要や供給を撲滅することを誓った。
また、地域住民が積極的に参加することが、野生生物犯罪の効果的な監視や、法執行のために重要であることを認識し、野生生物犯罪によって影響を受けた地域社会が持続可能な生活手段を維持できるよう取り組むことも誓った。
Kasane Conference(カサネ会議)は昨年のLondon Conference(ロンドン会議)に続くものである。
ロンドン会議では、野生生物の違法取引が未曾有なレベルに達し、重大な危機をもたらしていることが認識された。
2015年6月の、野生生物の違法取引に焦点を絞ったUN(国際連合)の歴史的な決議は、157か国が採択した。
これはナイロビで行われた初めてのUN Environment Assembly(UNEA:国連環境総会)でのことであった。
更に最近、Open Working Group on the Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループ)の成果でも、野生生物の違法取引を撲滅する必要性が強調された。
今月初めには、African Ministerial Conference on the Environment(アフリカ環境大臣会議)において、野生生物の違法取引に取り組むpan-African Strategy(汎アフリカ戦略)を進めるためのAfrican Union(アフリカ連合)の活動への支援と指導が行われた。
国際社会はこの危機に対して非常に大きな一歩を踏み出した。
例えば、大企業であるAlibaba社やTencent社を含む中国の9つのインターネット企業の持つネットのシステム上で、違法な野生生物製品の広告や取引をさせないようにしている。
同じ頃、アメリカが資金援助したINTERPOL(国際刑事警察機構)のOperation PAWS((仮)アジアの野生生物保護作戦)では、100件以上の野生生物犯罪を差し押さえ、トラの皮や部位を26、ヒョウやウンピョウを50、センザン コウの鱗280kg、クマとその部位を83、象牙3,500kg、red sandal wood(コウキ)4,000kg以上を押収した。
これらの取り組みを支援するために、United Nations Environment Programme(UNEP:国連環境計画)は、今月初めに行われたWorld Wildlife Day(世界野生生物の日)の祝賀会に参加した。
この会のテーマは「It's Time to Get Serious about Wildlife Crime((仮)今まさに野生生物犯罪に真剣に向き合うべき時)」であった。
野生生物の違法な採取や取引は、野生生物の個体群にとって直接の脅威となるだけでなく、金融犯罪組織を助長させることや、法の原則を軟弱化させ、平和、安全、持続可能な発展を妨げることにも繋がる。
このような影響を受けないようにするには、国際社会からの一貫した対応が必要である。
そして国際連合の組織は協調して動き出している。
今まさに起きていいる野生生物犯罪への対応は、各国が国連環境総会やロンドン会議で明言化されたことを、どれだけ早くその国の政策や法律に反映できるかどうかにかかっている。
野生生物の保全とその持続可能な利用のためには、すべてのレベルでの取り締まりの強化や、地域社会へのサポートを緊急に行う必要がある。
UNEPは各国に技術、政策、対応能力に関する支援を直接行っている。
また、Global Environment Facility(地球環境ファシリティ)や、African Elephant Fund(アフリカゾウ基金)を含むその他の資金支援組織の援助を受けるように勧め、需要面での戦略の進行を促進している。
UNEPはまた、野生生物の違法取引に対抗するために、取り締まりを強化し、国際協力を促進することを定めた国連総会の決議を法制化することに重きを置いている。
決議は、中でも特に野生生物の違法な製品への供給、需要、輸送をさせないことに的を絞った行動を通じて、違法取引との闘いに参加することを、各国政府に強く奨励している。
そのことが、違法取引に対する毅然とした政策を進め、違法取引の悪影響を受けた地域社会において、持続可能であり、野生生物の違法取引の代わりとなる生計手段を生み出すことを促進するのだ。
UNEPはこの分野で更なる努力として、多くの活動を行うことが求められている。
それには、野生生物の違法取引が環境に与える影響の分析を次の国連環境総会の議題として提供すること、この問題についての人々の意識を向上させること、そしてInternational Consortium to Combat Wildlife Crime(野生生物犯罪と闘う国際コンソーシアム)、UN Office on Drugs and Crime (UNODC:国際薬物犯罪事務所)、INTERPOL、CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)、UNDP(国連開発計画)、Secretary General's Rule of Law Group(国連事務総長の法の支配グループ)と協調して動くこと、などが含まれる。
UNEPはまた、国レベルでの環境法の支配メカニズムを作り、実施するための政府への支援も求められた。
UNEPは、ロンドン会議とカサネ会議の結果への責任を果たすため、国連加盟国と共同で取り組み、また加盟国を支援し続けることに意欲を持っている。
ニュースソース
http://www.unep.org/newscentre/default.aspx?DocumentID=26788&ArticleID=34830&l=en
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