2万7千頭を超えるサイガの死亡を確認:CMSは緊急に専門家チームを派遣
2015年5月21日 CMS News
和訳協力:石井 綾子、校正協力:日原 直子
CMS(Convention on Migratory Species:移動性野生動物種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)の事務局は本日、カザフスタンからの要請に応え、現在のサイガ大量死の原因を特定する活動を強化するため、専門家チームを派遣する。
最新の公式報告では、ベトパク・ダラ個体群の2万7千頭を超えるサイガの成獣が死亡したことが確認されている。
専門家チームは、アクトベ州西部に向かった別のベトパク・ダラ個体群も感染の可能性があるとする新たな報告を直ちに追跡調査する予定である。
「中央カザフスタンでサイガが死亡している規模とその速さを我々は大変心配しています」と、CMSのBradnee Chambers事務局長は述べている。
「我々は、この悲劇の原因を特定して適切な対応を行うため、現場で当局や専門家と緊密に協力して活動しています。現在、専門家が駆けつけているところであり、我々は支援資金を集めることに尽力しています」。
CMS事務局は、中央カザフスタンのコスタナイ州で500名を超える人が100台近くの車を使い緊急対応を支援していることを把握している。
状況を究明し、感染拡大の潜在的なリスクを最小限に抑えるために、当局と専門家が緊密に連携して活動している。
CMSのサイガMOU(了解覚書)の技術的な調整をする主要パートナーのひとつであるAssociation for the Conservation of Biodiversity of Kazakhstan (ACBK:カザフスタン生物多様性保全協会)が、大量死事件が始まった先週からコスタナイの現場に滞在しており、専門家チームの任務に技術的支援を提供する予定である。
感染したサイガの検体の他に区域内の植生や土壌も採取し、現在分析している。
「感染したサイガの症状には、口の周りの泡や下痢などがあります。主にメスのサイガの成獣と生まれたばかりのサイガが感染しました。5月中旬以降は、メスがわずか1週間のピーク期間内に出産するために巨大な群れを成す時期であるためです。出産のために集まった巨大な群れの一つまたはいくつかが全滅したことが明らかになっています」と、CMS事務局の陸生種を担当するAline Kuhl-Stenzel氏が述べている。
大量死は、ベトパク・ダラ個体群がもう一度安定水準に達したという希望を損なうものである。
2014年の個体群の規模は推定で約20万頭、全域では26万頭ほどになるかもしれない。
この数字は現在大幅に見直さざるを得ず、結果的に保全活動を大いに強化することが求められる。
CMS事務局はCITES事務局と緊密に連携し、サイガMOU締約国の全5カ国(カザフスタン、モンゴル、ロシア、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の他に、サイガ製品の消費国を含めた会議を現在準備している。
会議は、進捗状況を見直し、とりわけ病気やベトパク・ダラ個体群に関して緊急に必要とされる方策に合意をするためのものである。
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