何ということだ!香港政府は違法な象牙取引に手を貸しているのか?
和訳協力:兼綱 寿美子、校正協力:K.M
2015年4月17日 OneGreenPlanet Animal Monster
世界の野生生物保護団体は、香港政府が、条約以前の象牙であるという旨の(偽の)輸入および再輸出認可書を発行していたという証拠が明るみにでたことに関して、最近、香港環境局局長に宛てに文書を提出した。
Greenpeace(グリーンピース)、IFAW(国際動物福祉基金)、The Humane Society(米国動物愛護協会)、Born Free(ボーンフリー財団)、WildAid(ワイルドエイド)、WWF(世界自然保護基金)、The Jane Goodall Institute(ジェーン・グドール・インスティテュート)らは文書を提出した団体はほんの一部だが、文書の中で措置をとるよう要請している。
正しい条約以前の象牙とはなんだろう?
1973年に80か国の代表が集まり、国際取引が野生動植物の種の存続を脅かすことのないようにと、Convention on the International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora, CITES(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)を創設した。
つまり、条約以前の象牙とは、この国際合意の前に流通していたすべての象牙を指すものだ。
何が重大なことなのか?
香港は象牙の主要な輸入国であり、そのことが違法取引を助長し、体系的なアフリカゾウの大量補殺を引き起こしている。
CITESは、象牙の売買が象の個体数に有害な影響を及ぼしているという評価に基づき、1989年に象牙の国際取引について公の禁止令を出した。
この禁止令の規定に基づき、1989年より以前に流通していた象牙だけが売買および取引することができる。
1989年以前の象牙を売却または購入しようとする者は、その象牙の年代を証明する適正な書類を必要とし、それ以外の象牙はどれも事実上違法である。
しかし、この当初の禁止以降も長年にわたり違法取引が盛んに行われ、現在も15分ごとに1頭のゾウが象牙のために殺されていると推定されている。
このままではアフリカの野生のゾウの個体群はこれから20年以内に絶滅すると科学者たちは予測している。
香港政府のゾウ保護に関する怠慢
このことを踏まえ、香港政府は、象牙に関する既存の法律をより厳しくし、厳格に守らせることがさらに重要である。
これは国内および国際的に流通している象牙が偽りなく条約以前の象牙であることを証明することを意味する。
この点について、香港政府は信じがたい程不十分なのである。
この重要な文書を提出した野生生物保護団体によれば、条約以前の象牙であるという証明書が、最近密猟されたゾウからとった象牙の隠蔽に用いられているという、差し迫った懸念があるとのことだ。
文書によると:
「2013年に香港は欧州連合から輸入した191本を含め、206本の象牙を輸入した。これらの条約以前のものであるとされる象牙の輸入が需要を増加させ、それに伴って密猟が増えるかもしれない。更に、輸出国で発行された再輸出証明書が、新たに密猟したゾウからの象牙の出所を隠すために輸入国で再び利用されていることが問題とされている。不十分な確認と取り締まりの怠慢が、香港の合法的な市場への違法な象牙の提供を容易にしている」。
香港の取引業者たちはいくつかの大規模な象牙の輸出にも関わっており、これらの行為はこの貴重な財産に対する莫大な需要を一層増すだけである。
香港政府の環境局は、香港政府が絶滅危惧種の保護に本気で取り組んでいると主張するが、この文書は香港政府に対し、国内での需要を減らすために象牙の輸入および再輸出を一時的に停止させ、香港政府が売買されている象牙を管理することを要求している。
文書ではアメリカ合衆国を含め象牙の再輸出を停止した国々を挙げ、香港がそれらの国々の歩みに従うことを要請している。
あなたにできること
残念ながらアフリカゾウの個体群には絶滅の時が迫っており、この種を絶滅から救いたければ、私たちは早急に行動しなければならない。
個人では、巨大な政府に影響を与えて、象牙の輸入および輸出を全面的に禁止させることは困難かもしれないが、私たちが全員で取り組めば、ゾウたちのために効果を発揮することができる。
もしあなたが象牙取引に反対する運動に参加したければ、できることがいくつかある:
・象牙でできたすべての製品に対してNOということ。購入されなくなればゾウも殺されなくなることを忘れないで。
・野生生物の取引を終わらせるために努力している団体を援助すること。
・環境局のWong Kam Sing局長に手紙を送り、香港政府に対し、象牙取引を停止するよう主張している団体をあなたが支持していることを伝えること。
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