フォト
無料ブログはココログ
2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

にほんブログ村

  • にほんブログ村

« 世界の欲求が新たに野生生物種を絶滅の淵へ-IUCNレッドリスト | トップページ | 象牙取引:モンバサ港での覆面調査で管理の甘さが明らかに »

2015年7月10日 (金)

ロシアの北極圏北東部のにおけるホッキョクグマのチュクチ-アラスカ個体群

和訳協力:河村 美和、校正協力:鈴木 洋子

2014年12月4日 The Polar Bear Programme News

チュクチ(チュクトカ)-アラスカホッキョクグマ個体群(World Conservation Union (IUCN:国際自然保護連合)の専門用語ではより大きな個体群の一部である、sub-population(亜個体群)とされている)は、ロシアの北極圏の北東部に生息している。
その生息地は、チュクチ海全域、東シベリア海の東部、ボーフォート海の西部を含む。
そのため、このホッキョクグマ個体群はロシアとアメリカの管轄下に置かれている。

チュクチ-アラスカホッキョクグマ個体群はロシアの北極圏に生息する3つの個体群の内の一つである。
中央シベリア個体群と、バレンツ海-カラ海個体群の生息地はそれぞれ、ラプテフ海とバレンツ海である。
カラ海個体群は別個の亜個体群として記載される場合もあるが、そうすることに説得力のある科学的証拠はない。
バレンツ海個体群もまた、ロシアとノルウェーの二か国の管轄下に置かれている。

チュクチ-アラスカ個体群はロシアのホッキョクグマの中で最も研究が遅れている。
1970年代始めに本個体群に関する系統的なデータ収集が開始された。
著名なロシアの極地動物学者のSavva Uspensky氏がこの取り組みの先駆者であった。
Stanislav Belikov氏もまた、ウランゲリ島で冬眠するホッキョクグマに関する生態の研究に長年を費やした。

1990年以降、我々はウランゲリ島保護区に生息するホッキョクグマの行動や個体群生態学を研究するための長期プロジェクトを実施してきた。
このプロジェクトは、地球の気候変動によって引き起こされる群の崩壊等、個体群内部の変遷のパターンを評価することを目的としている。
特定のわずかな変化を突き止めるには長期にわたる研究が不可欠である。
個体群内部の変遷の地上観察など、基本的な個体群の特徴の長期観測が、本プロジェクトの本質的側面である。

ウランゲリ島は国の自然保護区で、ホッキョクグマの『繁殖地』として広く国際的に知られている。
チュクチ-アラスカ個体群で最も繁殖力のあるホッキョクグマがこの島に集まることが地上での観察と衛星写真から確認されている。
衛星写真は1990年代始めと2000年代の終わりに米国のチームによって撮影された。
実際に、アラスカ沿岸沖で衛星送信機を装着したすべてのメスのホッキョクグマは、追跡によって夏の終わりにウランゲリ島とヘラルド島、そしてそれらの北部の氷塊へと移動することがわかった。

ロシア北極圏の他のホッキョクグマ個体群と同じように、チュクチ-アラスカ個体群の生息地は開放的で、氷塊ができるのに沿って移動することを妨げるものは何もない。
1970年代、1980年代、そして1990年代始めの、ウランゲリ島で即席の『繁殖地』としての役割を果たすホッキョクグマの巣を特定するための長期の取り組み や、チュクチ湾沿岸での同じような散発的なプロジェクトの実施にもかかわらず、チュクチ-アラスカ個体群の正確な個体数は特定されなかった。
事実、個体群の生息地の広さ、ホッキョクグマの極端に不均一な分布、そして氷塊に沿った移動パターンの季節変動が大きいことを考えると、理論的な方法での正確な評価は不可能である。

1992年にStanislav Belikov氏は、1980年代と1990年代始めの期間について、ウランゲリ島とヘラルド島のホッキョクグマの巣穴データを用いて、おおよその個体数を算出した。
さらにその個体群の性別と年齢構成についてももっとも妥当とされる推測を行った。
彼は、全体の個体数は高い誤差の範囲で2,000頭から5,000頭だと推定した。
それにも関わらず、この結果はUSSR(ソビエト連邦)、RSFSR(ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国)およびロシア連邦のレッドデータブックにおける公式統計に利用された。
この推定値は、報道機関によって推定値の適用期間を示さずに既成事実として報告され、様々な出版物に繰り返し引用された。

この個体群の個体数は、1980年代後半から1990年代始めに最大になった。
これは、ロシアで長期に渡りホッキョクグマの保護活動が行われ、また氷の状態が最適であったためである。
1957年1月1日に、ソビエト政府がホッキョクグマの狩猟を禁止し、この禁止法は今日も有効である。
しかし、北極の氷の状態は1990年以降急速に悪化し、ホッキョクグマの生息地に被害が及ぶまでになった。
この傾向は1990年代の経済改革の際、これまでに例のない密猟に付随して起こった。
地域の猟師が承認した公式の専門家の予測によると、チュクチでは1990年代半ばから2000年代始めまでに年間およそ70頭から300頭のホッキョクグマが殺害されていたのだ。
更にアラスカの原住民が無制限でこの個体群のホッキョクグマを狩猟し続けたのである。
これに加えて地球温暖化が着実に進行し、ホッキョクグマの主な生息場所である氷塊ができにくくなった。
海氷の減少問題はこの地域で特に明らかだった。
これらのすべての要因が多くの否定的な傾向を生み出していた。

チュクチ-アラスカ個体群の中心的な繁殖力のあるグループの中で個体数が減っていることを示す指標がいくつかある。
ホッキョクグマの即席の『繁殖地』として使われる巣穴の数は、1980年代後半から1990年代始めには300から400と推定されていたが、2007年から2012年には60から70以下に減少した。
1990年代初頭以後、大陸棚にある主な生息場所である氷塊が融解する時期に、ウランゲリ島に上陸するホッキョクグマの数は少なくとも1/3から1/4に減少した。
毎年秋にウランゲリ島に棲みつく、生後1ヶ月から12ヶ月の仔ぐまをつれた家族集団の数は1/5から1/6に減少した。
2004年から2012年の間に一回目と二回目の秋に生まれた仔ぐまをつれた家族集団の比率は66%以上減少し、同期間に死んだ仔ぐまの比率は全体の75%を超えている。
2011年から2013年の間に、ウランゲリ島の夏から秋にかけてのホッキョクグマの個体群うち、栄養不足の個体がますます大きな割合を占めるようになった(2011年に8.1%、2012年に11.3%、2013年に6.5%)。

これは2005年から2010年(0.8~4.6%)に対して大幅に増加したことを示す。
オスの成獣の割合も標準値を超えていた。
2011年から2013年の間のオスの成熟したホッキョクグマの比率は、全個体群内で平均22.3%だった(より正確には14~35%)。
比較するために、2004年から2010年の値を見てみると、オスの成獣の個体数が個体群全体に占める比率は平均13.6%(6.1~19.6%)だった。

メスのホッキョクグマの割合に関して興味深い統計数値がいくつか得られている。
2011年から2013年にかけて、あるシーズンにつがいになり子を産む可能性のある独身のメスの比率は、2004年から2010年の平均の9.3~10.4%と比較して、12.9~16.7%と増加していた。
過去3年間にわたる、夏から秋の個体群(冬眠前)における独身のメスの比率の増加は、生まれたばかりの仔ぐまをつれた家族集団の割合の減少と相関している。
おそらくこれは、生まれて最初の春から夏に仔ぐまが死ぬことと関係しているだろう。
2013年には、ウランゲリ島近く(ウランゲリ島と隣接する海域の氷塊を含む)の夏から秋の個体群の一部として、生後1ヶ月から12ヶ月の仔ぐまをつれたメス11頭が記録された。
すなわち研究で記録されたすべてのホッキョクグマの、ちょうど6.5%だったのである(2012年の4.3%、2011年の7.6%、2004年から2010年の9.3~15%と比較して)。

生後1ヶ月から12ヶ月の仔グマの比率は2013年に8.9%、2012年に6.1%、2011年に9.3%だった。
これは、比率が13.2~24.1%まで変化した2004年から2010年に比べてかなり少ない。

もう一つ警鐘を鳴らすべき傾向は、独身のメスのうち、体内に脂肪を十分に貯えずに冬眠に入る比率が大きいことである。
2004年から2010年にかけて、観察の対象になったすべての独身のメスの内、25~33%が冬眠前に十分な栄養を蓄えていなかった。
2012年に我々が観察したメスのホッキョクグマの内、驚くべきことに45.8%が栄養不足だったが、2013年にはその比率はちょうど14.3%にまで減少した。
これは明らかに夏期の氷の状態が向上したことと関係していた。

ウランゲリ島近くでの秋のホッキョクグマ個体群の人口統計学的構成とその変化の統計データは、個体群全体の特徴として捉えることができる。
2008年から2011年にアメリカの研究者グループが、チュクチ海の南東部で14頭のメスのホッキョクグマに衛星送信機を装着し、追跡した(United States Fish and Wildlife Service(アメリカ合衆国魚類野生生物局)のデータによる)。
それらのメスの内10頭(71.4%)がウランゲリ島で、2頭がヘラルド島で冬眠した。
180日間かけて40頭のホッキョクグマを追跡した研究では、23頭(57.5%)がウランゲリ島に上陸した。
このことはホッキョクグマがチュクチ-アラスカ個体群全体から、秋になるとウランゲリ島近くに集まることを示している。

前述のように、ホッキョクグマの生息地は広大で、毎年個体が移入したり移出したりするため変化し、また氷塊上のホッキョクグマの分布が極めて不均一で流動的であるため、個体群全体の個体数を正確に把握することは不可能である。
しかしこの個体群の決定的な特徴は、彼らが最も多く利用する大陸棚地帯の氷塊がウランゲリ島近くのロシア北極圏に堆積することである。
その氷塊は、夏の終わりに完全に融解する前に、ウランゲリ島の北部や北西部に達し、時にはチュクチ沿岸を離れることさえある。
そのため、この海氷が大陸棚で融解する時、ほとんどのクマがロシア沿岸へ移動し、新しく氷が張るのを待つ。
この個体群を長期間に渡り観察した取り組みから得た結果では、個体群が縮小し続けていることが分かった。
1990年代始めには、何百頭ものホッキョクグマがウランゲリ島に上陸した。
過去数年では、せいぜい200頭から250頭が毎年ウランゲリ島に上陸しているに過ぎない。
2011年から2013年にかけては、約160頭から170頭のホッキョクグマがウランゲリ島で確認されている。

地上で暮らすホッキョクグマの個体群の大きさと人口統計学的構成に関するデータ分析に基づき、また繁殖力のあるメスの割合の最も楽観的な指標を用いて、過去5年間の本個体群のおおよその大きさが計算された。
それによると、現在の個体群は全体で1,300頭から1,500頭を越えないと考えられる。
氷上に残っているのは個体群全体の2/3未満で、1/3のみが岸に来ると仮定すると、この数値さえも必ずしも現実の状況を反映しているとは限らない。
入手可能なデータからは、秋が来る前に氷塊の上に残っているのはホッキョクグマの50%より少なく、北極の方へ引き寄せられ、ホッキョクグマ個体群全体の少なくとも半数がロシア領に移動することがわかる。

したがって、個体群の指標全体からみると、気候変動と氷塊の融解がこの個体群に悪影響を及ぼすことが明らかである。
ホッキョクグマが必要とする資源が十分にある地域に生息しているこの個体群でさえ、環境の変化が悪影響を及ぼしていることは重要である。
チュクチ海には、多くのホッキョクグマの食糧源があることに留意すべきなのだ。
氷が融解する前にホッキョクグマは北極圏のこの地域で食糧を確保し、栄養を蓄える。
栄養が十分でない最初のホッキョクグマは夏の終わりから秋にかけて見つかり、仔グマはその時期に死ぬ。
しかしこのような厳しい季節でもウランゲリ島やチュクチ沿岸では、ホッキョクグマは地上で繁殖するセイウチや、陸に打ち上げられた死んだセイウチやクジラ等の食糧を見つけることができる。

人為的な要因によって悪化した環境の変化は、ホッキョクグマの生存にとって最大の脅威となっている。
地球温暖化よりも人為的脅威が、この個体群に直接的な危害をもたらしている。
まず第一に人間はクマの殺害を続けている。
それにはアラスカで無制限に行われる先住民の狩りも含まれる。
先住民は2011年に42頭、2012年には57頭、2013年に23頭のホッキョクグマを殺害した。
これに加えてチュクチでの密猟がある。
1990年代および2000年代には密猟の規模が小さくなったが、その地域の住民が推定で年に35頭のクマを殺害している。
さらに人間社会に近づくクマも射殺され続けている。
ホッキョクグマはその進化史上何度も生き残ったように、地球温暖化には耐えて生き延びるかもしれない。
しかし、いかなる理由であれ生存の闘いに人間による現在進行中の抹殺が付随しておこるなら、生き残る見込みはないだろう。

ニュースソース
http://programmes.putin.kremlin.ru/en/bear/news/24973#

 

★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
gooddoでクリックやFacebookいいね!をしてJWCSを支援
クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付

※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村 環境ブログ 自然保護・生態系へ
にほんブログ村

« 世界の欲求が新たに野生生物種を絶滅の淵へ-IUCNレッドリスト | トップページ | 象牙取引:モンバサ港での覆面調査で管理の甘さが明らかに »

06 クマ」カテゴリの記事

12 哺乳類」カテゴリの記事

27 北極 南極」カテゴリの記事

35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事

39 気候変動」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/498291/60677487

この記事へのトラックバック一覧です: ロシアの北極圏北東部のにおけるホッキョクグマのチュクチ-アラスカ個体群:

« 世界の欲求が新たに野生生物種を絶滅の淵へ-IUCNレッドリスト | トップページ | 象牙取引:モンバサ港での覆面調査で管理の甘さが明らかに »