ついに公海保護に朗報が:領海外の海の保護のための法的拘束力のある協定作りの進展
和訳協力:岡 盛晶、校正協力:成田 昌子
2015年1月26日 IUCN News story
雪の降るニューヨークの土曜日早朝、国連の代表者らは国際的な共有地である公海の保護に向けて歴史的な一歩を踏み出した。
各国代表は国連の会議において、国の権限を越えて海洋の生物多様性の保全し、持続的に利用する、国際的な法的拘束力を持つ協定書の作成の準備を正式に開始することに合意した。
国連の公式オブザーバーの一団体としてIUCN(国際自然保護連合)のみたところ、この決議は、緊迫した4日間、それと9年越しの協議の結果もたらされたもので、領海外の広大な海洋――公海及び世界共有の海底――をどのようにより良く保護・管理すべきか、というものであった。
公式な準備委員会は2016年早々に始動し、まずUnited Nations Convention on the Law of the Sea (UNCLOS:海洋法に関する国際連合条約、通称「国連海洋法条約」)に従い、草案の基本法則の策定に着手する。
国連総会では、協議の期限は合意に至っていないものの、国連主導のもとにその草案を仕上げて採択するために、2018年9月までに政府間会議を開催することが決定した。
「最終決定がどのようになるかはわかりませんが、多くの人々が新しい協定に大きな期待を寄せています」とIUCNのSenior High Seas Advisor(公海政策アドバイザー)のKristina M. Gjerde氏は言う。
「協定は、本当の意味での海洋保護地域の国際的な枠組みの指定や、公海での漁業や船舶の航行、海底採掘の管理における生物多様性保全の主流化、さらには海洋遺伝資源に関するより効果的な利用方法の提供などに役立つでしょう。またこの協定は、国際社会全体で共有する利益を確保しつつも、科学的にも商業的にも重要な新しい発見を促進させるでしょう」。
公海で漁を操業する国々に対する重要な保証として、新しい協定は既存の合意やこれまでの関連国際団体の活動を一切制限しないことで合意している。
「国際的な共有地である公海に対する法的拘束力のある協定は、公海を健全で、回復力が高く、生産性の高い海にするのに必須と言えます。そのことが、将来の世代を含めたわれわれすべてにとっての利益をもたらすでしょう。実際、国の管轄が及ばない海洋領域の3分の2にとって、国際協力だけが唯一の将来に向かう道なのです」と、IUCNのGlobal Marine and Polar Programme(世界海洋・極地プログラム)担当のAurelie Spadone氏は述べている。
IUCNは10年以上もの間、科学知識と法的分析に力を注ぎ、いかにして領海外の広大な海域をより良く管理できるかを考えてきた。
各国政府代表のためにセミナーを開催し、専門家のネットワークを作ってきた。
そしてこれからも多くの協力団体とともに、効果的で公平な国際合意に向け尽力を続けていくつもりである。
ニュースソース
http://www.iucn.org/news_homepage/?18851/At-last-some-good-news-for-the-high-seas
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