トラの増加
和訳協力:黒木 摩里子、校正協力:浅原 裕美子
2015年2月5日 Born Free Foundation News
野生生物の保護に携わる者にとって、絶滅危惧種、特に深刻な脅威に苦しむ種に関して良いニュースを報告ができることは励みになるものであり、今インドではトラの数が増え続けているという心強い兆しがある。
1900年から続く減少傾向の影響を受け、最近の推測では野生のトラは世界に3,000頭ほどしかいないとされている。
1900年当時は南アジアから極東地域、南はスマトラ島、そしてトルコから中国にいたる中央アジア全域を、およそ10万頭のトラが歩き回っていた
しかし現在、体の部位やトラ製品の需要によってもたらされる密猟、餌動物の減少、生息環境の消失に苦しめられ、トラはそのほとんどが小さな孤立した地域に生息し、いずれの国でも亜種の個体数はわずかである。
世界の大多数のトラが生息するインドは例外であり、2015年1月に、インドのNational Tiger Conservation Authority(国立トラ保護当局)は4年前のトラの個体数調査以降、トラの数が1,706頭から2,226頭へと500頭以上増加したと発表した。
2006年の個体数調査では1,411頭と報告されたことを考えれば、この最新の報告は、インドがトラの数の減少という世界的傾向に逆らうためのトラの管理において成功し続けていることを示している。
おめでとう、インド!
インド最大のトラの生息地はサトプラの中央高原だが、Born Free(ボーン・フリー財団)はこの地で10年以上、Satpuda Landscape Tiger Programme((仮)サトプラ地域トラ保護プログラム)を通じてトラの保護活動に注力している。
長い年月を経て、この地のトラの数は安定しただけでなく、2010年の調査以降300頭から350頭ほどに増加していると考えられている。
これは地元の小規模な野生生物保護団体やトラの生息地周辺に住む地域コミュニティ、そして政府の野生生物担当職員らが緊密に連携を図って活動するという総合的なアプローチを採用し、トラが直面するあらゆる根本的な危機に取り組んだことにより成し遂げられたものだ。
このプログラムによって実行される連携した取り組みは、人間とトラの対立、合法的な活動、生息地の保護、またトラの保護のための地域コミュニティの支援の獲得に焦点を当てている。
嬉しい報告は少なくなっているものの、ボーン・フリー財団はトラの明るい未来を確かなものにするため、より一層の努力を続けている。
そして、インドの中央高原での試行錯誤を重ねた方法論が指針となり、世界中でトラの保護活動に携わっている人々の一事例として役立つことを願っている。
ニュースソース
http://www.bornfree.org.uk/news/news-article/?no_cache=1&tx_ttnews%5Btt_news%5D=1764
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