太平洋地域環境計画事務局とワシントン条約が絶滅危惧種の取引規制を強化
和訳協力:髙島 裕以 校正協力:筬島 順子
2014年11月14日 SPREP News
Convention on international Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の事務局とSecretariat of the Pacific Regional Environmental Programme(SPREP:太平洋地域環境計画事務局)は、11月14日付けで、保護されている野生動植物の保全および持続可能な利用という共通目標を強化する了解覚書を交わした。
World Parks Congress(世界国立公園会議)の合間の今日、覚書に署名したSPREPのDavid Sheppard事務局長は、現在CITESに加盟している太平洋島嶼国が6か国しかないことに関して懸念している。
「このことが、世界的に重要な生物多様性ホットスポットであるこの地域の問題として非常に懸念されているにもかかわらず、いまだにこの地域の野生生物とその産物は広く利用され、取引もされています」と、彼は言う。
利用され、取引される物には、マッコウクジラの歯、カメの甲羅、サンゴ、貝類、フカヒレ、鳥類、昆虫類、爬虫類などが含まれる。
「活動の出発点となる構造的な枠組みの合意なくしては、この種の取引の取り締まりは、不可能ではないかもしれませんが非常に困難です」とSheppard事務局長は言う。
「この地域におけるこのような分野の人材や技術的能力が限られていることもまた大きな課題です。CITESとこの了解覚書を交わしたことで、絶滅危惧種の取引に対処するための技術的能力の構築が進展することを期待しています」。
また、CITESのJohn E. Scanlon事務局長は以下のように語った。
「SPREPは私たちにとって強力な地域パートナーです。この覚書によって、特に太平洋地域における、この条約によって負う責任を果たし得る能力を構築するための支援において、各国の協調、連携がさらに強化されると確信しています」。
この同意のもとでの初仕事の一つは、現在加盟していない太平洋島嶼国に対しCITESへの加盟を促し、太平洋地域の生物多様性に関わる他のMEAs(多国間環境協定)、特にConvention on Biological Diversity (CBD:生物の多様性に関する条約、通称「生物多様性条約」)、Convention on Migratory Species (CMS:移動性野生動物種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)、Ramsar Convention(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約、通称「ラムサール条約」)とCITESとの相乗効果を発揮するよう、働きかけることである。
Scanlon事務局長はさらに、潜在的に協力できる領域が、CBD、CMS、ラムサール条約の締約国会議に先立って行われた予備会談において明らかになったことを付け加えた。
この合同の予備会談では、前述の4つの条約を履行と、国家レベルでの活動の実施とモニタリングに向けた、より総合的なアプローチのための礎の構築に関わる内容をとりまとめた。
CITESは(オセアニアを含む)6つの地理的地域の180か国からなる法的拘束力のある条約である。
この条約は生物多様性の保全と、野生動植物が国際取引を通じて持続可能でなくなるほどに搾取されたり、搾取され続けたりすることがないようにすることで、生物多様性の持続可能な利用に貢献することを目的としている。
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