ウミガメの復活:WCSがニカラグアで最多巣数を報告
和訳協力:高橋 富久子、校正協力:花嶋 みのり
2014年12月10日 WCS Press Releases
・タイマイの巣作りの成功率が3倍以上に上昇
・密猟が80%減少
・反密猟活動とコミュニティの保護活動が成果を上げる
ニカラグアのWCS(野生生物保護協会)チームは、本日、極めて危機的な状況にあるhawksbill sea turtle(タイマイ)の巣の数が劇的に増加し、2000年に保全プロジェクトが始まって以来、巣の数が最多となったと報告した。
ニカラグアのPearl Cays地域における、プロジェクト区域内のタイマイの全巣数は、2000年の154巣から200%以上増加し、2014年には468巣となった。
監視を行っている地域では密猟率が80%以上減少した。
2014年の密猟率は約5%と、プロジェクト史上最も低い水準であった。
今シーズンの巣作りの成功率は平均して約75%で、11月末時点で、35,000匹以上の孵化した子ガメが海へと向かって行った。
プロジェクト開始前のPearl Caysの予備調査では、作られた巣はほぼ100%密猟され、ほとんどの卵が人間の食用に持ち去られていた。
WCSは密猟を減らして人々の認知度を高めるため、2000年にタイマイ保全プロジェクトを立ち上げた。
このプロジェクトは、2010年にPearl Cays Wildlife Refuge((仮)Pearl Cays野生生物保護区)の設定に貢献した。
この保護区は、ほかの海洋生物や重要な生息環境を保護しながら、ウミガメが巣を作り、餌を取り、繁殖し、移動するのを守るためのものだ。
「この最近の巣の数は、地域コミュニティと協力して活動することによって、私たちがウミガメを絶滅から救うことができるということを示しているのです」と、WCS海洋プログラム代表のCaleb McClennen博士は述べた。
「WCSと連携している地域コミュニティは、彼ら自身の自然資源を守ることに直接関わっています。彼らの援助や熱心な参加がなければこのプロジェクトは失敗し、ニカラグアのタイマイは絶滅するでしょう」。
巣作りの成功を監視するとともに、WCSの科学者たちは今年、巣を作った3匹のメスガメに衛星で追跡できるタグを付けた。
そのメスガメたちは、追跡によると現在ホンジュラスとの国境付近を北へ向かって移動している様子だ。
WCSは1999年以降、Pearl Caysで約3,000匹のウミガメを捕まえては放流してきた。
スタッフは、タグ付け放流プログラムの一環として、出会ったウミガメそれぞれについて、その日付、大きさ、位置を記録している。
このデータは、この地域において対象種を情報に基づいて管理し、保護活動を発展させるための、対象種の理解の向上に役立てることができる。
WCSは1999年以来、主にウミガメの保護や、一般に向けた教育と啓蒙活動に焦点を絞り、ニカラグアのカリブ海沿岸で活動を続けている。
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→gooddoでクリックやFacebookいいね!をしてJWCSを支援
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« ニカラグアでオサガメの産卵期が始まる | トップページ | IOSEA:2014年の振り返りと2015年への見通し »
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「10 カメ」カテゴリの記事
- ウミガメと陸ガメの受難(2021.08.10)
- 最新の調査により、ウミガメの違法取引がインドネシア、マレーシアおよびベトナムで長年横行していることが判明(2020.08.18)
- 海洋野生生物の複雑な地球規模の密売ネットワークの歴史的発展(2019.10.01)
- 欧州最大の不法なカメの養殖場、閉鎖へ(2018.12.04)
- 警察がマヨルカ島の違法なカメ養殖場を閉鎖(2018.11.22)
「17 海洋生物」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- ウミガメと陸ガメの受難(2021.08.10)
- 国際的規制当局の世界最大のマグロの売り尽くし方(2021.07.20)
「14 両生・爬虫類」カテゴリの記事
- CITES附属書に掲載されるヘビの44年間の国際取引について:保全と公衆衛生に関わる傾向とその影響(2022.02.15)
- ウミガメと陸ガメの受難(2021.08.10)
- トッケイヤモリがCITESの保護下に:それが本当に意味することとは(2020.12.01)
- 最新の調査により、ウミガメの違法取引がインドネシア、マレーシアおよびベトナムで長年横行していることが判明(2020.08.18)
- 両生類の世界的なペット取引: 種の特性、分類学的偏り、および将来の方向性(2020.07.21)
「25 中米」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- ソーシャルマーケティングキャンペーンが絶滅危惧種の回復を支援する(2019.12.10)
- 欧州最大の不法なカメの養殖場、閉鎖へ(2018.12.04)
- 香港税関、240万HKドルに及ぶホンジュラスからの密輸材24トンを押収(2018.06.30)
「41 保護区」カテゴリの記事
- ブラジルの先住民グループが違法伐採をめぐる数十年の争いに勝利(2022.04.19)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす(2021.08.31)
- 最後に残された最上級の熱帯林が緊急に保護の必要があることが、最新の研究により明らかとなる(2021.08.17)
- 科学者らが2030年までに世界の3分の1の海洋を保護する手法を立案(2020.11.10)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
« ニカラグアでオサガメの産卵期が始まる | トップページ | IOSEA:2014年の振り返りと2015年への見通し »
コメント