ヒレでサメの種類を識別する新たなソフトウェアを公開
和訳協力:金子 さえ、校正協力:成田 昌子
2015年1月29日 CITES Other News Items
本日、Food and Agriculture Organization of the United Nations(FAO:国連食糧農業機関)が、サメのヒレを識別するための新しいソフトウェアを公開した。
Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)事務局はこの新たなツールを歓迎している。
iSharkFinと名付けられたこのソフトウェアは、機械の学習技術を使ってヒレの形状からサメの種類を識別する革新的なシステムである。
このソフトウェアはFAOとUniversity of Vigo(ビーゴ大学)との共同研究で開発され、日本政府とCITES事務局が、European Union(EU:欧州連合)の提供する基金を通じて資金援助をしている。
iSharkFinでは対話型処理が行われる。
ユーザーは基準となる写真を撮影し、ヒレの特徴をいくつか選択し、そのヒレの形から何ヶ所か選ぶ。
するとiSharkFinは自動的にその情報を分析し、ヒレの形を決定づけているサメの種を識別する。
iSharkFinは背びれから35種の、胸びれから7種のサメを識別することができる。
これらのサメは、CITESの附属書に掲載されている種も含め、いずれも国際取引の場で一般的に見られるものだ。
今後さらに多くの種がシステムに追加されるだろう。
この新たなツールの始動について、CITES事務局長John Scanlon氏は次のように述べている。
「取引されるサメのヒレを識別するための、正確で使いやすく、経済的な方法は常々求められていました――この新しいツールは、そうした要求に応えるものです。iSharkFinは税関、CITES当局、漁業監督官にうってつけの製品です。先頭に立って製作をし、その普及と幅広い使用を推し進めたFAOを我々は称賛しています」。
iSharkFinを使うことで背びれで35種の、胸びれで7種のサメの識別が可能になる。
それらの多くは国際的に取引されており、CITES附属書掲載の種も4種含まれている。
この4種は特にそのヒレを目的に捕獲、取引されている。
サメ類とオニイトマキエイ属に関する新たなCITES規制
2014年9月14日から、5種のサメとすべてのオニイトマキエイ類の肉、エラ、ヒレを含む部位を国際的に取引するには、許可書と持続可能かつ合法的なやり方で捕獲されたことを確認できる証明書の添付が必要になっている。
CITESによって採択された新しい規制は、先般CITES附属書Ⅱに掲載されたoceanic whitetip shark(学名:Carcharhinus longimanus、ヨゴレ)、scalloped hammerhead shark(学名:Sphyrna lewini、アカシュモクザメ)、great hammerhead shark(学名:Sphyrna mokarran、ヒラシュモクザメ)、smooth hammerhead shark(学名:Sphyrna zygaena、シロシュモクザメ)、porbeagle shark(学名:Lamna nasus、ニシネズミザメ)とmanta rays(学名:Manta spp.、オニイトマキエイ属全種)に適用されることになっている。
ニュースソース
http://www.cites.org/eng/new_shark_fin_identification_tool_released
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