オーストラリア、海のプラスチック汚染対策の新たな一歩をとる
オーストラリア版Good Scrub Guideの発表に伴う、ファウナ・フローラ・インターナショナルによるマイクロビーズ撲滅キャンペーンが世界を牽引する
和訳協力:真井 悠美子、校正協力: 副島 亮子
2014年10月23日 Fauna & Flora international News
イギリスでのGood Scrub Guide発表の成功に続いて、Fauna & Flora international(FFI、ファウナ・フローラ・インターナショナル)は、無料でダウンロードのできるオーストラリア特別版の手引きを公開した。
Good Scrub Guideは、消費者がエクスフォリエーター(角質除去用洗顔料)やスクラブ(毛穴の汚れ除去用の洗顔料)等の化粧品を購入する際に、よりよい選択ができるように作られており、我々の海と海洋生物に多大な被害を及ぼす有害なマイクロビーズを含まない製品を紹介している。
マイクロビーズは幅が1mm以下の微小なプラスチック粒子であり、エクスフォリエーター、シャンプー、歯磨き粉といった、オーストラリアの小売店の店頭に並ぶ何百もの一般的な化粧品に含まれている。
マイクロビーズを配合した製品を使用すると、プラスチック粒子はそのまま排水溝を流れ出て、我々の海、そして海面下で成長している海洋生物に甚大な被害を与える原因となる。
「いったん海へ排出されると、プランクトンからクジラにおよぶすべての生物がこれらのプラスチックを体内に取り込むことになります」と、FFIの海洋プラスチック問題担当のTanya Cox氏は話す。
「海中では、それらがDDTのような持続性の環境有害物質を引きつけ、食物連鎖を通じて、最終的に人間が消費するまで作用し続けます。突然、差し迫った環境問題となるだけでなく、直接人類に影響を及ぼすものともなるのです」。
Good Scrub Guideは、これらの汚染物質を特定して取扱商品から取り除くために、FFIとオーストラリアの提携先であるSurfrider Foundation(サーフライダー・ファウンデーション)が化粧品や美容商品の生産者と共同研究した結果である。
「Good Scrub Guideに加えて、イギリスやヨーロッパで大きな影響を及ぼしたアプリBeat the Micro Beadのオーストラリア版も開発しているところです。このアプリを使えば、製品のバーコードをスキャンしてその商品にマイクロプラスチックが含まれているかどうかがわかります」と、FFIのオーストラリアプログラムのマネージャーであるAngela Hawdon氏は言う。
「初めは、さまざまなオーストラリア製のスクラブの情報を入れますが、最終的にはより多くの製品の情報をアプリに入れる予定です」。
今年のはじめに、FFIの総長であるHRH Princess Laurentien of the Netherlands(オランダ王国ローレンティン妃殿下)がオーストラリアを訪問して、マイクロプラスチックを海から除去する努力を表明したことに続いて、ニューサウスウェールズ州政府は、マイクロプラスチックを配合した製品の販売および生産を全国的に禁止するよう求めている。
5月にローレンティン妃殿下と対面したニューサウスウェールズ州の環境大臣であるHon. Rob Stokes議員は、2016年までに有害なプラスチック汚染物を除去するために、政府が産業団体を招集するだろうと述べた。
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→gooddoでクリックやFacebookいいね!をしてJWCSを支援
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« 付録: ペット、水族館・動植物園での生体展示、生き餌あるいは生食の用途での外来種の導入に伴うリスクに対処するための措置の考案及び実施に関する指針 | トップページ | 森林再生を通してより多くの国が気候変動に立ち向かう »
「42 野生生物の暮らす環境」カテゴリの記事
- 最後に残された最上級の熱帯林が緊急に保護の必要があることが、最新の研究により明らかとなる(2021.08.17)
- 地球規模の生物多様の新たな研究が、陸と海の生命の統一マップを利用可能に(2020.12.22)
- 絶滅危惧リストに掲載するよう新たに100種類以上のユーカリの木本種を提言(2020.11.24)
- 計画中の水力発電用ダム、ガボンの魚類への脅威に(2020.07.28)
- エルニーニョがアマゾンに生息する昆虫の急減の一因であることが最新の調査で明らかに(2020.06.16)
「17 海洋生物」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- ウミガメと陸ガメの受難(2021.08.10)
- 国際的規制当局の世界最大のマグロの売り尽くし方(2021.07.20)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「29 海洋」カテゴリの記事
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
- 海鳥の保護が気候変動からサンゴ礁を守る助けとなる可能性(2021.01.19)
- 科学者らが2030年までに世界の3分の1の海洋を保護する手法を立案(2020.11.10)
- 禁漁海域、漁業者(および魚)に予想以上の効果(2020.02.04)
この記事へのコメントは終了しました。
« 付録: ペット、水族館・動植物園での生体展示、生き餌あるいは生食の用途での外来種の導入に伴うリスクに対処するための措置の考案及び実施に関する指針 | トップページ | 森林再生を通してより多くの国が気候変動に立ち向かう »
コメント